事例

株式会社豊田自動織機 様

更新

SharePoint®ServerとLync®、iPadを活用したグローバルな経営情報システムを構築

  • Microsoft SharePoint® Server
  • Microsoft Lync®
  • Apple iPad

グローバル拠点を横断したKPIの“見える化”を実現

フォークリフトの世界販売台数シェアNo.1を持ち、グローバル化を加速する株式会社豊田自動織機は、海外拠点を含めたグループ全体のKPIを迅速に把握できるようにすることを目指し、トヨタ マテリアル ハンドリング グループ(以下、TMHG)が利用するグローバルな経営情報システム(TMHG経営情報システム)を構築した。SharePoint® ServerとiPadを連携させた情報ポータルとなるもので、受注台数や売上高などの実績、品質情報などのデータを一元管理する。これにより各グローバル拠点の役員は、必要なタイミングで、いつでも最新情報を入手することができる。

課題と効果

課題
  • グローバル拠点ごとに異なるデータの集約
  • いつでも最新情報を直感的に把握できる仕組み
  • 音声機能やGoogle Mapなどとの連動

SharePoint® Sever と Lync®、iPad を基盤とした情報ポータルの構築

効果
  • 全世界の拠点を対象としたKPIの”見える化
  • ビジネスの現況を直感的に把握できる環境の実現
  • 各拠点の役員や上級管理職によるディスカッションの活性化

導入事例インタビューデータ

会社名
株式会社豊田自動織機
所在地
愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地
設立
1926年
URL
http://www.toyota-shokki.co.jp/新しいウィンドウで開く
  • 株式会社豊田自動織機 トヨタL&Fカンパニー TMHG統括部 情報化推進室 グループ長 遠藤 圭 氏

    株式会社豊田自動織機

    トヨタL&Fカンパニー
    TMHG統括部 情報化推進室 室長

    遠藤 圭氏

  • 株式会社豊田自動織機 トヨタL&Fカンパニー 情報システム部 システム企画第三室 第1グループ 担当係長 佐野 拓馬 氏

    株式会社豊田自動織機

    トヨタL&Fカンパニー
    情報システム部 システム企画第三室 第1グループ 担当係長

    佐野 拓馬氏

  • 豊田ハイシステム株式会社 ITインフラ部 ITインフラ1課 課長 石田 武 氏

    豊田ハイシステム株式会社

    ITインフラ部 ITインフラ1課
    課長

    石田 武氏

導入背景

グローバル拠点の役員や上級管理職が必要なタイミングで、いつでも最新情報を入手できる仕組みを実現

トヨタグループの原点である自動織機のメーカーとして1926年に創業し、エアジェット織機やカーエアコン用コンプレッサー、世界販売台数No.1のフォークリフトなどを中心とした機械・部品メーカーとして知られる株式会社豊田自動織機は、精力的なM&Aを通じてグローバル化を推進している。背景にあるのは、2020年に向けた長期経営計画「2020年ビジョン」だ。「お客様のニーズを先取りする商品・サービスを継続的に提供することにより、世界の産業・社会基盤を支え、豊かな生活と温かい社会づくりに貢献する」というスローガンを掲げ、環境・エネルギー技術の革新、バリューチェーンの拡大、世界市場での事業展開にチャレンジしている。

フォークリフト関連の生産から販売、サービス提供までを担うTMHGは、「2020年ビジョン」を達成すべく、「TMHG IT 2020年ビジョン」を策定し、様々なシステム開発・改善を進めている。その1つが、グローバルな経営情報の“見える化”を目的としたTMHG経営情報システムの構築である。

豊田自動織機 TMHG統括部 情報化推進室の室長を務める遠藤 圭氏は、次のようにその狙いを話す。

「2000年代以降のM&Aによってグローバル拠点が急拡大する一方、各拠点から効率的にデータを収集できないという問題を抱えていました。別会社でもあった各拠点については、独自のシステムやガバナンスによって、頻度も粒度も異なるデータを運用しているため、シンプルに集約することができなかったのです。この“壁”を越えて受注台数や売上高などの実績値や品質情報を一元化することで、各拠点の役員や上級管理職が必要なタイミングで、いつでも最新情報を入手できる仕組みを実現したいと考えました」。

システム概要

プロジェクトチームがプロトタイプ構築で心がけたのは、役員の行動パターンや利用シーンをイメージすること

そこで、豊田自動織機のTMHG統括部が機能要件をまとめ、豊田自動織機の情報システム部とIT子会社の豊田ハイシステム株式会社がシステム化を担うプロジェクトチームを編成。TMHG経営情報システムの構築プロジェクトが2013年9月にスタートした。今回のTMHG経営情報システムがこれまでのシステム開発と大きく違っていたのは、ウォンツからのアプローチで仕様を策定していったことである。

「過去にも経営者専用の情報系システムを手がけた経験がなく、定義しなければならない要件そのものが手探りなのです。役員はどんな情報を、どのように見たいのか。潜在的なニーズを推察し、我々が具体的なプロトタイプのイメージを固めて提案するしかありませんでした」と遠藤氏は語る。

「携帯性を最も重視した上で、プライベートでiOSの操作性に慣れ親しんでいる役員が少なくなかったことからタブレットPCではなく、iPadをメインのエンドポイントデバイスにしました。加えてSharePoint® Serverを基盤にGoogle Mapのほか、音声や動画などの機能も統合した情報ポータルを構築すること、ビジネスの現況をビジュアルな画面で直感的に把握できるようにすることなど、プロトタイプの仕様を固めていったのですが、何もかもが“初めてづくし”の取り組みでした」と振り返るのは、豊田自動織機 情報システム部 システム企画第三室 第1グループの担当係長を務める佐野 拓馬氏だ。

こうした試行錯誤の中で、プロジェクトチームが常に心がけたのは、「役員の行動パターンや利用シーンをイメージする」ことである。豊田ハイシステム ITインフラ部 ITインフラ1課の課長を務める石田 武氏はこう語る。

「多忙な役員は毎朝の出勤途中に業界の最新ニュースをチェックし、出張した際には訪問先の経営トップのインタビューを聞いたり、最寄りの拠点の場所を地図で確認するとお聞きしました。そんな利用シーンを想像した時『必要だ』と行き着いたのが、移動中でも情報を得られる音声機能やGoogle Mapとの連動だったのです」。

そして、このTMHG経営情報システムの開発ベンダーに選定されたのがCTCである。

「トヨタグループが進めているワークスタイル変革プロジェクトの情報基盤でもあるSharePoint® Serverの業務適用に深い知見を持っていること、iPadの活用でも多くの実績を有していることなどが、CTCをパートナーに選んだ決め手となりました」と佐野氏は言う。

導入効果

全世界の拠点を対象としたKPIの統合ならびに“見える化”を推進

TMHG経営情報システムの第一弾は2014年7月末に完成し、運用を開始した。豊田自動織機にとって手探りの取り組みであったにもかかわらず、1年に満たないタイトなスケジュールでカットオーバーにこぎ着けることができた。

「SharePoint® ServerとiPad間の接続インタフェースをどのように実装するのかなど、簡単にはひも解くことができない深いレベルの仕様もCTCは熟知しており、高度な技術解析力と総合的なITサービスでプロジェクトを支えてくれました」と石田氏は評価する。

こうして稼働を開始したTMHG経営情報システムにより、役員は目標に対する国別の進捗状況を、月ごと、四半期ごと、年ごとといった自在な時間軸で集計することが可能となった。進捗率が目標を上回っている場合は「晴れマーク」、下回っている場合は「雨マーク」で表示されるため、詳細な数字を見るまでもなく直感的にビジネスの現況を把握できる。インターネット上に公開されている業界動向や関連各社の情報を収集し、同じ画面内に表示して確認することも可能だ。また、グローバルの各拠点の責任者間で情報連携を行うため、Lync®を活用し、インスタントメッセージや音声通話、ビデオ通話によるコミュニケーションの活性化を図っている。

そして何よりも大きな成果と豊田自動織機がとらえている点は、全世界の拠点を対象としたKPIの“見える化”を推進できるようになったことである。

「現実には各拠点から集めやすいデータだけを集めているレベルにあり、基幹DBからのデータの自動収集などもまだまだ不十分です。しかし、実際に使えるシステムを提供できたことで、各拠点の役員や上級管理職が様々な意見を出し合いながらKPIをブラッシュアップしていくことができる発展の土台が整いました」と遠藤氏は語る。

今後の展望

“見える化”に続くステップとして、得られた情報を素早く分析できる仕組みづくりに着手

豊田自動織機におけるグローバルな経営情報システムへの取り組みは緒に就いたばかりであり、プロジェクトチームはむしろ「これからが本番」と今後を見据えている。

「目下は、TMHGの中で利用を定着させていく活動をサポートすることが重要ですが、情報システム部門としては今後のユーザーや利用シーンの拡大も見据えて、マルチデバイス/マルチブラウザ環境も検討・推進していきたいと考えております」と佐野氏は語る。

「アジャイル開発の手法を取り入れ、さらなるスピード感をもって新機能を展開していきます。また、データドリブンで自動的に最新情報をシステムに反映していく仕組みを拡充し、データ入力を行うビジネス現場の担当者の作業負荷を軽減していきたいと考えています」と、石田氏も今後に向けた意気込みを示す。

「単なる情報の“見える化”で満足してはなりません」と語るのは遠藤氏だ。

「可視化された情報に対して素早い分析を行い、経営判断をスピードアップし、実務現場に効果的なアクションを展開していくサイクルを確立することができて、はじめて売り上げ向上や収益向上などのトップラインの成果を上げることができます。“見える化”に続くステップとして、分析の仕組みづくりに着手します」。

新たなテーマが次々に湧き上がってくる中、CTCに対する期待もますます高まっている。

経営情報システムの画面

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  • Microsoft、SharePoint®およびLync®は、米国Microsoft Corporationの、米国およびその他の国における登録商標または商標です。
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