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生成AIで生産性は上がった。では、誰の仕事が増えたのか


- 生成AIで生産性は上がった。では、誰の仕事が増えたのか
- 1. 生成AIで成果が上がっても、担当業務が減るとは限らない
- 1-1. 8割以上が、生産性や成果物の質の向上を実感
- 1-2. 生成AIで業務量が増えた人は47.2%、減った人は8.3%
- 2. 生成AIの活用差が、職場の業務配分を変える
- 2-1. 75.3%が、生成AIを活用できる人とできていない人の差を認識
- 2-2. 活用差を感じる人の69.5%が、使える人への業務集中を認識
- 3. 生成AI導入後に確認したい3つの問い
- 3-1. 業務時間が減ったのか、処理できる業務量が増えただけなのか
- 3-2. 依頼や相談が、同じ社員に集まっていないか
- 3-3. 増えた役割を、育成・業務配分・評価に反映できているか
- 4. 生成AIの成果を組織全体へ広げるには、業務集中の理由まで確認する
- 4-1. 全調査では、成果から対策までを一連の流れで確認
生成AIで生産性は上がった。では、誰の仕事が増えたのか
生成AIの導入効果を確認する時、多くの企業では、作業時間の短縮や処理件数の増加、成果物の質、利用者数などを指標にします。数値が改善していれば、導入は順調に進んでいると評価できるでしょう。
成果が見え始めた段階で、次に確認したいのが、その成果を誰の働き方が支えているかです。
生成AIによって1つの作業が早く終わっても、空いた時間に別の仕事が加われば、担当者の業務量は減りません。生成AIを使いこなせる社員に依頼や相談が集まり、成果を上げた人ほど忙しくなっている場合もあります。
生成AIの効果と社員の負担を別々に見るのではなく、導入後に「誰が新たな仕事を引き受けているか」まで確認する必要があります。
本稿では、大企業に勤務し、業務で生成AIツールを利用している正社員218名への調査をもとに、生成AI導入後の業務配分について考えます。業務が集まる具体的な理由や行っている対策については、全調査をまとめたホワイトペーパーで紹介します。
1. 生成AIで成果が上がっても、担当業務が減るとは限らない
1-1. 8割以上が、生産性や成果物の質の向上を実感
生成AIの導入によって、作業の進め方が変わった職場は少なくないでしょう。文章や資料の下書きを短時間で作成したり、情報を整理したりすることで、従来より多くの仕事を処理できるようになります。
調査では、生成AIの活用によって、自身の業務の生産性や成果物の質が向上したと思うかを尋ねました。「非常にそう思う」は29.4%、「ややそう思う」は56.0%となり、合計85.4%が向上を実感しています(Q1)。

調査対象の多くが効果を感じている点から、生成AIの導入自体は、一定の成果につながっていることがうかがえます。
一方、生産性が向上したという事実だけでは、担当者の働き方がどのように変わったかまではわかりません。作業時間が短くなった分、余力が生まれた人もいれば、追加の仕事を任された人もいるためです。
生成AIの成果を評価する際は、処理速度や成果物の質に加え、担当者の業務量がどう変化したかも確認する必要があります。
1-2. 生成AIで業務量が増えた人は47.2%、減った人は8.3%
生成AIによって仕事を早く終えられるようになると、担当者が処理できる業務量も増えます。企業にとっては生産性の向上ですが、担当者にとっては、新たな仕事を引き受ける余地が生まれたとも捉えられます。
調査では、生成AIを業務で活用するようになってから、自身が実際に担当する業務量がどのように変化したかを尋ねました。「大幅に増えた」は15.1%、「やや増えた」は32.1%となり、合計47.2%が業務量の増加を感じています(Q2)。
一方、「やや減った」は6.9%、「大幅に減った」は1.4%で、業務量が減った人は合計8.3%にとどまりました。

生成AIによって生産性や成果物の質が向上しても、担当者に余裕が生まれるとは限りません。処理できる業務が増えた結果、案件数が増えたり、従来より難しい仕事を任されたりする可能性があります。
調査は回答者本人の認識を尋ねたものであり、生成AIだけが業務量増加の原因だとは断定できません。ただ、生成AIの導入効果を作業時間の短縮だけで判断すると、短縮した時間に何の仕事が追加されたかを見落とします。
「何時間減らせたか」だけではなく、「減らした時間が誰の余力になり、誰の追加業務に変わったか」まで確認して、初めて社員の負担を捉えられます。
2. 生成AIの活用差が、職場の業務配分を変える
2-1. 75.3%が、生成AIを活用できる人とできていない人の差を認識
生成AIを導入しても、全ての社員が同じように使えるようになるわけではありません。利用する業務の種類や経験、本人の判断によって、職場内でも活用度に差が生じます。
活用度の差を、社員個人の得意不得意として扱うだけでは、職場で起きている変化を十分に把握できません。生成AIを使えるかどうかが、仕事を誰に任せるかという判断にも影響するためです。
調査では、職場で生成AIを活用できている人とできていない人の差が生じていると感じるかを尋ねました。「非常にそう感じる」は24.8%、「ややそう感じる」は50.5%となり、合計75.3%が職場内の活用差を感じています(Q6)。

生成AIを使える社員は、短時間で仕事を進めたり、従来より幅広い業務に対応したりできるようになります。上司や同僚から見れば、仕事を任せやすい存在になるでしょう。
活用度の差が広がると、生成AIを使える社員へ新しい仕事が集まり、使えていない社員との間で担当範囲にも差が生じる可能性があります。
生成AIを使える人を増やすことに加えて、活用度の差が職場の業務配分にどう表れているかも見ておく必要があります。
2-2. 活用差を感じる人の69.5%が、使える人への業務集中を認識
生成AIを使いこなせる社員には、自分の担当業務だけでなく、周囲からの依頼や相談も集まりやすくなります。
資料の作成を頼まれる、生成AIの使い方について質問を受ける、ほかの社員が作った成果物を確認する。正式な担当業務として記録されない仕事も含め、負担が増えている場合があります。
Q6で職場内の活用差を感じていると回答した164名に、生成AIを使いこなせている人へ業務や依頼が集中し、以前より多忙になっていると感じるかを尋ねました。「非常にそう感じる」は23.2%、「ややそう感じる」は46.3%となり、合計69.5%が業務の集中を感じています(Q7)。

成果を上げられる社員に重要な仕事を任せること自体は、組織運営として不自然ではありません。生成AIの導入初期には、経験のある社員へ一定の業務を集めた方が、活用を進めやすい場合もあります。
確認したいのは、業務の集中が一時的な役割分担なのか、同じ社員への恒常的な依存になっているのかです。
特定の社員に依頼が集まり続けていても、本人が対応できている間は、問題が表面化しにくい状態です。むしろ、処理件数や成果物の質が上がり、生成AIの導入が順調に進んでいるように見えます。
一方、担当者が不在になると業務が止まる、ほかの社員が経験を積めない、本人の本来業務が圧迫されるといった状態が生じていれば、個人の能力に依存した活用になっています。
生成AIを利用できる社員の数だけでなく、仕事や相談が誰に集まっているかまで確認することが欠かせません。
3. 生成AI導入後に確認したい3つの問い
生成AI導入後の業務配分を把握するために、管理職や活用推進部門は何を確認すればよいのでしょうか。
調査結果を自社の状況と照らし合わせる際は、次の3つの問いから考えると、処理速度や利用率だけでは見えない変化を整理できます。
3-1. 業務時間が減ったのか、処理できる業務量が増えただけなのか
1つの作業にかかる時間が短くなったことと、社員が抱える業務の総量が減ったことは同じではありません。30分かかっていた作業が10分で終わるようになっても、空いた20分に別の仕事が入れば、担当者の負担は変わらないためです。
見るべきは、1件あたりの処理時間ではなく、導入前後の担当件数、業務範囲、求められる難易度です。組織全体の平均値ではなく社員やチーム単位で確認すれば、効率化で余力が生まれた人と、新たな仕事を引き受けた人を分けて捉えられます。
3-2. 依頼や相談が、同じ社員に集まっていないか
業務量は、本人が担当している案件の数だけでは測れません。質問への対応や出力の確認といった、誰の仕事とも決まっていない依頼が重なっている可能性があるためです。
誰がどの依頼を受け、どれだけの時間を使っているのか。そして、その社員が不在になった時に止まる業務がないか。この2点は、案件の割り当て状況を追うだけでは把握できません。
3-3. 増えた役割を、育成・業務配分・評価に反映できているか
生成AIを使える人を増やす研修は、職場内の活用差を縮める方法の一つです。ただ、研修を実施しただけで、既に一部の社員へ集まっている業務が自動的に分散するわけではありません。
生成AIを使いこなせる社員が、周囲への相談対応や成果物の確認、ノウハウの共有まで担っている場合、従来の担当業務にはなかった役割が加わっています。
誰がどの業務を担当するのか。生成AIの使い方や判断基準をどのように共有するのか。相談や指導に使う時間を、目標や評価の中でどのように扱うのか。
育成、業務配分、評価を別々に検討するのではなく、増えた役割を起点に一緒に確認する必要があります。
4. 生成AIの成果を組織全体へ広げるには、業務集中の理由まで確認する
4-1. 全調査では、成果から対策までを一連の流れで確認
生成AIの導入によって成果が上がり、使いこなせる社員へ仕事が集まっているとしても、業務が集中する理由は1つではありません。
処理速度が上がったために任される案件が増えたのか、成果物の質を評価されて難しい業務を任されたのか、周囲から相談や指導を求められるようになったのかによって、検討すべき対応は変わります。
全調査をまとめたホワイトペーパーでは、生成AIによる生産性や成果物の質の変化から、担当業務量の増減と理由、職場内の活用差、使いこなせる人への業務集中までを順に確認しています。
さらに、担当業務が増えた人が、増えた業務量や求められる質に対して、現在の評価や報酬が見合っていると感じているかも尋ねました。業務量や負担の偏りを防ぐために行っている取り組みについても掲載しています。
生成AI導入後の業務配分や育成、評価制度について、自社で検討するための資料としてご活用ください。

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