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大和ハウス工業 様

更新

さらなるビジネス価値提供スピードの向上をねらいローコード開発基盤「OutSystems」を導入。

  • OutSystems

開発環境の標準化により、運用負荷軽減やガバナンス強化にも期待。

住宅総合メーカーとして、住まいから街、そして暮らし全般の領域まで幅広い事業を手がける大和ハウス工業では、ビジネス環境の変化へ迅速に対応するために、内製化を進めていた。しかし企業のデジタルトランスフォーメーションが加速する中、さらなる開発のスピード化を求めローコード開発基盤「OutSystems」を導入した。それまでモバイル対応の遅れが課題だったが、OutSystemsにより短期間で複数のモバイルアプリをリリースするなど、成果が表れている。今後はOutSystemsを開発時の社内標準とすることで、さらなる生産性向上とともに、現場部門からのニーズにより柔軟に応えられる体制を目指す。

大和ハウス工業様の集合写真

課題と効果

課題
  • ワークスタイル変革を加速させたい
  • 品質を確保した上で柔軟に開発したい
  • 開発生産性向上と、技術力強化を両立したい

ローコード開発基盤「OutSystems」導入

効果
  • これまで対応が遅れていたモバイルアプリを短期間で開発
  • アジャイル開発により、現場の要望に応えて改善を続けるスタイルへと意識改革
  • 開発プラットフォームの統合、標準化により、ガバナンス強化

導入事例インタビューデータ

会社名
大和ハウス工業株式会社
創業
1947年3月
設立
1955年4月
所在地
大阪府大阪市北区梅田3丁目3番5号
URL
https://www.daiwahouse.co.jp/新しいウィンドウで開く
  • 中野 研 氏

    大和ハウス工業株式会社

    情報システム部
    内製開発グループ
    グループ長

    中野 研氏

導入背景

開発生産性を高めるため、マネジメント視点での改革を進めた結果、技術力が課題に

住宅事業を中核に、賃貸住宅事業、マンション事業、流通店舗事業、法人企業の事業施設建築を担う建築事業、さらには再生可能エネルギー発電所の開発などを手がける環境エネルギー事業などを展開する大和ハウス工業。ここ数年は、デジタルトランスフォーメーションを推進し、なかでも施工現場のIT化を進める「デジタルコンストラクション」にも注力する。自動施工やデータの見える化などにより、労働人口減少や高齢化を背景に多くの問題を抱える設計から、現場管理、施工作業まで一連の作業の効率化に取り組む。そのなかで課題となったのが、価値提供スピードの向上であった。

「そもそも当社では2011年ごろから開発生産性を高めるため、プロジェクトマネジメント視点での改革を進めてきました。その結果、開発生産性は向上したものの、外注化が進み、情報システム部のメンバーはマネジメントに注力し、設計や実装に携わる機会が減り、技術力低下が懸念されていました(中野氏)」

社内の技術力が不足してしまった結果、不確実性の高い新たな取り組みが進みにくい事態に陥った。その最たる例がモバイル対応であり、競合他社と比較して取り組みが遅いことが懸念されていた。

「モバイル対応をベンダーから提案されても、社内でその妥当性を確認できません。確かに社員がマネジメントに特化し、開発を外注することで生産性は上がりましたが、基礎となる社内の技術力をあわせて強化する必要があると考えました(中野氏)」

内製化を進め、技術教育からスタート。短期間で成果を導くためローコード開発基盤に注目

社内の技術力を高めるため内製化を進め、内製開発グループが発足した。大和ハウス工業の情報システム部は、IT戦略などを手がける情報企画室、インフラやセキュリティなどを扱う基盤グループのほか、事業戦略ごとに対応するソリューショングループ、工場やCADによる設計などに対応するものづくりグループにて構成される。このソリューショングループ、ものづくりグループに横串を通す形で関わるのが内製開発グループだ。

「ビジネスの価値を素早く現場に届けるために、開発業務の標準化・自動化を推進するとともに、技術人材の育成に取り組むことで、開発や運用のスピード・柔軟性・安全性を高めることが内製開発グループのミッションです(中野氏)」

OSSのエコシステムを活用した若手への技術教育も実施し、アジャイル開発も取り入れたが、成果が出るまでには相応の時間がかかる。解決策を模索するなか、伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)から紹介されたのが「OutSystems」だった。

「当時は標準の開発基盤がなく、システムごとにベンダー側の提案に応じて技術を利用しており、複数の言語・技術が混在していました。また、以前の取り組みの結果、運用対象のシステム数が増え、運用負荷が高まっており、こうした課題もプラットフォームをOutSystemsに統一することで改善できるのではという期待がありました(中野氏)」

画面イメージ

システム概要・導入効果

専業ベンダーであり、第三者機関の評価も高い。今、選ぶなら「OutSystems」だと考えた

OutSystemsの持つ圧倒的な開発生産性は魅力だった。モバイル対応を進めたいとはいえ、言語を学ぶところから始めるような時間的な余裕はなく、IoT・AIなど次々に登場する新技術に対応する体制も必要になる。その基盤としてOutSystemsは有効だ。

「OutSystemsがローコード開発基盤の専業ベンダーである点も魅力的でした。専業ベンダーならば真摯な取り組みを期待できます。第三者機関の評価も非常に高く、今、ベストなツールを選ぶならOutSystemsだと考え、導入を決めました(中野氏)」

2019年9月に、OutSystemsを活用したモバイルアプリ「工事写真アプリ」の開発に着手し、わずか2ヶ月ほどでリリースした。これは、施工管理のために撮影している現場写真を適切に管理するためのものだ。開発はCTCに依頼、ユーザ部門もプロジェクトに参加し、アジャイル開発で進めていった。

「現場の要望を聞きながら素早く柔軟に対応できたことで、ユーザ部門の満足度は高かったです。既存の基幹システムと連携するにあたっていくつかの制約もありましたが、今までにないスピードで価値を提供できたと感じます。現在も現場のフィードバックを受けながら、改善を続けています(中野氏)」

CTCのサポートを受け、アプリを次々にリリース。ルール策定や標準化も実現

工事写真アプリに続いて、約2ヶ月でスケジュールアプリ、出退勤打刻アプリ、従業員検索アプリなどを次々に開発。内製での開発にも着手し、現在Webシステム含め17のアプリケーションが稼働している。

「ここまでスピーディな開発は、OutSystemsがなければできなかったと思います。工事写真アプリ以降は社内メンバーが主体となって開発しましたが、CTCには技術面・運用面含めて全面的にサポートいただきました(中野氏)」

CTCは、OutSystemsに関する技術面でのサポートに加え、CoE(Center of Excellence)構築、ルール策定による標準化など全般を支援した。せっかく開発基盤をOutSystemsに統一しても、OutSystems内のルールが整っていなければ効果は限られてしまう。導入とあわせて標準化を徹底するメリットは大きい。

「まずは成果を出すことを急いでいたこともあり、モバイルアプリ開発と並行してルール作りを進めていきました。CTCに対しては、周辺システムとの連携などでも“グレーゾーン”になっている領域をきちんと指摘したうえで、こちらに選択肢を提示して判断を仰ぐなど、主体的・能動的に動くところを高く評価しています(中野氏)」

こういった取り組みの結果、統制の取れたアーキテクチャを実現し、ガバナンスも取りやすい環境が整った。開発生産性は従来と比較し2割ほど改善しているものの、劇的と言えるほどの改善には至っていない。既存システムとの連携がネックになる部分もあるが、開発用の“部品”が揃ってくれば、生産性も上がると試算し、今後も取り組みを進めていく。

アプリ使用イメージ
アプリ使用イメージ

今後の展望

OutSystemsを社内標準とし、最大限活用できる体制を目指す

内製開発グループでは2週間間隔でのリリースをKPIとして掲げている。改修案件では達成できているが、新規開発となるとまだ難しいのが現状だ。

「1度開発して終わりという案件もありますが、それでは現場社員のニーズに応えきれません。現場の声を聞いて継続的に開発するためにも、改修を繰り返すアジャイル開発のスタイルを基本にしたいと考えています。KPIはそれをベースに設定しており、意識改革につながればと期待しています(中野氏)」

これからは、SaaS活用を進めるのとあわせ、スクラッチ開発が必要な場合はOutSystemsを前提とする方針だ。そのためにも情報システム部ではだれもがOutSystemsで開発できるよう目指していく。

「現場からの要望は多く、まだすべてに対応しきれていません。OutSystemsを使えるメンバーも限られていますし、最大限活用できているとは言えない状況です。現状は開発リソース不足が課題ですが、情報システム部内でOutSystemsの位置づけを高め、さらなる活用を進めていきます」

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