事例 KDDI株式会社 様

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消費電力76%削減。高性能と高効率の両立が、AIデータセンターの競争力を決める──KDDIとCTCの挑戦

大手総合通信事業者として、個人向け・法人向けに多様なソリューションを展開するKDDI株式会社(以下、KDDI)。「"つなぐチカラ"を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる」というビジョンのもと、時代を支える基盤となるAIデータセンターの構築に向けた技術検証環境をKDDI Telehouse 渋谷データセンター内に開設している。

AIの社会実装が急速に進む一方で、データセンターにはこれまで以上に高い処理性能と、省電力をはじめとした環境負荷の低減の両立が求められている。KDDIはそうしたAI時代ならではの課題にいち早く対応すべく、持続可能なAIデータセンターを見据えた技術検証環境を開設し、高発熱GPUサーバー向けの水冷技術実装に踏み切った。

今回、KDDI ビジネスインフラ技術本部 テレハウス技術部の三浦 洋輔 氏、田邊 快登 氏にお話を伺った。

(左から)KDDI ビジネスインフラ技術本部 テレハウス技術部 田邊 快登氏、KDDI ビジネスインフラ技術本部 テレハウス技術部 三浦 洋輔氏

(左から)KDDI ビジネスインフラ技術本部 テレハウス技術部 田邊 快登氏、KDDI ビジネスインフラ技術本部 テレハウス技術部 三浦 洋輔氏

AI需要の急拡大が、データセンターに新たな冷却技術への転換を促す

「命をつなぐ」「暮らしをつなぐ」「心をつなぐ」という3つの“つなぐチカラ”で、サステナブルな未来の実現を目指すKDDIでは、通信×AIを軸としたインフラ戦略を掲げてビジネスを展開している。データセンター事業においても、災害に強く、地域の持続的発展と、安心で豊かなデジタル社会の実現に貢献する次世代データセンターの構築・運用を目指している。

2025年4月、AIデータセンターの需要拡大を見据えた同社は、最先端のGPUサーバーを想定した冷却技術・電源技術の確立を目的とした技術検証環境をKDDI Telehouse 渋谷データセンター内に開設し、高発熱化が進む最新GPUを想定した水冷技術の実装検証に着手した。Telehouseブランドで展開する国内データセンターの設計・構築・運用を担うテレハウス技術部の田邊氏は、今回のプロジェクトについて次のように語る。

「AIの社会実装を支えるAIデータセンターの構築・運用にあたっては、高性能化の代償として電力消費が激しいGPUサーバーを、いかに高効率に冷却できるかが鍵となります。GPUサーバーの高度化を見据えた冷却技術として、データセンター内での実装例が少ない直接液冷方式の水冷技術の検証を行う必要があると考えました」(田邊氏)

KDDI ビジネスインフラ技術本部 テレハウス技術部 田邊 快登氏

KDDI ビジネスインフラ技術本部 テレハウス技術部 田邊 快登氏

既存のデータセンター内で使われている空冷方式では、高い負荷がかかるAIを稼働させるGPUサーバーの冷却技術として十分ではなかったという。そこでGPUサーバーの高性能を維持しながら、高効率化を実現できるAIデータセンターを開設するための一歩として、渋谷データセンターで水冷技術実装の検証を実施した。

プロジェクトの推進にあたり、データセンターの構築・運用について、技術面とファシリティ面の双方で豊富な知見を持つCTCへ技術支援を依頼した。

「CTCには以前からさまざまな領域で支援いただいており、強固な信頼関係を築いています。今回のプロジェクトでも、ITの領域からファシリティ領域までデータセンターの構築・運用にトータルで対応できるCTCの実績と技術力を高く評価し、技術支援を依頼しました」(三浦氏)

ITとファシリティの知見を併せ持つCTCの技術支援により、水冷技術実装の道筋を描く

渋谷データセンターでの水冷技術実装検証は、単なる技術検証にとどまらず、将来的なAIデータセンター展開を見据えた取り組みとして進められた。最先端のGPUを前提とした冷却設計を進めていくなかで、さまざまな課題に直面したという。

まず、液体(冷却水)をサーバールーム内に持ち込むという新たな取り組みのため、設計はもちろん、検証結果を実際の運用にどう落とし込んでいくかが大きなテーマとなった。漏水リスクへの対策や早期検知の仕組みづくりに加え、高発熱GPUサーバーの導入による消費電力増大への対応、商用利用を見据えた安全性・保守性の確保など、検討すべき課題は多岐にわたっていた。

こうした課題は、個別の技術対策では難しく、ITとファシリティの両面を一体で設計・検証するアプローチが不可欠だ。CTCとの議論を重ねながら、冷却方式に関わるファシリティ設計と、ITインフラ構成・運用の考え方をすり合わせることで、検証環境全体の整理と実装の道筋を描くことができた。 「水冷システムでは、従来の空冷方式以上にファシリティとITを密接に連動させる必要があると改めて実感しました。その両方を理解した上でCTCに伴走してもらえた点は非常に大きかったですね。実際、海外製の機器についても、港に到着した段階ですぐに仕様を確認し、そのまま検証環境に反映するといった対応をしていただき、心強く感じました」(三浦氏)

KDDI ビジネスインフラ技術本部 テレハウス技術部 三浦 洋輔氏

KDDI ビジネスインフラ技術本部 テレハウス技術部 三浦 洋輔氏

再現性と横展開を見据えたAIデータセンター構築・運用のガイドラインを策定

渋谷データセンターでの水冷技術実装検証は、環境構築を経て2025年8月から実施。検証と並行する形で、本格的なAIデータセンターとなる「大阪堺データセンター」の構築も進められた。今回のプロジェクトで培った水冷技術の実装に関する知見が随所に活かされ短期間でのAIデータセンターの構築に成功したという。

成功の背景には、水冷技術の知見だけでなく、同時並行で進められた運用手法のガイドライン策定があった。

将来的なAIデータセンターの新設を見据えたガイドラインの策定にあたっては、検証フェーズから関与してきたCTCの支援のもと、実証で得られた知見や業界動向を整理・体系化することで、再利用性の高い形に落とし込んでいる。

「CTCの全面協力のもとに作成したガイドラインは、初心者の方からデータセンターの構築にある程度精通されている方まで、様々な層に読んでいただける構成にしています。検証で得たノウハウだけでなく、業界の最新動向などについてもCTCの知見が盛り込まれた内容に仕上がっています。今回得られた知見を社内で横展開するという意味でも、ガイドライン化には大きな価値があると考えています」(田邊氏)

76%の削減が示す、次世代AIインフラの新しい基準

CTCの技術支援により進められた本プロジェクトは、全国にAIデータセンターを展開していくための基盤整備という目的を達成。水冷方式のみで冷却した場合、従来の空冷方式と比較して消費電力を約76%削減できるという結果が示されるなど、サステナビリティ対応の観点でも大きな成果が得られている。

KDDIでは、今回の取り組みの成果を、既存のデータセンターや、今後新設するAIデータセンターに展開していく予定だ。既に国内に関しては展開を進めており、今後は海外向けにも水冷技術の実装を進めていくことを検討している。

「AIデータセンターでは、高性能を追求するだけでなく、いかに安定的かつ効率的に運用し続けられるかが重要になります。今回の検証を通じて、そのための考え方や判断軸を社内にしっかり残せたことは、大きな収穫でした。CTCと一緒に取り組んだからこそ、実運用を見据えた形で整理できたと感じています」(三浦氏)

なお、CTCでは、次世代AIデータセンター向けの液冷ソリューション「cooliquid(クーリキッド)」の提供を開始している。ファシリティ要件の整理からITインフラ構築、運用保守までをトータルに支援するIT×ファシリティのワンストップソリューションとして、水冷技術の社会実装を後押しする位置付けだ。

田邊氏は、こうしたCTCの取り組みが、KDDIのAIデータセンター事業にも還元されていくことに期待を寄せる。

「現在もCTCと協議を続けながら、継続的な運用改善を進めています。AIデータセンターに求められる要件はこれからも進化していくと思いますが、そうした変化に柔軟に対応しながら、より高効率で信頼性の高いインフラを構築していきたいですね。水冷を含めた冷却技術は、これからも進化していくことは間違いありません。今後も技術支援を受けながら継続的な運用改善を進めてきたいと考えています」(田邊氏)

KDDIとCTCの技術支援で推進されるサステナブルな次世代AIデータセンターの取り組みは、AIの社会実装に挑む企業への、1つの答えといえるだろう。

データセンター

(左)渋谷データセンターの外観。
(右)大阪堺データセンター内の設備。渋谷DCの知見が生かされている。

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