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三菱電機ビルソリューションズ株式会社 様

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三菱電機ビルソリューションズ株式会社 ロゴイメージ

利用者の安全・安心を現場で支えるフィールドエンジニア向け技術情報活用システムを構築

  • EIMANAGER

ビル設備の総合サービス企業である三菱電機ビルソリューションズは、2022年4月に三菱電機のビルシステム事業と三菱電機ビルテクノサービス(旧社名)を統合して新たなスタートを切った。この経営統合により、エレベーター・エスカレーターの開発・製造から保守・リニューアルまで一貫した事業運営体制を実現するとともに、空調・冷熱機器や入退館システムなどの保守・運用管理も含めたビルのコア設備サービスをワンストップで提供する。

同社の事業を現場で支えるのが、全国約280か所のサービス拠点に配備された約6,000人のフィールドエンジニアだ。エレベーターやエスカレーターをはじめとする各種設備の保守・点検業務を担い、快適で安全な利用環境の維持に力を注ぐ。フィールドエンジニアが常に正確な作業を行うためには、取り扱う設備の機種や作業の情報をマニュアルや手順書で確認することが欠かせない。こうした技術資料を迅速に正しく揃えられる環境を整備するため、CTCが開発・販売する文書管理製品「EIMANAGER」を用いて「技術情報活用システム」を構築し、現場作業の品質向上を図っている。

課題と効果

課題
  • フィールドエンジニアが膨大な技術資料から現場作業に必要なものを探し出せない
  • 最新の資料を正しく参照できないと作業品質が低下し、設備の不具合につながってしまう
  • EIMANAGERによる技術情報活用システムの構築
効果
  • 4種類の検索機能で最新技術資料が効率よく入手可能になり、現場作業の品質が向上した
  • 現場のニーズに合わせた段階的な機能追加と改善が可能になった

導入事例インタビューデータ

会社名
三菱電機ビルソリューションズ株式会社
所在地
東京都千代田区有楽町1-7-1
資本金
50億円
代表者
代表取締役 取締役社長 松本 匡
従業員数
約13,000名(2022年4月1日現在)
URL
https://www.meltec.co.jp/新しいウィンドウで開く
  • 三菱電機ビルソリューションズ株式会社 日本事業統括本部 事業推進本部 業務統括部 技術管理部 管理G グループマネージャー 水谷 謙一郎氏

    三菱電機ビルソリューションズ株式会社

    日本事業統括本部
    事業推進本部 業務統括部
    技術管理部 管理G
    グループマネージャー

    水谷 謙一郎氏

膨大な技術資料の中から現場作業に必要なものを素早く探し出せる検索システムの構築

三菱電機ビルソリューションズが手掛けるビル設備の技術資料は約80種類にのぼる。保守・点検の現場では、設置されている設備・機器に関する複数の資料を同時に参照しながら作業を進める。これらの文書の電子化は2013年には一定の水準まで進んでいたものの、当時のシステムでは「マニュアル」、「手順書」、「設計図面」など文書の種別で分類・保存され、その保存場所も複数のファイルサーバーや電子キャビネットシステムに散らばっている状態だったという。フィールドエンジニア自らが担当する設備の資料をリストアップし、複数の保存場所から探して集めてくる必要があった。

また、各サーバーやシステムに検索機能はあるものの、全文検索は備わっておらず、資料名でしか検索できなかった。資料名が頭の中に入っているベテランのエンジニアであればそれほど問題はないのだが、経験の少ない若手が目的の資料をうまく探し出せないという課題もあった。最新の技術資料を正しく入手できないと、現場での作業品質が低下し、結果的に不具合の原因となってしまう。そこで、これらの課題を解決するため、現場のフィールドエンジニアが技術資料を有効活用できる仕組みの再構築に着手した。2014年のことである。

このプロジェクトをリードした日本事業統括本部 事業推進本部 業務統括部 技術管理部 管理G グループマネージャーの水谷謙一郎氏は次のように振り返る。「実際の現場作業は設備の機種別に行いますが、エレベーターとエスカレーターだけでも100機種以上あります。機種が増えることで必要な技術資料を正しく揃えることが難しくなってきました。資料の数も日々増えていきます。機種ごとに必要な文書を的確に見つけるための統合された文書管理の仕組みと優れた検索機能を整備することが急務となっていました」

段階的に機能開発・改善できるEIMANAGERと製品を知り尽くしたCTCの専任チーム

こうした背景から、技術資料の一括検索を可能にする新しいプラットフォームとして導入されたのが、「EIMANAGER」である。CTCが大手電機メーカーの依頼で現場の使いやすさに注力して開発した文書管理製品で、2006年の一般販売開始以来、製造・金融をはじめ様々な業種業態の企業に採用され、10万人以上のユーザー導入実績を持つ。パッケージ製品として充実した文書管理の標準機能群を備えているだけでなく、ユーザーの業務に合わせた機能開発を柔軟に行えるのが大きな特徴だ。

製品選定の決め手について、水谷氏は次のように述べている。「6社ほどの文書管理システムを検討した結果、フォルダ管理やファイルの版管理、ワークフローなどの基本機能に加えて、検索のための様々な機能を別個に開発・追加できるEIMANAGERを採用しました。他の製品も検索機能を作り込むことは可能でしたが、最初から組み入れる必要があり初期コストがかかるというデメリットがありました。その点、EIMANAGERは後から新しい機能を簡単に追加できるので、現場のニーズを確認しながら段階的に検索機能を追加したり、新たに出てきたニーズに対応した検索方法を導入したりすることが可能です。初期コストを抑えて、少しずつ拡充していけるメリットを感じました」

また、EIMANAGERがCTCの自社開発製品で、専任の開発・支援チームが対応するということも高く評価された理由の一つだという。「どこまでが標準でできて、どこからは作り込みが必要なのかが明快。自分たちが実現したいイメージを伝えるとその場で即答してくれる。こうした対応が信頼感を強くしました。まず中核の機能を作って公開し、その上で現場にとって何が必要かを考え、改善しながらリリースを繰り返すという開発手法を導入時から続けていますが、製品の強みも弱みも知り尽くしたCTCの専任チームとタッグを組めたからこそ実現できたと確信しています」(水谷氏)

4種類の検索機能で最新の技術資料が迅速・正確に入手可能になり、現場の作業品質が向上

2014年の導入以来、技術情報活用システムは毎年機能拡張を積み重ね、2022年現在、38種類/15万ファイルの技術文書をフィールドエンジニアおよび協力会社の技術者をあわせて約8,000人が利用している。最も懸案だった検索については、部門で管理している約80種類の技術資料を徹底的に調査・分析した上で、フィールドエンジニアの利用頻度の高いものに絞り込み、これらの資料への効率的なアクセスを可能にすることを目指した。さらに年代や経験の差で使い勝手が変わらないように、どんな人でも使いやすい検索機能を検討し、イメージ検索、作業検索、キーワード検索、横断検索の4種類の検索機能を開発・導入した。

その結果、主に次のような効果が得られているという。設備のイメージ画像から視覚的に目的の資料にたどりつけるイメージ検索では、技術の習熟度に左右されず必要な資料が迅速に入手できるようになった。入社したての若手エンジニアでも簡単に使える。特徴的なのは作業検索だ。保守・点検作業の現場では、扉の手入れやブレーキ分解といった作業項目が約400もあり、機種ごと、さらには扉などの部品の仕様ごとに作業項目が異なる。古いマンションのエレベーターと最新ビルのエレベーターでは当然作業項目が違う。作業検索では、標準的な作業項目を順次たどるだけで、その作業に必要な複数の資料を一覧で参照することができる。担当変更などで慣れていない機種を扱う場合も、時間をかけずに資料を揃えることが可能になった。(図1)

図1:EIMANAGER 技術情報活用システム

「当初から、いかに現場で使ってもらえるかを第一に、毎年そのための機能をリリースしてきました。導入前は経験値で作業していたものが手軽に技術資料を検索できるようになり、また現場で作業しながらアクセスすることもできるので、より正確な作業が可能になりました。導入初期は1か月に1万アクセス程度だったのが、現在は25万~30万アクセスまで増加しています。フィールドエンジニア個人個人のスキルアップに加えて、常に最新文書を確認できるようになったことで、より安定した作業が行えるようになり、単に設定値を間違えるといったケアレスミスが原因の故障は確実に減少しました」と水谷氏は導入効果を実感している。

フィールドエンジニアが間違いなく最新の技術資料を入手できるように、文書の更新・承認・通知のプロセスもEIMANAGERのワークフロー機能を用いて整備した。システム運用の面でも、以前はファイルサーバーや電子キャビネットシステムが乱立している状況だったが、EIMANAGERを導入するタイミングでプラットフォームを統一したことで、管理コストが削減できたという。さらに、東京と大阪に同じシステムを構築して、万が一の災害時に事業継続できるようにBCP対策も整え、日本全国で仕事をしているフィールドエンジニアに対して必要な時に必要な情報を届ける体制を確立した。(図2)

図2:EIMANAGER 技術情報活用システムのしくみ

“文書管理をするならEIMANAGER”、活用領域の全社的な拡大へ

EIMANAGERを使用した技術情報活用システムは、「現場だけでなく経営陣も含めて、非常によくできたシステムという高い評価」(水谷氏)を得た。こうした評価に後押しされ、EIMANAGERの活用は全社に広がっている。災害予防のためのリスクアセスメント情報システム(ユーザー数:約5,000人)や社規などの管理と配信を行う業務運営文書管理システム(同:約13,000人)が既に本格稼働している。見積書などの商談情報管理でも新たに活用が始まり、工事現場・設置現場の図面管理の検討も開始された。水谷氏は、「“文書管理をするならEIMANAGER”という空気が全社に広がりつつあります。異なる部門で管理する文書が違っても、その文書の種類や目的に応じて柔軟に構築できる優れた製品です」と話す。

また、「要件を正確にシステム化してくれるCTCの信頼感については、現在進んでいるいくつかのプロジェクトでも定評を得ています。私たちユーザー側は要求がいくらでもふくらむ。開発が進むと、こんな機能があると便利、これができるならこんなこともできるのでは、と次々とアイデアが浮かんでくる。それに対して、CTCの技術者やコンサルタントが私たちの要求を冷静に整理し、優先順位をつけて適切な提案をしてくれます。私が担当する技術情報活用システムでもまさにワンチーム。週に一度の頻度でミーティングを行い、開発が進んでリリース直前3週間前くらいになると毎日のように膝を突き合わせて議論を重ねました」と語り、これらのプロジェクトが両社の強固な協調関係の上に成り立つものとあらためて強調した。

今後も三菱電機ビルソリューションズの技術情報活用システムは、「現場で使ってもらえるシステム」を第一に考えた機能開発や改善を続けていく計画だ。フィールドエンジニアの保守・点検作業のさらなる品質向上を図り、その先にいる設備の利用者の安全・安心を守っていく。

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