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Global Report

米国での生成AIの動向

高橋 紘樹

Director, Business Development
ITOCHU Techno-Solutions America, Inc.

2019年からシリコンバレーにて北米の最新IT動向を調査し、日本へ紹介している。新規商材の開拓やビジネス開発を担当。

高橋 紘樹

生成AIへの急激な関心の高まり

2022年11月にOpenAI社がChatGPTを公開して以来、世界的規模で生成AIに対する注目度が高まっています。2022年は、ベンチャー企業への投資が減少しましたが、AI関連企業への投資は、例外的に大きく成長し、関心の高さがうかがえます。既に約30%の企業が生成AIを業務で利用しているというデータも報告されています。また、AIとは直接関係のなかった企業が、生成AIに事業転換したり、シリコンバレーのスタートアップ企業では、ホームページで“生成AI”をキーワードとして利用するケースが急増したりしています。

ソフトウェアの新しい提供形態

AIの特徴の一つとして、オープンソースソフトウェア(以下、OSS)による公開が挙げられます。例えば、Stability AI社が開発した、画像生成A“I Stable Diffusion”もOSSで提供されています。このOSS領域では、コマーシャルオープンソースソフトウェア(以下、COSS)が注目されています。ソフトウェアの提供形態の現在の主流はSaaSですが、将来的にはCOSSが取って代わるとも言われています。

CTCは、このCOSSに特化したOSS Capital社に2023年3月に出資しました。同社のCOSSに対する深い見識と人脈を活用して、生成AIを筆頭に将来有望なCOSSの調査・発掘をしています。これまでにStability AI社、機械学習の運用基盤“MLOps”を提供するMindsDB社、エキスパートナレッジ用AIのAitomatic社との協業を始めています。

LLMとSLM

生成AI領域では、OpenAI社のGPT、Google社のBard、Meta社のLLaMAのような大規模言語モデル(以下、LLM)が著名です。特にAnthropic社のClaudeは、Constitutional(憲法) AIを標榜し、安全性の高いエンタープライズ向けAIとして注目されています。一方で、LLMは膨大なデータの学習が前提となり、大量のマシンリソースや電力を消費するという課題もあります。また、一般的な質問に対する応答の自然さが優先されるため、エンタープライズ特有の専門的な課題の解決には不向きです。

この課題を解決する目的で開発されたのが、小規模言語モデル(以下、SLM)です。Aitomatic社もSLMを手掛ける一社で、スモールスペシャリストモデル(SSM)をOSSで公開しています。CTCは、Aitomatic社のテクノロジーを活用して、業界特有の知識や社内の知見を利活用できる生成AIの提供を目指しています。

生成AIといった新たな技術が登場し、様々なビジネス現場での活用が期待されますが、実際に業務の効率化、成果の増大を実現するのは容易ではありません。CTCは、システム構築で得たノウハウや知識を蓄積し提供することで、より効率的で効果的な課題解決を図っていきます。

itomatic社が提供するAitomatic Industrial Virtual Advisor(aiVATM)の画面イメージ

Aitomatic社が提供するAitomatic Industrial Virtual Advisor(aiVATM)の画面イメージ。aiVATMのチャット機能から、生産工程で発生した問題の原因究明を行っている様子。

出典:Best Engine Vol.14

記載内容は掲載当時の情報です。最新情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

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