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Global Report

PITWALLプロジェクト
CTCアメリカで取り組む開発・運用現場課題へのアプローチ

田中 久智

CTO & Sr. Director Engineering
ITOCHU Techno-Solutions America, Inc.

2003年CTC入社。情報通信キャリア担当のエンジニア経験を経て、米国へ赴任。商材開拓と共に、Open Compute Project、Cloud Native分野を中心としたビジネスを立ち上げ、事業開発を担当。

田中 久智

「Observability」と各分野のツール概要

昨今、ユーザーのUX/UIへの期待レベルは、スマートフォンとアプリを中心としたデジタルネイティブ化と共に高まり続け、アプリケーションシステム開発は、より継続的な機能追加と改善を重視した対応が求められています。

そのような中、当社が注目する分野は、高度化かつ複雑化するシステムの的確な状態把握(稼働状態、顧客の利用動向、セキュリティ&コンプライアンス適合性など)を追求するObservabilityで、ログ、メトリックス、トレースに加え、構成情報などを含む様々なデータを管理するツールが開発されてきました。

CTCアメリカが考える「開発・運用現場の課題」

 このような中、各技術領域は細分化と進化を続け、企業は1つのツールではなく、複数のツールを組み合わせて利用しており、部署やシステムの世代毎に組み合わせが異なるケースも珍しくありません。そこで、当社は、実際の運用対応現場(障害対応、セキュリティインシデント対応に伴う事象解析チームなど)で起きている下記の課題に着目しました。

開発・運用現場のSustainability(持続的成長)課題
生産性課題 複数のツールを手作業で切り替え情報収集
対応品質課題 障害解析・復旧対応時間の長期化
組織課題 可視化・標準化されない対応プロセスと、一部のエキスパートへの高い依存性

これらの課題により、開発スピードの向上、リリースサイクルの短期化を支援する個々のツールが高度化しているにもかかわらず、実際の開発運用現場は、依然、手作業が多く、限られたメンバーでしか対応ができない状態であり、組織としての事業継続性に対する問題が表面化しています。

CTCアメリカの研究開発プロジェクト「PITWALL

「開発・運用現場が有する組織の課題解決にアプローチすることはできないか」。企業におけるクラウドネイティブ化が先行しており、積極的にスタートアップ技術を採用する米国で、上記の課題解決を求める企業との対話を通じ、PITWALLプロジェクトをスタートしました。この取り組みを通して、課題の深掘りと継続的な解決へのアプローチを模索しています。

CTCアメリカがPITWALLプロジェクトを推進する理由
  • CTCは、お客様の「運用現場」に一歩近い立場で関わってきたこと
  • 米国でのクラウドネイティブの普及と、それに伴うソフトウェア開発技術が発展・成熟し、プロダクト・サービス開発の参入障壁が低くなってきたこと
  • 米国・グローバル市場へ挑む新たなビジネスモデルを開発したいこと
  • 「PITWALL」は、筆者がレース現場で利用される最新デジタルブースから着想を得たものです。レーシングカーのみならず、気象や先行するクルマとのタイム差などの様々なテレメトリーを瞬時に入手し、レースに最良の結果をもたらす役割を担っています。

PITWALLプロトタイプの概要

PITWALLは、開発・運用現場で利用する様々なツールをつなぎ、必要な情報を瞬時に入手。解析・改善検討にフォーカスするための「黒子」のような役割を担います。また、その過程で対応プロセスの可視化と標準化を通じたエキスパートナレッジの共有を図り、組織における継続的なプロセス改善を目指します。

今後は、より多くのお客様の持続的成長を支援すべく、機能拡充・強化を推進し、本格的なリリースに向けたチャレンジを継続していきます。ぜひ、お問い合わせください。

プロトタイプ概要
Studio インシデント発生時の対応プロセスを定義し、可視化。既存ツールに対する変更不要
Automation & Insights 障害対応、インシデント発生時の複数ツールにまたがるツールへの即時アクセスと解析支援
Debrief チームレベルでのナレッジ共有と、フィードバック、継続的改善プロセスの実現。
アプリケーションエラー発生時の対応フロー(CTC自社利用)
日本アクセスの事例
出典:Best Engine Vol.13

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