イベント・レポート

CTC Forum 2015 Tokyo ユーザー講演

@Remoteのビッグデータ分析基盤を構築
故障の予兆検知で保守業務を最適化

更新

システムの性能不足を解消、分析に最適なクラウド環境へ

  • IoT
  • 製造
開催日
主催
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
講演
株式会社リコー
株式会社リコー シニアスペシャリスト 宮腰 寿之氏

株式会社リコー
シニアスペシャリスト
宮腰 寿之氏

リコーは画像&ソリューション事業の一環として、複合機の稼働状況をレポートする「RICOH @Remote」( 以下、@Remote)サービスを提供しています。@Remoteは100カ所を超える国と地域にサービスを展開、各所に導入されている複合機の約6割をカバーする数百万台分のビッグデータが日々刻々と収集されています。

@Remoteでは「遠隔保守診断サービス」「カウンター自動検針サービス」「ご使用状況報告書サービス」「トナー自動配送サービス」の4つのサービスを提供。国内外の複合機から、プリント枚数やトナーの状況、故障などの情報が蓄積されており、このデータを有効活用することで新たな顧客サービスを創造することが可能になります。例えば蓄積されたビッグデータを分析することで、複合機の故障の予兆を検知し、保守点検のための訪問回数を最適化することで業務を効率化したり、ダウンタイムの低減で顧客満足度を向上したりすることが期待できます。

しかし蓄積されたビッグデータを分析するためには、いくつかの課題がありました。

課題の1つがシステムの容量や性能の不足です。国内12万台の複合機データを処理するためには約870GBのストレージとそれを処理するための性能を有するインフラが必要でした。しかし部門ごとに分析システムを構築していたため、25GB程度のストレージしか確保できず、2万5000台分のデータ加工に30分程度の時間を要していました。

これらの課題を解決するために、①@Remoteのすべての情報を蓄積できるオペレーショナル・データ・ストア(ODS)の構築、②すべての部門が共通にデータを分析できるセントラルウェアハウス(CWH)の構築、③分析結果を有効に活用できるBIツールの導入、という3つの施策を実施しています。

ODSの構築ではパブリッククラウドを検討しましたが、3年分のトータルコスト、社内ネットワークからのアクセス速度やレスポンスなどを検討した結果、「Oracle ZFS Storage ZS3-2」によるプライベートクラウドが効果的と判断。またCWHの構築では、IAサーバによるコスト効果を期待しましたが、「SPARC T5-2サーバ」を採用しました。

Oracle ZFS Storage ZS3-2およびSPARC T5-2サーバの採用で、処理が重なる時間帯でもCWHのCPU利用率は30%程度であり、ODSのディスク使用率も5000IOPS程度と十分な性能を発揮しています。

また計画時には、データを実用量の50%に圧縮することを目指しましたが、ハイブリッド列圧縮(HCC)を使うことで30%以下に圧縮できました。

さらに、もっとも容量の大きかった200億レコード以上のテーブルに対しては実用量の10%以下までデータを圧縮することができました。

しかし、ただ1点だけ、ODSのバックアップにおいて期待したパフォーマンスが得られないという問題が発生しましたが、こちらもバックアップ方法を変更することで無事に問題を解決できました。

今回の分析システムの構築や機器の導入、データベースの構築、チューニングなどは、CTCのサポートにより実現しています。CTCのサポートは、どんな困難に対しても、網羅性を持った視点、粘り強い調査、メーカーとの協力体制の確立、高い技術力のスタッフなど、総合力を駆使してプロジェクトを良い結果に導いてくれました。

今後、リコーではデータサイエンティストの育成を推進し、ビジネス品質のさらなる向上を追求していく計画です。またデータ分析により得られた分析モデルを自動化することで、セールスやサービスの現場で即時に生かせるような仕組みも構築していきます。

@Remoteのデータ分析により「故障に手を打つ対応」から「予兆で手を打つ対応」に移行、顧客満足度の向上へ

@Remoteのデータ分析により「故障に手を打つ対応」から「予兆で手を打つ対応」に移行、顧客満足度の向上へ

他講演レポート

2015年10月16日開催「CTC Forum 2015 Tokyo」の他講演レポートは、下記のリンクからご覧ください。

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