モノとICTと人のすべてをつないで
「人を想う IoE」の実現を目指す

本格的なIoT時代を迎え、インターネットに接続されるデバイスの数は増加の一途をたどり、2020年にはその数が500億個に達すると見られています。こうした膨大な実データを収集・蓄積してバーチャルな世界を作り、リアル世界でのノウハウや経験・知見をもとにモデル化・分析することで、“サービス”へのシフトが可能となり、多くの新しい価値が生み出されます。

しかし、IoTの実現に向けて新しい価値を創出することは簡単ではありません。新たなビジネスモデルの創造という困難な課題解決と並行して、ネットワーク負荷とセンサーコストの増大、セキュリティ対策という3つの技術的な主要課題を解決しなければならないからです。

東芝は長年にわたって蓄積してきた遠隔監視のノウハウや資産を活かして、IoTをめぐる課題を解決するとともに、IoTビジネスの拡大に取り組んでいます。もともとIoTの源流は遠隔監視にあると考えており、現在、その発展段階は機器を1対1でつないでコスト削減を図るM2M（Machine to Machine）から、モノとICTをつないで価値の向上や最適化を図るIoTへと移行しつつあります。東芝ではさらにその先にある、モノとICTと人のすべてをつないで「人を想う」ことができる新しい「IoE（Internet of Everything）」の実現に向けた取り組みを進めています。

その取り組みの1つが、お客様との共創により新しいサービスビジネスを生み出すことです。そのために、お客様とともに描くビジョンを見つめながら、導き出した価値をすぐその場で作り上げて評価することが可能なアジャイル開発センター「eXtreme Design Studio（XDS）」を2015年3月に開設しました。ここでは市場ニーズなどの仮説をもとに、サービスを構築・計測・学習してリリース・フィードバックするというサイクルを繰り返しながら、サービスの価値を高めていくことができます。

もう1つの取り組みは、ビジネスの仮説を素早く検証・リリースするための「東芝IoTアーキテクチャ」と呼ぶ基盤の整備です。エッジ（エンドポイント）で生成したデータをリアルタイムに収集・制御し、クラウド環境でビッグデータ処理や音声画像知識処理、アジャイル開発基盤を構築し、サービスやアプリケーションに利用できるIoTアーキテクチャを提供することです。

ここで重要な役割を担うのが、デバイスとクラウド間の処理を効率化する「Chip to Cloud（C2C）」プラットフォームです。これは、東芝の強味である半導体技術を駆使したセンサーチップ「ApP Lite」とエンドポイントエージェント「SmartEDA」、さらに最新のクラウド技術を組み合わせることによって、デバイスとクラウド間での分散処理を実現するものです。デバイス側にインテリジェンスを持たせることで、収集したIoTデータをそのままクラウド側に送るのではなく、デバイス側にも重要な処理を担わせることによって、まさに“集めないビッグデータ”の世界が実現され、IoTの最大の課題であるネットワーク負荷も大幅に低減できるようになります。

IoEの実現に向けたもう1つの取り組みは、東芝の音声画像知識処理技術を駆使して“見る・聴く・話す”を補完・サポートし、人と人との理解を円滑にするメディアインテリジェンスを実現することです。そのための取り組みとして、新たにクラウドサービス「RECAIUS（リカイアス）」の提供を開始しています。

このサービスを活用して、例えば音声認識と画像認識、音声合成の技術を組み合わせることで、レジャー施設内の混雑状況を画像認識し、来場者の質問に自動で回答するといったサービスの実現も可能です。

東芝は人とモノをつなぐメディアインテリジェンスを強化するなど、「人を想うI oE」の実現に向けた取り組みを今後も推進していきます。