IoT連携でエネルギー効率を最適化
クラウド活用がスマートシティを実現

少子高齢化が進行し、省エネや環境保護が求められる昨今、ICTを活用してさまざまな機器を連携させ、街全体のエネルギーを効率化する「スマートタウン」に注目が集まっています。

スマートタウンを実現するにはどのような要素が必要になるのでしょうか。1つはエネルギー効率化を実現するためのエネルギーマネジメントシステム（EMS）です。EMSには住宅（Home）を対象とするHEMS、マンションを対象とするMEMS、そして街全体を対象とするタウンEMSがあります。これにより、地域内の分散電源（蓄電池、太陽光発電、ガス発電）や利用者の電力使用量を一元管理するとともに、災害時には一定のエネルギー自立を実現する必要があります。

スマートタウンでもう1つ必要になる要素は、セキュリティです。災害時には地域全体に災害情報を提供する必要がありますし、避難指示も的確に伝達できなければなりません。防犯情報や見守りサービスの提供も、セキュリティにかかわる重要な要素です。さらに自動車や自転車、宅配ロッカーのシェア、地域住民の共用施設予約、近隣交通情報の伝達、タウンサービス提供や住民コミュニケーション支援などのアメニティも、スマートタウンには不可欠な要素です。

三菱電機は、スマートタウンの供給側から需要側まで全体をカバーする数多くの製品やシステムを保有しており、それらを束ねたトータルソリューションを提供しています。2015年4月には、スマートタウンを実現するためのICT基盤となるスマート制御クラウドサービス「DIAPLANET」の提供を開始しました。大量の機器の遠隔操作を実現するとともに、多数のセンサーデータを収集・分析することが可能になります。

スマートタウンを実現するうえでの重要な構成要素の一つが、タブレットなどを使って操作できる住民向けの三菱HEMSサービスです。このサービスでは業界最多の製品を接続可能で、業界初の自動節電機能によって節電ライフを実感することができます。業界初のファミリーカレンダー機能も搭載し、省エネを計画的に行うことも可能です。

もう1つの構成要素は、マンション向けの三菱MEMSです。このサービスではマンション居住者向けのHEMS機能に加え、ディベロッパー向けに、マンション共用部のエレベーターや照明、空調、太陽光パネル、蓄電池などを統合的にエネルギーコントロールし、最適なエネルギーマネジメントを実現しています。もちろん経済産業省の「スマートマンション評価制度」にも対応しています。

これらのクラウド基盤やサービスを使って、実際にどのようなスマートシティが実現されるのでしようか。三菱電機は兵庫県尼崎市塚口駅前の再開発事業として建設が進められているスマートシティ「ZUTTOCITY」に、エネルギーマネジメントを中心に住民サービスも含めたトータルソリューションを提供しています。ここでは、すべての施設に設置されるさまざまな機器をIoTで接続し、DIAPLANETクラウドで制御することになっています。

実際、ZUTTOCITYではタウンEMSを使って、マンション、戸建て、駅ビル、商業施設のエネルギー消費量のほか、災害情報などの住民情報をリビングテレビ（住まい）、スマートフォン（外出先）、デジタルサイネージ（共用部）でリアルタイムに表示できます。リビングテレビでは電子回覧板や施設予約なども利用でき、ポイントカードと連動した省エネによるポイント還元も実施される予定です。

スマートタウン事業は、すでにリアルビジネスの領域で本格的に普及する段階に入っています。われわれは高い価値を提供できるスマートタウンづくりを目指していきます。