事例

伊藤忠テクノソリューションズ(自社)

更新

カーボンクレジット付リース適用によりIT機器の省エネ化と環境貢献の実現へ

伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、大規模化・複雑化する解析・シミュレーション業務への対応にあたりシミュレーション基盤の入替を実施した。入れ替えるにあたりカーボンニュートラル実現のため省エネ機器の選定、カーボンクレジット付リースの採用を行った。本入替により、解析・シミュレーションの計算効率、省エネ性能の向上だけでなく、環境負荷低減も実現することができた。また、入れ替え前の機器についても資源の再利用ができるよう配慮している。

課題と効果

課題
  • 大規模化・複雑化する解析・シミュレーション業務への対応(計算効率の向上)
  • 2050 CTCグループ環境宣言』に基づく温室効果ガス排出量削減への貢献
  • 廃棄するIT機器の資源活用(資源の有効活用による循環型社会への貢献)
効果
  • 計算効率が約5倍に向上し、解析処理時の消費電力を約6割削減
  • 再生可能エネルギー(電力)由来クレジット(J-クレジット)を適用することでIT機器消費電力量相当の温室効果ガス排出量削減が可能
  • 東京センチュリーでのリース満了機器の適正処分による環境貢献を実現
  • J-クレジット
    省エネ設備の導入や再生可能エネルギーの活用によるCO2などの温室効果ガス排出削減量や、適切な森林管理によるCO2などの吸収量を、クレジットとして国が認証する制度。
    再生可能エネルギー(電力)由来クレジットのJ-クレジットは、他者から供給された電力(Scope2)に対して、再エネ調達量として温対法・省エネ法やSBTなどの報告に利用することが可能。

導入事例インタビューデータ

会社名
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
所在地
〒105-6950 東京都港区虎ノ門4-1-1
設立
1972年
従業員数
5,309名(単体・2024年4月現在)
事業内容
コンピュータ・ネットワークシステムの販売・保守、ソフトウェア受託開発、情報処理サービス、科学・工学系情報サービス、サポート、その他
URL
https://www.ctc-g.co.jp/
  • 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社

    エンタープライズ事業グループ 科学システム本部
    科学エンジニアリング第2部 技術第3課

    山田 弦

導入背景

ITを通じた社会課題の解決

伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、長年にわたり1万社超のお客様の課題をITの力で解決し、気候変動への対応や資源の有効活用などの社会課題に真摯に向き合い、持続可能な社会の実現にむけ貢献している。科学システム本部ではエンタープライズ向けのお客様に対して、解析・シミュレーション技術を強みとしたソリューションを展開している。近年、解析・シミュレーション業務のニーズが高度化・複雑化しており、現状のサーバは利用開始から長期間経過していることにより、計算時間に時間がかかり業務への対応に課題が出てくるようになった。また、計算に利用するシミュレーション基盤から温室効果ガスが排出されている状況も新たな課題として上がってきている。そこで、CTCでは解析・シミュレーション業務に利用する基盤を計算処理能力の向上に加え、環境に配慮し資源循環も考慮する形での刷新を目指した。

図:環境貢献に向けた取り組み

図:環境貢献に向けた取り組み

選定

ものづくりに関わるシミュレーションを安定した環境で実行

CTCの解析・シミュレーション業務は、お客様の製品開発に関わる様々な技術課題を解決する役割を担っている。サーバの製品選定は「お客様からお預かりしたデータを安全に保管できるオンプレミスのサーバ」であることが必須条件であった。そのため、基盤更新時のコンセプトは、環境貢献に向けた取り組みに合わせ以下の通り設定した。

図:シミュレーション基盤更新のポイント

図:シミュレーション基盤更新のポイント

環境貢献での機器調達においては、①「IT機器の省エネ化および機器集約による電力使用量の削減」②「利用する電力のカーボンオフセット」を行うことで製品から排出される温室効果ガスの削減を行うことを目指した。

図:カーボンクレジットの利用によるIT機器使用電力の温室効果ガス排出量削減イメージ

図:カーボンクレジットの利用によるIT機器使用電力の温室効果ガス排出量削減イメージ

効果

サーバ省エネ化/クレジット付リース利用による温室効果ガス削減の貢献

サーバの集約化を実現するにあたり、省エネ性能を考慮しHPE社製 ProLiantサーバとデル・テクノロジーズ社製PowerEdgeサーバを採用し、プロセッサはAMD社のAMD EPYCプロセッサを採用した。本プロセッサは処理計算を向上させた上で、プロセッサあたりのコア数を以前の1.5~2倍程度に増やすことができ、サーバ台数の削減に寄与することができた。これにより解析・シミュレーション実施時の計算時間および消費電力量に関して、サーバの刷新前後では、計算効率が約5倍に向上し、消費電力量もこれまでに比べ約6割削減することができた。

図:新解析システムに採用した主なIT機器

図:新解析システムに採用した主なIT機器

図:導入効果

図:導入効果

今回刷新したシミュレーション基盤は東京センチュリー株式会社のカーボンクレジット付リースを採用した。同社のサービスでは、IT機器から排出される消費電力量相当の温室効果ガス排出量をクレジットとして付与をする。手間となっていたクレジット調達を東京センチュリーにて実施するため、気軽にオフセットが可能となる。本サービスはIT機器のメーカーなどの制限なく始めることができるのも特徴である。

図:カーボンクレジットの利用イメージ

図:カーボンクレジットの利用イメージ

また、東京センチュリーではリース満了後の資産においても環境配慮を行っており、リース満了物件となるパソコンやサーバなどのIT機器にデータ消去サービスを実施し、中古品として販売するリファービッシュ事業や、ITAD(IT Asset Disposition)サービスによる、情報管理・環境保護などコンプライアンスに準拠した安全かつ適切な方法によるIT機器処分など循環型経済社会にも貢献している。

CTCは2050年までにネットゼロを目指す環境目標『2050 CTCグループ環境宣言』を掲げ、温室効果ガス削減に向けた取り組みを実施している。今回の機器刷新では、機器の省エネ化、消費電力のオフセットが実現されることによる、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みであると考える。

今後の展望

今後も科学システム本部では、解析・シミュレーションによる環境貢献だけでなく、環境負荷抑制(最新の省エネIT機器導入や資源循環型社会への貢献)にも意欲的に取り組んでいく。

CTCではお客様のIT化に向けた取り組み(最新の省エネIT機器導入推進)に加え、カーボンクレジットのスキームも利用し、 2050年カーボンニュートラル実現に向けてお客様と共にグリーントランスフォーメーション(GX)に向けた取り組みを推進していく。

  • このページについてツイッターでツイート(新しいウィンドウで開く)
  • このページをフェイスブックでシェア(新しいウィンドウで開く)

この事例に関するお問い合わせはこちら

※記載内容は掲載当時のものであり、変更されている場合がございます。