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Technical Report

人が入れない空間を可視化するVR技術

CTCは、11年前からVR(Virtual Reality)技術とデータ解析を使用して、目に見えない場所や人が行けない場所を可視化する実用的なソリューションを提供しています。

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
科学システム本部

廃炉作業の安全性・効率性を向上

国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 福島研究開発部門 楢葉遠隔技術開発センターは、東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所の廃炉推進のために遠隔操作機器(ロボットなど)の開発実証や各種遠隔実証実験のために利用できる施設です。研究管理棟は、廃炉作業の作業計画の検討や作業者訓練などに活用可能なバーチャルリアリティ(VR)システム、ロボットシミュレータ、音響映像設備を備えています。

VRシステムは、廃炉作業の安全で効率的な実行を目的として、廃炉作業員の訓練や作業計画の検討・検証ができるよう、原寸大かつ立体的な原子力施設を再現し、現場にいる感覚を提供します。現場への安全な経路や想定される被ばく量の確認、遠隔操作機器の操作訓練なども可能となります。

楢葉遠隔技術開発センター VRシステム
楢葉遠隔技術開発センター VRシステム

社会課題の解決に幅広く貢献

CTCは、長年蓄積したシミュレーション技術をもって、このVRシステムの設計、開発を担当しました。VRソリューションとしては、クリスティ・デジタル・システムズ社(日本支社は2018年4月からウシオライティング株式会社に移行)の深い没入感が得られる4面スクリーンのステージを使用しており、現場の点群データと3D-CADデータを使用して再現しています。

VR技術については、CTCは、11年前から地下資源探査の解析でVRソリューションを提供しています。地面の下に向けて発生させた人工的な振動が地下境界面で反射した様子を計測・データ処理して、石油などの資源の流れや地下構造を調べ、目に見えない地下の様子を把握しやすくするため、3次元で可視化するVR技術を研究機関に提供してきました。

近年では、地下資源探査の技術は、地熱発電の分野でも役立てられています。地熱発電は、化石燃料に続く第2のベースロード電源として期待されています。現在地下1,000m程度の深さで行われている地質調査も、今後は2,000m、3,000mと、より深部まで進むでしょう。

今後も、強みとするデータを活用したシミュレーション技術と、人が入れない空間を可視化するVR技術を活かし、社会課題の解決に貢献していきます。

出典:Best Engine Vol.7

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