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シャドーAIとは?リスクと企業が取るべき対策を解説

本記事では、シャドーAIが増えている背景と、企業が直面するリスク、そして実践すべき対策のステップについて解説します。

- シャドーAIとは?
- シャドーAIとシャドーITの違い
- シャドーAIが増えている背景
- AIによる業務効率化のニーズ
- 企業でのAI環境整備の遅れ
- シャドーAIが企業にもたらすリスク
- 機密情報・個人情報の漏洩
- 著作権侵害・コンプライアンス違反
- ハルシネーションによる業務品質の低下
- セキュリティリスクの拡大
- コストの重複・非効率化
- シャドーAI対策の4つのステップ
- ステップ1:利用中のAIツールを棚卸しする
- ステップ2:ガバナンス体制と利用ルールを整備する
- ステップ3:安全に使える公式AIツールを整備する
- ステップ4:従業員教育と継続的なモニタリングを行う
- シャドーAIエージェントへの対応
- AIエージェントとは?
- AIエージェント特有のリスクを理解する
- シャドーAI同様に可視性を確保する
- 「Benefitter AgentPro」で安全なAI活用環境を整備しよう
シャドーAIとは?
「シャドーAI」とは、企業が把握・許可していないAIツールやAI機能を、従業員が個人の判断で業務に利用している状態を指します。管理者側が利用実態を管理できていないという意味合いで、「野良AI」と呼ばれることもあります。
シャドーAIとされるAIの対象は、ChatGPTなどの生成AIサービスの利用だけではありません。ブラウザの拡張機能や、既存のSaaSに標準搭載されたAI機能を無許可で使うケースも含まれます。普段の業務ツールに組み込まれたAI機能ほど、従業員自身が「シャドーAIを行っている」という自覚を持ちにくい点も特徴といえるでしょう。
シャドーAIとシャドーITの違い
シャドーITは、IT部門が把握・承認していないSaaSやクラウドサービスの利用全般を指す包括的な言葉です。一方、シャドーAIはその中でも、AIツールやAI機能の無許可利用に対象を絞った概念です。
シャドーAI特有のリスクとして、入力したデータがAIモデルの学習に利用される可能性や、AIが事実に基づかない誤情報を生成する「ハルシネーション」による誤情報の拡散が挙げられます。これらは従来のシャドーIT対策では想定されていなかったため、シャドーAIには従来とは異なる視点での対応が求められます。
シャドーAIが増えている背景
シャドーAIが拡大している背景には、現場側の効率化ニーズと、企業側の環境整備の遅れという、2つの背景があります。それぞれについて確認しましょう。
AIによる業務効率化のニーズ
シャドーAIが増えている背景のひとつとして、AIによる業務効率化のニーズが挙げられます。
生成AIツールの多くは無料、または低コストで導入できるため、資料作成や翻訳、コード生成といった業務の効率化を、現場が短期間で実感しやすい点が特徴です。実際に使ってみて効果を体感すると、その便利さから利用を継続したいと考える従業員も少なくありません。
こうしたツールは個人でも手軽に導入できるため、組織側が利用実態を把握する前に利用が広がりやすい点が課題です。現場の業務効率化ニーズの高さが、結果としてシャドーAI化を後押ししていると考えられます。
企業でのAI環境整備の遅れ
AIツールの普及速度に対して、企業側の利用ルール策定などの環境整備が追いついていないことも、シャドーAIが増えている要因のひとつです。
現場でAIを使いたいというニーズが発生してから、公式のAIツールを選定し、AI環境を整えられるまでには、数ヵ月程度のタイムラグが生じることもあります。この「空白期間」があることで、シャドーAI化を招きやすくなっているのです。
また、企業内でAI利用環境が整っていても、従業員が業務で求める機能を十分に備えていない場合もあります。そうしたケースでも、現場が個人の判断で外部の生成AIサービスを使い始めてしまうことがあります。
シャドーAIが企業にもたらすリスク

シャドーAIを放置すると、企業は複数の観点でリスクを抱えることになります。ここでは、代表的な5つのリスクを紹介します。
機密情報・個人情報の漏洩
シャドーAIを放置すると、機密情報・個人情報の漏洩のリスクがあります。
企業のIT部門が把握・許可していないAIツールは、利用規約や学習ポリシーが十分に確認されないまま使われるケースが少なくありません。そのため、業務資料や顧客情報を入力した場合、入力内容がAIの学習データとして利用されたり、事業者側のインシデントによって外部に流出したりするリスクがあります。
情報漏洩が公になれば、取引先や顧客からの信頼を損なうだけでなく、原因の調査や説明対応にも多くの時間とコストがかかることになります。
個人情報の漏洩については、下記の記事をご覧ください。
関連記事:個人情報が漏洩するとどうなる?原因や対策、事例を解説
著作権侵害・コンプライアンス違反
シャドーAIでは、組織のチェック体制が及ばないまま生成AIツールが使われるため、商用利用が禁止されたツールで作成した成果物を意図せず公開してしまうなど、著作権侵害・コンプライアンス違反につながることもあります。
企業による商用利用の可否や、出力物の権利関係が事前に確認されないまま生成AIを利用すると、AIが出力した画像や文章によって既存の著作物の権利を侵害してしまうかもしれません。既存著作物との類似性を避ける方法や、類似性が生じた場合の対処方法が社内で共有されていないと、著作権侵害やコンプライアンス違反につながりやすくなります。
特に、Webサイトや広告など社外に公開する用途でAI生成物を利用する場合は、権利侵害のリスクがより大きな問題に発展しやすいため、慎重な確認が求められます。
ハルシネーションによる業務品質の低下
ハルシネーション(AIが事実に基づかない誤った情報を出力する現象)自体は生成AI全般に共通するリスクです。しかし、シャドーAIの場合は、誤りを検知・是正する仕組み(RAGの活用やチェック体制など)が整っていないまま、書類作成や顧客対応に使われてしまう点が特有の課題といえます。
従来のITガバナンスの対象外で使われるため、ハルシネーションが発生しても組織的な検証・是正の仕組みが働かず、誤情報の拡散や信用低下を招きやすくなります。誤った内容がそのまま社外に発信されてしまえば、訂正対応に追われるだけでなく、企業としての信頼低下にもつながりかねません。
セキュリティリスクの拡大
企業の管理外で導入されたAIツールやブラウザの拡張機能は、脆弱性の有無やアクセス権限の設定が事前に確認されていません。既存のセキュリティ対策の対象からも外れてしまうため、マルウェアの感染や不正アクセスの新たな侵入経路になる可能性があります。
特に、ブラウザの拡張機能は権限の範囲が広く設定されているケースも多く、業務データへのアクセス権を持つものもあるため注意が必要です。侵入経路が増えるほど、検知や対応にかかる負担も大きくなってしまうでしょう。
既存セキュリティ対策の限界と現状については、下記の記事をご覧ください。
関連記事:なぜ既存セキュリティでは生成AIを守れないのか?|エンタープライズAI時代の新たな脅威と対策
コストの重複・非効率化
部署やチームごとに同種のAIツールを個別に契約すると、ライセンス費用や運用コストが重複し、結果的に無駄なコストが発生してしまいます。利用実態が可視化されていない状態では、どの部署が何にいくらの費用をかけているかも把握できず、コストの最適化や契約の統合といった機会を逃してしまうことになるでしょう。
似た機能を持つツールが複数の部署で並行稼働している状態は、単なるコストの無駄にとどまらず、社内のAI活用方針そのものが定まっていないことの表れともいえます。
シャドーAI対策の4つのステップ

シャドーAIへの対策は、利用を一律に禁止することではありません。「可視化」「ルール整備」「ツール提供」「教育」の4つのステップを順に進めることが有効です。それぞれのステップについて解説します。
ステップ1:利用中のAIツールを棚卸しする
まずは、シャドーAIを含むAIツールが、どの部署・端末から利用されているかを把握することから始めましょう。アクセスログの確認など、実態調査から着手するのが基本的な進め方です。
利用実態を把握できていない状態のまま対策を検討すると、的外れなルールになってしまうおそれがあります。そのため、棚卸しの際は、IT部門だけで進めるのではなく、各部署の管理者にもヒアリングを行うことで、より実態に近い利用状況を把握できるようになります。
ステップ2:ガバナンス体制と利用ルールを整備する
棚卸しによって把握した利用実態をもとに、AIツールの利用を「許可」「条件付き許可」「禁止」の3段階に分類します。その上で、入力してはいけない情報の範囲を具体的に文書化したガイドラインを策定することが重要です。
ルールが曖昧なまま運用すると、判断が現場に委ねられてしまい、再びシャドーAI化を招く原因になりかねません。ルール策定にあたっては、法務・コンプライアンス部門とも連携し、業界特有の規制やガイドラインも踏まえて検討することが大切です。
ステップ3:安全に使える公式AIツールを整備する
利用を禁止するだけでは、シャドーAI対策として十分ではありません。現場のニーズに応えるだけでなく、セキュリティ要件を満たした公式AIツールを選定し、環境を整備しましょう。下記のような要件を満たすツールが理想といえます。
<公式AIツールに求められる要件>
厳格な認証・アクセス制御・ログ管理ができる
現場で使いやすく、業務プロセス全体の自動化を実現できる
国内データセンターでの稼働や非学習保証など、エンタープライズ水準のセキュリティ要件を満たしている
全社一括で導入でき、ライセンス費用の重複を防ぎコストを最適化できる
ステップ4:従業員教育と継続的なモニタリングを行う
ルールを定めるだけでなく、なぜそのルールが必要なのかを従業員に教育することも大切です。背景を理解してもらうことで、ルールが形だけのものにならず、実際の行動に反映されやすくなります。
また、利用状況のモニタリングと、必要に応じたルール改訂のPDCAを継続的に回すことも欠かせません。AIツールや利用実態は今後も変化し続けるため、一度整備した体制を維持し続けるための運用が求められます。
教育も一度実施するだけでなく、AIツールの機能や社内ルールの改訂に合わせて、継続的に更新していくことが重要です。
シャドーAIエージェントへの対応
生成AIの活用が進むにつれて、自律的に業務を実行する「AIエージェント」の利用も広がりつつあります。ここでは、シャドーAIエージェント特有のリスクと、その対策の考え方について解説します。
AIエージェントとは?
従来の生成AIは、人が質問を入力し、AIが回答を返すという使い方が基本でした。これに対し、「AIエージェント」とは、AIが目的に向かって自律的に判断・実行するシステムのことで、自律性の有無が生成AIとの違いです。
AIエージェントの実行範囲が広がるほど、業務効率化への貢献度は高まる一方で、統制すべき対象も増えていきます。
AIエージェント特有のリスクを理解する
承認を得ずにAIエージェントを利用する状態は、「シャドーAIエージェント」として新たなリスクを生みます。AIエージェントは自律的に動作するため、従来のシャドーAI以上に「誰が何を実行させたか」を把握することが難しい点が特徴です。
AIエージェントは会話への応答にとどまらず、自律的にシステム操作やAPI実行まで行う点が特徴です。そのため、従業員が個人の判断でAIエージェントを構築し、社内システムに接続してしまうと、設定ミスによる誤動作や、不要な権限を通じた機密データへのアクセスなど、従来のシャドーAI以上に被害が深刻化しやすくなります。
権限やログを追跡できなくなるリスクもあるため、不適切な実行があった場合に「誰が承認し、誰が管理責任を持つか」という責任の所在を明確にしておくことが重要です。
AIエージェントのセキュリティリスクについては、下記の記事をご覧ください。
関連記事:AIエージェントのセキュリティリスクとは?|対策、運用のポイントを解説
シャドーAI同様に可視性を確保する
シャドーAIエージェントへの対策も、通常のシャドーAI対策と同様に、実行内容を可視化できる仕組みを整えることが基本です。利用制限を優先するのではなく、可視性の確保を優先させる考え方が求められます。
特にAIエージェントを全社で安全に管理したい場合は、権限管理と実行ログを一元的に可視化できる基盤を整備することが、有効な選択肢のひとつとなります。
「Benefitter AgentPro」で安全なAI活用環境を整備しよう
シャドーAIは、企業にとって避けて通れない課題といえます。情報漏洩などのリスクを防ぐには、利用実態の可視化とルール整備、安全に使えるAI環境の提供、教育の継続が欠かせません。シャドーAI対策は、全面禁止にするのではなく、安全に使える公式AIツールを選定し、環境を整備することが大切です。
伊藤忠テクノソリューションズの「Benefitter AgentPro」は、生成AIやAIエージェントの利用状況を可視化し、権限管理・ログ管理によって安全に統制できる全社的なAI活用基盤です。安心してAI活用を全社に広げたい方は、ぜひ資料をご確認ください。

よくある質問
シャドーAIを防ぐにはどうすればいいですか?
生成AIの全面禁止だけでは現場での利用を止めることができず、かえって水面下での利用を助長してしまいます。「利用実態の可視化」「ガバナンス・ルールの整備」「安全に使えるAI環境の提供」「従業員教育とモニタリング」を段階的に進める方法が有効です。
シャドーAIを防いだほうがいい理由は何ですか?
シャドーAIを防いだほうがいい理由は、IT部門や法務・コンプライアンス部門のチェックが及ばないまま利用が広がってしまうためです。機密情報の漏洩や、著作権侵害・コンプライアンス違反、ハルシネーションによる業務品質の低下、既存のセキュリティ対策の対象外になることなどが、代表的なリスクとして挙げられます。
シャドーAIのリスクについて詳しくは下記をご覧ください。
シャドーAI対策は企業規模に関わらず必要ですか?
企業規模にかかわらず、シャドーAI対策は必要です。生成AIツールは従業員個人の判断で導入できてしまうため、従業員数の数に関わらず、情報漏洩やコンプライアンス違反のリスクがあります。
AI利用を禁止すればシャドーAIは防げますか?
AI利用を禁止しても、シャドーAIは防げるとは限りません。AI利用を禁止すると、よりシャドーAIを助長させてしまいます。使いやすい公式AIツールを選定して環境を整え、個人利用に頼る動機そのものを減らすことが重要です。
社内でシャドーAI対策を進めるには、どこから着手すればいいですか?
シャドーAI対策を進めるには、利用実態の可視化から着手しましょう。自社で使われているAIツールを洗い出した上で、段階的にルール整備、ツール提供、教育へと進めていくことが、無理のない対策の進め方といえます。
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