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AIエージェントの作り方とは?作成手順と社内定着のポイントを解説

個人利用におけるAIエージェントとは異なり、企業で活用するAIエージェントには、社内データの安全な参照(RAG)、参厳格な権限管理、そして誰が使っても同じ成果物を出せる「業務の再現性」が求められます。
企業で成果が出やすいのは、参照データにもとづく高精度な情報整理と、手順に沿ったアウトプットを安定的に作成できるか否かです。社内情報などに対する権限と確認を設計した上で、業務に耐える成果物をつくることが業務用AIエージェントには求められます。
また、生成AIの個人利用は広がっていますが、業務利用においては任せる範囲の曖昧さや、指示・参照データの不足で利用が頓挫するケースも少なくありません。大切なのは、いきなりすべての業務を任せるのではなく、1つの業務に絞って指示と検証の型をつくり、共有と改善を続けることです。
この記事では、企業が安全かつ効果的にAIエージェントを構築・定着させる方法を解説します。AIエージェントを選ぶ際の確認ポイントについても紹介しますので、参考にしてください。

- AIエージェント作成とは目的に沿って動くAIを設計・構築すること
- 業務を進めるAIを設計する
- 従来のFAQチャットボットとの違い
- AIエージェントの作成前に決めること
- 任せる業務を1つに絞る
- 権限と停止条件を決める
- AIエージェント作成の基本手順
- 1. 指示を明確に伝える
- 2. 参照データを整える
- 3. 小さく試作する
- 4. 検証する
- AIエージェントの作成で失敗しやすいポイント
- 指示文や前提条件が明確ではない
- 参照データの品質管理が不足している
- 範囲を広げすぎる
- AIエージェントの利用を社内で定着させる方法
- 共有と改善の仕組みをつくる
- 情シスと現場が役割分担する
- 選定する際はガバナンス・コスト・自由度を見る
- 定着後に期待する効果を定める
- 業務用AIエージェントは、「安全な全社基盤」で段階的に作成・共有しよう
AIエージェント作成とは目的に沿って動くAIを設計・構築すること
AIエージェントの作成とは、目的に沿って動くAIを設計・構築することです。チャットでの受け答えだけでなく、手順に沿った判断や実行もAIが進める点に特徴があります。まずはAIエージェントについて基本的な考え方を押さえましょう。
業務を進めるAIを設計する
業務を進めるAIを設計するには、役割・手順・判断基準を決めた上で、業務を任せられるAIを構築する必要があります。設計の要素は大きく3つに分けられます。判断のベースとなる「モデル」、役割や手順を伝える「指示(プロンプト)」、そして「外部連携・利用データ(ツール」」です。外部連携・利用データ(ツール)とは、参照データ(社内ナレッジ/DB)と、外部システム連携機能(API/各種SaaS)を指します。この3つの要素をどう組み合わせるかによって、AIエージェントが担える業務の幅が決まります。
設計の中心は、外部へ勝手にアクセス・自動実行する仕組みではなく、手順に沿った高精度なアウトプットを安定してつくる点です。送信や更新といった外部への実行を伴わせる場合は、社内の承認フローや権限設計も併せて検討することが欠かせません。
従来のFAQチャットボットとの違い
従来のFAQチャットボットとの違いは、一問一答の応答にとどまらず、社内データを横断検索して自然な回答を生成(RAG)できる点と、問い合わせ内容に応じたシステム操作や連携処理まで自動化できる点です。
従来のFAQチャットボットは、あらかじめ登録した一問一答の回答を返すのが中心でした。一方、AIエージェントを活用したFAQでは、社内データを横断検索して自然な回答を生成できるだけでなく、連携処理まで担えます。AIエージェントを活用したFAQは、従来型のルールベース(シナリオ型)FAQボットを発展・高度化させた位置づけといえます。
問い合わせの一次対応については、下記の記事をご覧ください。
関連記事:社内問い合わせ対応のAI化とは?ヘルプデスクの負荷低減策を解説
AIエージェントの作成前に決めること
AIエージェントを実際に作り始める前には、決めておきたいことが2つあります。最初にこの2つを固めておくと、手戻りを防ぎやすくなります。
任せる業務を1つに絞る
AIエージェントを作成する際は、最初に任せる業務を1つに絞ることが重要です。まずは単独で完結しやすく、かつチームに広がりやすい汎用業務を選びましょう。ゼロから構築する場合は、報告書・提案書の下書きや会議の議事録要約など、テキストベースで成果物を共有しやすい業務から始めるのがおすすめです。文書要約や定型メールの下書き、社内FAQへの一次回答といった汎用的な業務を任せていきます。
スライド作成に取り組む場合は、ゼロからエージェントを組むのではなく、AIプラットフォームに標準搭載されているスライド作成用のエージェントなど、既存テンプレートを自社用にカスタマイズして使う方法が向いています。
なお、「AIに何ができたら完了か」を一文で書ける粒度まで業務を分解しておくと、後の検証がスムーズです。
権限と停止条件を決める
AIエージェントの作成では、権限と停止条件をあらかじめ決めておくことが大切です。まずは読み取りなど最小の権限から始め、送信や更新といった外部への実行の前には人がその行為を承認するポイントを設けましょう。
企業で利用する場合は、ログの取得・監査体制や、SSO(シングルサインオン)などの認証方式の確認も欠かせません。
生成AIの利用ログの考え方については、下記の記事をご覧ください。
関連記事:生成AIの利用ログ、自社で管理できていますか?取得すべき項目と運用の始め方
併せて、入力データがAIの学習に使われない環境かどうかもチェックしておきましょう。製品選定の観点については、後述の「選定する際はガバナンス・コスト・自由度を見る」で詳しくお伝えします。
AIエージェント作成の基本手順

「AIエージェントの作成前に決めること」を踏まえたら、指示・データ・試作・検証(修正)という流れで作成を進めていきます。初回から完璧な完成を求めるのではなく、小さく直していくことが前提です。
1. 指示を明確に伝える
AIエージェント作成の最初のステップは、指示を明確に伝えることです。役割・手順・判断基準に加えて、NG例や用語集も指示に含めておくと、出力のぶれを抑えやすくなります。
なお、指示文を一から完璧に書き上げる必要はありません。生成AI自体を活用し、「〇〇の業務を任せるためのプロンプトを作成して」と問いかけたり、対話形式で不足している情報をヒアリングさせたりしながらブラッシュアップすると、解像度の高い指示文を効率よく作れます。
指示内容があいまいなままだと、次の工程で参照データを整えても出力が期待に届かないことがあります。まずは指示の解像度を上げることを優先しましょう。
2. 参照データを整える
AIエージェント作成の2つ目のステップは、参照データを整えることです。参照させる社内文書の範囲を決め、利用価値の低い古い情報や、権限外のデータは混ぜないようにしましょう。
社内文書などのデータからの検索結果を組み合わせて回答を生成するRAG(検索拡張生成)などでナレッジを登録する場合は、登録対象の鮮度管理も大切です。参照先のデータが古いままだと、指示を整えても誤った回答につながります。
3. 小さく試作する
AIエージェント作成の3つ目のステップは、小さく試作することです。専用ツールのGUI上で、ノーコードでプロンプト設定やRAG連携を行い、まず動く形(プロトタイプ)を作るフェーズと考えると進めやすくなります。
この段階では、想定される質問やタスクで一度動かしてみることが目的です。併せて、本番運用でAIが作成したメールや更新データなどを外部へ送信・実行する前に、人が最終確認・承認する運用プロセス(Human in the Loop)も、試作時点から視野に入れて設計しておきましょう。Human in the Loopは、構築中のテスト確認だけでなく、業務運用時の承認フローをシステム内に組み込むことを指します。
4. 検証する
AIエージェント作成の最後のステップは、検証することです。想定問答集などで精度をテストし、誤回答の原因がプロンプト・参照データ・権限のどこにあるかを切り分けて改善・最終調整するフェーズです。
「何ができたら完了か」を明確にして合否を判定し、誤回答や逸脱があった際は、その原因が指示・データ・権限のどこにあるかを切り分けましょう。
また、AIエージェントは合格するまで修正と再テストを繰り返してください。共有や本番利用の前にはログ確認と人による最終承認を入れ、検証だけに止めず、共有からナレッジ更新、横展開までを定着の範囲とすることが大切です。
定着させる具体的な方法は、後述の「AIエージェントの利用を社内で定着させる方法」で解説します。
AIエージェントの作成で失敗しやすいポイント

AIエージェントの作成では、いくつか共通して起こりやすい失敗があります。それらを事前に押さえておくと、手戻りを効率的に減らせるでしょう。ここでは、AIエージェントの作成で失敗しやすい3つのポイントを紹介します。
指示文や前提条件が明確ではない
AIエージェント作成で失敗しやすいポイントとして、まず挙げられるのは、指示文や前提条件が明確でない状態です。役割・手順・判断基準・完了条件が曖昧だと、出力がぶれやすくなります。
出力のぶれは、対象読者や使用シーン、禁止事項といった前提を明確に指示することが対策になります。指示を作る段階で、誰が読んでも同じ解釈になるかを確認しましょう。
参照データの品質管理が不足している
AIエージェント作成で失敗しやすい2つ目のポイントは、参照データの品質管理が不足していることです。古い情報や権限外のデータ、ノイズが混在すると、誤回答が増えやすくなります。
新鮮な情報かどうかを含めた参照データの管理に加え、ナレッジを蓄積するプロセスを運用に組み込み、AIエージェントを育てていく視点も欠かせません。これは、社内のナレッジやデータ基盤をAI-Ready(AIで活用・分析しやすい状態)に近づけていく上でも大切です。
範囲を広げすぎる
AIエージェント作成で失敗しやすい3つ目のポイントは、範囲を広げすぎることです。複数の業務を一度にAIエージェントに依頼してしまうと、うまくいかなかった場合に原因の切り分けができなくなります。
AIエージェントを作成する際は、まず1つの業務で再現性を確認した上で、隣接する業務へ広げていきましょう。焦らず段階を踏むことが、結果的に定着への近道になります。
AIエージェントの利用を社内で定着させる方法

AIエージェントは、作って終わりにするのではなく、共有と改善の仕組みが必要です。ここでは、社内でAIエージェントの利用を定着させるポイントを紹介します。
共有と改善の仕組みをつくる
AIエージェントを定着させる1つ目のポイントは、共有と改善の仕組みをつくることです。優秀なエージェントやプロンプトをチームで共有し、個人に依存した利用状態を減らしましょう。従業員が作成した優秀なエージェントを、セキュリティを保ったまま社内全体へ配布・二次利用できるポータル機能があると、展開がスムーズになります。「Benefitter AgentPro」が提供する「エージェント・マーケットプレイス」は、作成したAIエージェントを全社で安全に共有・再利用できる社内ポータル機能です。
また、利用ログや未解決の質問を週次など定期的に見直し、指示とデータを更新する運用も欠かせません。ナレッジを蓄積するプロセスを運用に組み込むことで、使うほど回答品質が上がる状態をつくれます。
情シスと現場が役割分担する
AIエージェントを定着させる2つ目のポイントは、情シスと現場が役割分担することです。現場は業務設計と改善を担い、情シスは権限・環境・監査を担うといったように、役割を分けましょう。
なお、役割分担はどちらか一方に任せきりにしないことが前提です。双方が関わり続けることで、現場の使いやすさと統制の両立がしやすくなります。
選定する際はガバナンス・コスト・自由度を見る
AIエージェントを作成するツールを選定する際は、ガバナンス・コスト・自由度の3つの観点で見ることが重要です。ガバナンスでは、AIサービスが入力情報をプールしない非学習であるか、ログを完全に取得できるか、認証がセキュアかを確認します。
コストでは、テナント単位の課金か従量課金かといった料金体系を見ましょう。自由度では、カスタマイズ性や社内システムとの連携可否に加え、複数の異なる大規模言語モデル(LLM)を組み合わせて活用するマルチLLMかどうかを判断材料にします。マルチLLMは、特定ベンダーへの依存を避けつつ、用途に応じて対話品質を選べる点に価値があります。
これらの観点を満たすツールのひとつに、伊藤忠テクノソリューションズが提供する「Benefitter AgentPro」があります。Benefitter AgentProは権限管理やログ管理を備えたAI活用基盤です。専門知識不要のノーコードUIでエージェントを作成・試作できるほか、構築したエージェントを全社ポータル(エージェント・マーケットプレイス)で安全に共有・二次利用できる仕組みを備えており、組織全体でのAI内製化と活用定着を後押しします。
ツール選定だけでなく導入後の伴走支援まで相談したい場合は、伊藤忠テクノソリューションズに相談する選択肢もあります。
定着後に期待する効果を定める
AIエージェントを定着させる4つ目のポイントは、定着後に期待する効果を定めることです。効果の目安を決めておくと、継続や改善の判断がしやすくなります。期待する効果の目安は下表のとおりです。
■AIエージェント定着による効果の目安
業務内容 | 効果の目安 |
|---|---|
報告書・提案書作成 | 情報検索から下書きまでの時間を短縮し、作業時間を70%程度削減(統一テンプレートで再修正も削減) |
社内問い合わせ対応 | 即時回答(平均30秒)や24時間の自動応答が可能になり、人手による対応時間を90%程度削減 |
データ分析・レポート | 自動集計・可視化とドラフト作成を30分以内で完了 |
マニュアル作成・更新 | 操作メモから手順書・マニュアルを自動生成し、作成・更新にかかる工数を60%〜70%程度削減 |
※上記の数値はいずれも試算値です。実際の効果は業務内容や運用体制によって異なります。
業務用AIエージェントは、「安全な全社基盤」で段階的に作成・共有しよう
AIエージェントの作成には、目的・権限・手順の設計が欠かせません。任せる業務は1つに絞り、検証と共有を重ねながら定着させることがポイントです。
まずは本記事で解説した手順を踏まえた上で、小さな一歩から取り組みを進めていきましょう。
伊藤忠テクノソリューションズの「Benefitter AgentPro」は、生成AIやAIエージェントの利用状況を可視化し、権限管理・ログ管理によって安全に統制できる全社的なAI活用基盤です。安心してAI活用を全社に広げたい方は、ぜひ資料をご確認ください。

よくある質問
AIエージェントはプログラミングなしで作成できますか?
多くのツールでは、プログラミングなしでAIエージェントを作成できます。必要なのは、役割・手順・判断基準を決めた上で、モデル・指示(プロンプト)・外部連携・利用データ(ツール)の3要素を組み合わせることです。外部連携・利用データ(ツール)には、参照データ(社内ナレッジ/DB)と外部システム連携機能(API/各種SaaS)が含まれます。「Benefitter AgentPro」のようなノーコードUIを備えたプラットフォームを使えば、画面上の操作だけで構築できます。
AIエージェントは最初にどの業務から作るべきでしょうか?
ゼロから構築する場合は、報告書・提案書の下書きや会議の議事録要約など、テキストベースで成果物を共有しやすい業務から始めるのがおすすめです。文書要約や定型メールの下書き、社内FAQへの一次回答も向いています。スライド作成に取り組む場合は、ゼロから組むのではなく、「Benefitter AgentPro」などに標準搭載されているスライド作成用エージェントを、自社用にカスタマイズして使う方法が現実的です。併せて、権限と停止条件も先に決めておきましょう。
AIエージェント作成時に最も注意すべき点は何ですか?
指示文や前提条件を明確にし、参照データの品質を管理することが重要です。役割・手順・判断基準・完了条件が曖昧だと出力がぶれ、古い情報や権限外のデータが混ざると誤回答が増えやすくなります。複数の業務を一度に載せると原因の切り分けも難しくなるため、まずは1つの業務に絞りましょう。
AIエージェントを社内で定着させるにはどうすればよいですか?
共有と改善の仕組みをつくり、情シスと現場で役割分担することが重要です。優秀なエージェントやプロンプトをチームで共有し、利用ログや未解決の質問を定期的に見直して指示とデータを更新します。現場は業務設計と改善、情シスは権限・環境・監査を担い、双方が関わり続けることが定着の前提です。ガバナンスと共有機能を兼ね備えた「Benefitter AgentPro」などの全社基盤を導入すると、定着の仕組みを整えやすくなります。
1つ作成してうまく動いたら、次はどう広げればいいですか?
再現性を確認できた業務から隣接業務へ段階的に広げ、社内ポータル(エージェント・マーケットプレイスなど)で全社に安全に共有・二次利用させることがポイントです。個人利用で終わらせず、セキュリティを保ったまま横展開できる仕組みを先に用意しておくと、1つ目の成功を組織の資産に変えやすくなります。
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