公開日:
生成AIの利用ログ、自社で管理できていますか?取得すべき項目と運用の始め方

生成AIの全社的な活用を進める情報システム部門やDX推進部門の担当者にとって、その利用実態をどう把握・管理するかは避けて通れないテーマです。
本記事では、生成AI利用ログ管理の必要性と、取得すべきログの項目、導入を進める4つのステップ、運用時のポイントまでわかりやすく解説します。自社の利用実態の調査やログ管理体制の検討、ツール選定に着手するための手掛かりとしてご活用ください。

- 生成AI利用ログ管理とは、生成AIの利用状況を記録・可視化する取り組み
- なぜ生成AI利用ログ管理が必要なのか
- シャドーAI利用の拡大
- 情報漏洩・コンプライアンスリスクへの対応
- 内部統制・監査対応への備え
- 生成AI利用ログ管理で取得すべき主な項目
- 利用者・利用状況に関する項目
- 入力・出力内容に関する項目
- リスク評価に関する項目
- 生成AI利用ログ管理の進め方(4つのステップ)
- ステップ1:利用実態を調査・可視化する
- ステップ2:ログの取得範囲と運用ルールを整備する
- ステップ3:ログ管理機能を備えたAIツールを導入する
- ステップ4:継続的なモニタリングとルールの見直しを行う
- 生成AI利用ログ管理の導入をスムーズに進めるためのポイント
- 従業員のプライバシーへの配慮
- ログ量の増大への対応
- 権限管理・アクセス制御の設計
- 「Benefitter AgentPro」で生成AIの利用ログを一元管理しよう
生成AI利用ログ管理とは、生成AIの利用状況を記録・可視化する取り組み
生成AI利用ログ管理とは、いつ・誰が・どの生成AIサービスに対して、どのような内容を入力・出力したかを記録し、可視化・管理する取り組みを指します。誰がどの生成AIをどのように使っているか、組織として把握できるようにすることで、情報漏洩やコンプライアンス違反の予防、インシデント発生時の追跡を可能にします。
管理の対象は、ChatGPTなどをはじめとする汎用の生成AIサービスだけではありません。SaaSに組み込まれたAI機能や、社内で構築したAIエージェントの利用状況も含まれます。生成AIの利用チャネルが多様化する中、こうした利用を横断的に記録・管理する重要性が高まっています。
なぜ生成AI利用ログ管理が必要なのか
AIリスクの本質は、インシデント時に「何が起きたかを説明できないこと」にあります。
生成AIの業務利用が広がる中、公的機関も生成AIの利用に伴うリスクへの警戒を強めています。IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が2026年1月に公表した「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が組織向けの脅威として初めて選出され、第3位にランクインしました。
また、警視庁サイバーセキュリティ対策本部は、企業が把握していないAIの利用、いわゆる「シャドーAI」について公式に注意喚起しており、「情報漏洩」「ハルシネーション」「著作権侵害」を主なリスクとして挙げています。このように、生成AIの利用ログ管理が必要とされる背景には、主に次の3つの観点があります。
シャドーAI利用の拡大
従業員が個人の判断で、企業が把握・許可していない生成AIサービスを業務利用する「シャドーAI」が広がっています。利用実態が見えないと、こうした利用に気づけないまま情報漏洩などのリスクが見過ごされかねません。IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026 解説書[組織編]」でも、職場が個人アカウントによる利用を認識できないこと自体がリスクとされ、調査では生成AIにデータを入力する利用者の約8割(82%)が組織の管理外アカウントによる利用だったと報告されています。
近年は自律的に処理を実行するAIエージェントの利用も増えており、「誰が・何を実行させたか」を追跡できるログの重要性が高まっています。シャドーAIは、全社対応の遅れだけでなく「公式のツールでは現場のニーズを満たせない」「より業務に適したAIを使いたい」といった現場の事情から生じるため、利用実態の可視化と併せて「現場が使いたくなる安全な環境の整備」が必要です。
シャドーAIについては、下記の記事をご覧ください。
関連記事:シャドーAIとは?リスクと企業が取るべき対策を解説
情報漏洩・コンプライアンスリスクへの対応
機密情報や個人情報を生成AIに入力してしまった場合、その入力内容が学習データとして利用されたり、サービス事業者側のインシデントを通じて外部に流出したりするリスクがあります。利用ログがあれば、そうした入力の有無を確認でき、被害範囲の特定や初動対応にもつなげやすくなるでしょう。
IPAの解説書でも、本来組織外への持ち出しが禁止されている業務データや資料を、データの再学習オフが保証されていない個人用アカウントや企業の管理外にある外部の生成AIサービスに機密情報を入力した場合、入力内容がモデルの再学習に利用されたり、外部へ流出したりするリスクがあります。
生成AIによる情報の外部流出のリスクについては、下記の記事をご覧ください。
関連記事:生成AI活用のリスクをどう防ぐか|AIセキュリティの基礎
内部統制・監査対応への備え
取引先や監査法人、経営層から、生成AIの利用状況について説明を求められる場面も増えています。利用ログを整備しておけば、「誰が」「何のために」生成AIを利用しているかを、客観的な記録として提示することが可能です。
IPAの解説書でも、通信ログやCASB(Cloud Access Security Broker:クラウドサービスのセキュリティを一括管理するソリューション)などの活用による利用状況の把握が対策として挙げられており、ログの取得・管理はAIリスク対策の基本といえます。
情報漏洩そのものだけでなく、インシデント時に「何が起きたかを説明できないこと」こそが本質的なリスクであり、利用ログの有無がその後の対応コストや期間を大きく左右するといえるでしょう。
生成AIに関する内部統制については、下記の記事をご覧ください。
関連記事:「AI事業者ガイドライン」をザックリ理解しておこう|「AI事業者」「AI提供者」「AI利用者」が知っておくべきポイント
生成AI利用ログ管理で取得すべき主な項目

生成AIの利用ログとして取得すべき項目は多岐にわたります。会社が公認し全社に提供する生成AI環境で管理すべき主な項目は、「利用者・利用状況」「入力・出力内容」「リスク評価」の3つです。それぞれ詳しく解説します。
利用者・利用状況に関する項目
生成AIの利用ログとして取得すべき項目のひとつが、利用者や利用状況に関する項目です。これは、利用者IDや所属部署、利用日時、利用した生成AIサービス・モデル名などが該当します。併せて、利用したAIエージェントやプロンプトテンプレートの種類まで記録できると、利用実態をより正確に把握できます。
入力・出力内容に関する項目
入力・出力内容に関する項目も、生成AIの利用ログとして取得しておきたい項目です。入力したプロンプトの内容やファイル添付の有無に加え、生成AIからの出力内容、その出力結果をどこで利用したか(資料・メールなど)まで記録できると、情報漏洩の有無を確認しやすくなります。
リスク評価に関する項目
リスク評価に関する項目も、生成AIの利用ログとして重要です。個人情報や機密情報の入力有無の判定結果、リスクレベル(高・中・低など)の評価結果、アラート通知の履歴などを記録しておくことで、問題のある利用を早期に検知しやすくなるでしょう。
生成AI利用ログ管理の進め方(4つのステップ)

生成AI利用ログ管理は、次の4つのステップで段階的に進めると着手しやすくなります。ここでは、4つのステップについて解説します。
ステップ1:利用実態を調査・可視化する
まずは、自社でどの生成AIサービスが、どの部署・端末から利用されているかを把握するために調査・可視化します。ネットワークログの確認や従業員へのアンケートなど、利用実態の調査から着手しましょう。現状が見えていなければ、その後の対策も的外れになりかねません。
ステップ2:ログの取得範囲と運用ルールを整備する
次に、取得するログの範囲(利用者・入力内容・出力内容など)を定め、保管期間や閲覧権限といった運用ルールを文書にまとめます。併せて、ログを取る目的や従業員への周知方法も決めておくことで、後述するプライバシーへの配慮とも両立しやすくなるでしょう。
ステップ3:ログ管理機能を備えたAIツールを導入する
自社でログ収集の仕組みをゼロから構築するのは負荷が大きいため、ログ管理機能を備えたAIツールを導入するのが近道です。どのツールを選ぶかで運用のしやすさが変わるため、次のような観点で比較・確認するとよいでしょう。
■生成AIログ管理ツールを選ぶ際のチェックポイント
チェックポイント | 内容 |
|---|---|
セキュリティ要件 | SSO(シングルサインオン)認証・IP接続制限・権限管理に加え、国内データセンター稼働や非学習保証など、自社のセキュリティポリシーに合致するかを確認する |
ログの取得範囲と管理単位 | 「誰が・何を・どのモデルを」使ったかを、複数の生成AIをまたいで横断的に追跡できるかを確認する |
既存システム/SIEMとの連携 | 利用中のログ管理ツールやSIEM(Security Information and Event Management:機器やネットワークのログを監視してインシデントを検知する仕組み)と連携し、ログを一元的に集約できるかを確認する |
全社展開時のコスト | ユーザー数課金かサーバー単位の課金かなど料金体系を確認し、利用者が増えた際の総コストを試算する |
導入後のサポート体制 | 環境構築や初期設定だけでなく、実際に運用できるまで伴走支援を受けられるかをベンダーに確認する |
ステップ4:継続的なモニタリングとルールの見直しを行う
ログ管理は導入して終わりではありません。取得したログを定期的に確認し、想定していない利用や異常な利用が発生していないかをモニタリングします。その上で、利用実態の変化に応じて、運用ルールやログの取得項目を定期的に見直していくことが大切です。
生成AI利用ログ管理の導入をスムーズに進めるためのポイント

生成AI利用ログ管理は、仕組みを整えるだけでは定着せず、運用の仕方によって効果が大きく変わります。無理なく定着させるために、導入時に押さえておきたいポイントを3つ紹介します。
従業員のプライバシーへの配慮
生成AIの利用ログには、入力内容や利用状況など従業員の業務や行動に関する情報が含まれるため、取得目的や範囲を事前に周知し、必要以上に踏み込んだ監視にならないよう配慮することが重要です。取得したログの取り扱いについて従業員の理解を得ておくことが、安心して生成AIを活用できる環境づくりにつながります。
ログ量の増大への対応
生成AIの利用者数やAIエージェントの数が増えるほど、ログの量も増大します。そのため、保管や検索にかかるコストをあらかじめ見込んでおくとともに、インシデント発生時や監査対応など、必要な情報を必要なときにすぐ検索・抽出できる仕組みも併せて検討しておくと安心です。
権限管理・アクセス制御の設計
取得したログを誰が閲覧・管理できるかを明確にし、権限に応じてアクセスを制限しておくことも、生成AIの利用ログ管理をスムーズに進めるために欠かせません。ログ管理を形骸化させないためにも、責任者の割り当てや定期的な確認といった運用ルールを併せて整備しておきましょう。
「Benefitter AgentPro」で生成AIの利用ログを一元管理しよう
生成AIの利用ログ管理は、シャドーAIの放置や情報漏洩を防ぐ上で欠かせない取り組みです。これを実現するには、取得すべき項目の整理と運用ルールの整備に加え、ログ管理機能を備えた安全なAI環境の導入が必要になります。
また、ログ管理は導入して終わりではなく、運用に定着させて初めて効果を発揮するため、導入から運用・活用支援まで伴走できるベンダーを選ぶことが重要です。
伊藤忠テクノソリューションズの「Benefitter AgentPro」は、複数のAI活用とセキュリティ統制を両立。管理画面からの利用状況を確認でき、監査はもちろん、ログの外部出力による詳細な利用分析までカバーします。シャドーAIを防ぎ、安心して全社へ展開できる環境を構築できます。詳しくは、ぜひ資料をご確認ください。

よくある質問
生成AI利用ログ管理はなぜ必要ですか?
シャドーAIの利用による情報漏洩やコンプライアンス違反を早期に発見するためです。また、取引先や監査法人から利用実態の説明を求められた際に、客観的な記録として提示できるようにする上でも役立ちます。
生成AI利用ログ管理の必要性については下記をご覧ください。
中小企業でも生成AI利用ログ管理は必要ですか?
生成AI利用ログ管理は、企業規模にかかわらず必要です。生成AIツールは従業員個人の判断で利用を始められてしまうため、情報漏洩などのリスクは規模を問わず存在します。大規模なシステム投資をしなくても、低コストで利用できるログ管理機能付きのAIプラットフォームを選ぶことで対応できます。
生成AIの利用ログはどのように取得できますか?
生成AIの利用ログは、ブラウザの拡張機能やネットワーク機器のログから取得する方法のほか、ログ管理機能を備えた生成AIプラットフォームを導入して取得する方法があります。個別のAIツールを都度導入している場合は、ツールごとにログの取得方法や形式が異なるため、管理が煩雑になりやすい点に注意が必要です。
生成AIログ管理ツールを選ぶ際の基準を教えてください
生成AIログ管理ツールを選ぶには、SSO認証やIP接続制限、権限管理といった企業ユースに適したセキュリティ機能を備えているかがまず基準になります。加えて、複数の生成AIモデルの利用ログを一元的に管理できるか、導入後の運用定着まで支援を受けられるかも、選定のポイントになります。
既存システムと組み合わせたログ管理はできますか?
製品によっては、既存のログ管理ツールやSIEMなどと連携し、生成AIの利用ログを一元的に集約・管理できるものもあります。導入前に、自社で利用中のシステムやクラウドサービスと連携できるかを確認しておくとよいでしょう。
当サイトに掲載されている情報(記事、資料、動画、テンプレート等)については、その正確性および妥当性の確保に努めておりますが、ご利用に際しては、利用者ご自身の責任においてご判断ください。なお、個別の事情に応じては、専門家へのご相談を含め、適切な対応をご検討いただくことを推奨いたします。
当サイトに掲載されている情報(記事、資料、動画、テンプレート等)については、その正確性および妥当性の確保に努めておりますが、ご利用に際しては、利用者ご自身の責任においてご判断ください。なお、個別の事情に応じては、専門家へのご相談を含め、適切な対応をご検討いただくことを推奨いたします。






























