金融業界のクラウド・AI活用を加速!
高セキュリティでシステム基盤と業務アプリをサービスとして提供するC-NOAHとは?
伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)が提供する、金融機関のクラウドシフトと生成AI活用を加速させるプラットフォームサービス「C-NOAH」。金融業界特有の厳しいセキュリティ要件をクリアしながら、業務アプリケーションとシステム基盤をサービスとして利用できる。2025年4月のサービスリリース以降、既に50社近い企業からの引き合いがあるという。C-NOAHはどのように、顧客の複雑な課題を解決するのか。金融NEXT企画部の鷲尾、猪野と、金融システム開発戦略部の川島に話を聞いた。
課題と効果
課題
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- 金融業界特有の厳格なセキュリティ要件を満たした上で、クラウド移行とAI活用を、コストを抑制しながら同時に進める必要がある
- 業務ごとのツールやクラウドプラットフォームが乱立し、基幹システムとの連携工数や運用の負荷が高い
- レガシーシステムの設計書がなくブラックボックス化している、COBOL技術者の高齢化などによりシステム維持・改修に不安を抱えている
効果
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- FISCやPCI DSSに即した高水準のセキュリティ機能によるクラウド移行を実現
- マルチクラウド対応とAI・RPAを含む各種アプリケーションのワンストップ提供で運用業務を効率化
- 生成AIを活用した設計書自動生成やコードリライトにより、レガシー資産を新たな価値へと転換
導入事例インタビューデータ
- 会社名
- 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(略称CTC)
- 所在地
- 〒105-6950 東京都港区虎ノ門4-1-1 神谷町トラストタワー
- 創立
- 1972年
- 従業員数
- 単体 5,983名、CTCグループ 12,222名(2025年4月1日現在)
- 事業内容
- クラウド・AI・データ分析・サイバーセキュリティをはじめとするシステム販売・構築サービス。コンサルティングから運用・保守までのITライフサイクル全体にわたるサポート。科学・工学系ITサービスの提供。
- URL
- https://www.ctc-g.co.jp/
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伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
金融NEXT事業本部
金融NEXT企画部
ビジネス企画課
課長鷲尾 光平
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伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
金融NEXT事業本部
金融NEXT企画部
ビジネス企画課猪野 浩光
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伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
金融事業グループ
金融システム開発本部
金融システム開発戦略部付
リードスペシャリスト川島 耕二郎
課題
クラウド移行とAI活用を阻む、金融企業の課題とは
- C-NOAHは、どのような背景から生まれたサービスですか?
鷲尾: いま、多くの金融業界の企業では厳格なセキュリティ要件を満たした上で、クラウド移行とAI活用を、コストを抑制しながら同時に進めるという難題に挑んでいます。C-NOAHは、そうしたお客様のニーズに応えるプラットフォームとして、2025年4月より提供を開始しました。我々が目指しているのは、お客様が金融グレードのインフラ基盤の構築やアプリケーション開発にかかる初期費用や期間を抑え、AIを活用した業務プロセスの自動化、高度化を迅速に実現できるようにすることです。
川島: C-NOAHの基本コンセプトは、CTCが長年にわたり金融業界で培ってきた「信頼性を高く評価されているシステム構築ノウハウ」と「高度な専門性を持つエンジニアリソース」を、パッケージ型サービスとして提供することにあります。
さらに、クラウドリフトと生成AI活用において直面する様々な技術領域への対応も我々の知見であらかじめ捉え、組み込んで提供します。その意味でC-NOAHは、将来の不確実なニーズに応えるCTCの長期的なビジネス戦略の一つです。
- 実際にお客様から寄せられる課題は、どのようなものが多いのでしょうか?
猪野: もっとも多いのは、生成AIの活用です。どの金融機関もAIの活用を始めたものの、業務ごとのツールやクラウドプラットフォームがバラバラに乱立してしまう、基幹システムと連携するための開発・運用負荷が高いという課題を抱えています。また、新たなシステムを導入する際の高額なイニシャルコストがボトルネックとなることから、初期投資を抑え、ランニングコストとして利用できるモデルが求められています。さらに、レガシーシステムの設計書がなくブラックボックス化している、COBOLなどの言語に対応できる技術者が高齢化し、システム維持・改修に不安を抱えているといった声も、少なくありません。
効果
C-NOAHが導く、クラウドとAI活用の最適解
- では、C-NOAHがお客様の具体的な課題をどのように解決するのか、教えてください。まず、金融業界に求められる厳格なセキュリティ要件に対し、C-NOAHはどのように貢献できますか?
鷲尾: 金融業界では金融庁の監督指針と連携するFISCや、クレジットカード会員情報を保護するための国際基準であるPCI DSSなどの厳格なセキュリティ要件が、クラウド移行の大きな障壁となります。C-NOAHは、これらのガイドラインに即した高水準のセキュリティ機能を提供し、お客様のクラウド移行を強力にサポートします。金融グレードのセキュリティをプラットフォームとして提供できることがC-NOAHの最大の強みであり、お客様のクラウド移行を強力にサポートする根幹です。
- C-NOAHはマルチクラウド対応とのことですが、どのプラットフォームを選ばれるケースが多いのでしょう?
川島: C-NOAHは、Amazon Web Services(AWS)、他社クラウド、そしてオンプレミスにも対応したマルチクラウドプラットフォームです。現状、AWSを選択されるケースが多く、その背景には、CTCが長年にわたり培ってきたAWSでの豊富な構築実績と深い知見があります。AWSはセキュリティや可用性など、金融機関に求められる厳しい要件を満たす豊富なベストプラクティスを提供しており、C-NOAHの基盤はこれらを深く理解したCTCのエンジニアにより最適化されています。最近ではAWS以外のクラウドを希望される声も増えて来ています。 このようにお客様の課題や目的に合わせて最適なクラウド環境を提案できる柔軟性も、我々の強みです。
- インフラの構築や運用負荷の課題は、どのように解決できますか?
鷲尾: インフラの構築と運用をCTCがサービスとして一気通貫で提供します。これにより、お客様はインフラ面で確保すべき人員リソースを最小限に抑えられます。また、インフラ面の責任分界点が明確になるため、お客様側の管理負荷も大幅に軽減されます。お客様は、インフラの心配から解放され、本来注力すべきコア業務や、ビジネス変革のためのアプリケーション開発に集中できます。
- レガシーシステムの課題には、どのような解決策がありますか?
猪野: 先に述べたような、レガシーシステムの設計書がなく、ブラックボックス化している課題に対しては、CTCが独自開発した「C-CodeBlossom」が有効です。これは生成AIを活用してソースコードから設計書を自動生成し、システムをホワイトボックス化する事のできる開発効率化ツールで、レガシー言語間のコードリライトも可能なため、システムの改修や改善が容易になります。長年蓄積されたレガシー資産という「負債」を、今後のビジネスに活用できる「資産」へと転換可能な、画期的なソリューションです。
- AI活用のニーズに対し、C-NOAH上ではどのようなアプリケーションが提供されますか?
猪野: アプリケーションサービス群では、金融機関向けソリューションを網羅的に揃え、SaaSとして提供します。具体的には、自社開発のC-CodeBlossom(コード解析AI)、OctActor AI(トレーニングAI)、AI-OCR(LLMベースOCR)、AI-議事録(議事録生成AI)に加えて、RPAソフトウェア「UiPath Platform」などがあります。お客様の業務ごとのツールが乱立、都度システム連携のための開発・運用負荷がかかるといった負荷を軽減するため、自社ソリューションに加えて実績豊富な各ベンダーとも連携し、最適なツールをワンストップで提供します。また、各アプリケーションサービスとAIコンポーネントを組み合わせ、AI組み込み型サービスとして提供することも可能です。
- サービス導入の際、初期投資を抑えたいというニーズにはどのように応えますか?
猪野: 迅速に特定の業務課題を解決したいお客様にとって最適なアプローチとしては、AI機能単体など、部分的な利用から始めることも可能です。この場合、お客様はインフラ構築や運用を意識することなく、C-NOAHのプラットフォーム上で自由にアプリケーション開発ができます。
鷲尾: 一方、プラットフォームからアプリケーションまで含めてトータルで利用する場合、新規開発や既存アプリケーションの移行をCTCが全面的に支援します。各アプリケーションのプラットフォームが統一できれば、運用コストの大幅な削減など、理想的な変革の推進が実現します。いきなり統一が難しい場合は、段階的な実行も可能です。お客様は、自社の成長ステージに合わせ適材適所で、C-NOAHの価値をご利用いただけます。
今後の展望
金融で磨いた知見を活かし、多様な業種を支える次世代プラットフォームへ
- C-NOAHは今後、どのような展開を検討していますか?
鷲尾: 金融業界で求められる高セキュリティな基盤は、そのまま他業界に展開可能です。例えば製造業、金融サービスを内包する通信キャリアやメーカー企業、物流やリテールなど、機密情報や顧客情報の厳格な管理が求められるあらゆる業界に展開していく方針です。もちろん、生成AIの全社活用でいますぐ業務効率化を推進したいお客様にもマッチすると考えています。
- C-NOAHのサービスは、今後どのように進化していく予定ですか?
猪野: 今後、AWSをはじめとした各クラウド、オンプレミスに対応する「マルチクラウド化」をさらに進化させていきます。また、お客様が好きな時に好きなアプリ機能を利用できるオプションベースのクラウドを目指し、アプリケーションのラインナップも拡充していきます。
- 最後に、お客様へのメッセージをお願いします。
鷲尾: C-NOAHは2025年にスタートした新しいサービスですが、金融機関を中心に50社近いお客様から既に引き合いをいただいております。お客様が「自社で基盤やアプリケーションを持たずにサービスとして使いたい」「強固で安心なセキュリティ基盤を使いたい」「AIサービス活用を推進したい」といった課題やご要望をお持ちでしたら、ぜひ一度、私たちにお声がけください。C-NOAHは、お客様のクラウドとAI活用ジャーニーを共に歩む、真のパートナーとなれると確信しています。