事例

株式会社ウィルコム 様

更新

「有害サイトアクセス制限サービス」システムを構築

スケジュールどおりに完成しノントラブルで稼働

未成年を巻き込んだ有害サイトによる悲惨な事件が頻発している。これを防止するため、ウィルコムが構築したのが「有害サイトアクセス制限サービス」システム。そのURLフィルタリングエンジンにBlue Coat SG8100を採用。テストに十分な時間をかけながらもスケジュールどおりに完成させ、以降ノントラブルで稼働している。

課題と効果

課題
  • 既存ネットワークを大幅に変更せずサービスを追加したい
  • フィルタリングの精度を高めたい
  • 高可用性を実現したい

Blue Coat Proxy SG8100 を採用しシステム構築

効果
  • IPアドレスを透過的に通すことで既存システムの変更を最小限に抑える、利用者への負荷もなし
  • テストを繰り返し、フィルタリングの漏れを徹底的に解消
  • 冗長構成にすることで高可用性を保障

導入事例インタビューデータ

会社名
株式会社ウィルコム
所在地
東京都港区虎ノ門三丁目4番7号
資本金
50億円
URL
http://www.willcom-inc.com/新しいウィンドウで開く
  • 株式会社ウィルコム 第一ノード開発部 課長補佐 岩織政弘 氏

    株式会社ウィルコム

    第一ノード開発部 課長補佐

    岩織政弘 氏

導入背景

国内唯一最大のPHS事業者 有害サイトアクセス制限に着手

株式会社ウィルコム 様 HP画面

1994年、ウィルコムは「DDIポケット」の名称でPHSサービスを開始。以来、一貫してPHS事業に取り組むとともに、そのインフラを利用したデータ通信サービス「AirH"」などのサービスを拡大してきた。2005年には社名をウィルコムに変更。国内唯一最大のPHS事業者としてビジネスを展開している。
同社は「有害サイトアクセス制限サービス」を2007年10月4日から提供。「ウィルコムは、2006年にキッズケータイ『papipo!(ぱぴぽ)』シリーズを発売しました。子供向け専用サイトにだけアクセスできるなど、保護者やお子様が安心してサービスを利用できるようにしています。それが、今回のサービスにより、ブラウザ機能を搭載した一部の端末でURLフィルタリングを利用できるようになりました」と、第一ノード開発部 課長補佐 岩織 政弘 氏は語る。
サービス開始のきっかけは、2006年11月に総務省より公表された「有害サイトアクセス制限サービス(フィルタリングサービス)の普及促進に関する携帯電話事業者等への要請」である。出会い系サイトやアダルトサイトなど、青少年にとって不適切なWebサイトが野放しとなっており、それらが悲惨な事件を巻き起こしている。これらの事件を未然に防ぐため、未成年が使用する端末からは有害サイトへアクセス不可にするよう、要請されたものだ。これに対応し、ウィルコムでは対策システムの構築検討に着手した。

既存ネットワークとの親和性やパフォーマンスによりCTC案を採用

2006年中にベンダー各社に提案を依頼し、翌2007年1月にはBlue Coat SG8100を提案したCTC案が採用された。「既存ネットワークとの親和性、十分なパフォーマンス、フィルタリング設定の柔軟性の3点で、CTCからの提案を採用しました」と、岩織氏は語る。
Blue Coat SG8100は、Webセキュリティなど多彩な機能を搭載したアプライアンスである。既存ネットワークとの親和性に優れ、ウィルコムのシステムを大幅に変更することなく、Webフィルタリング機能をアドオンできた。
パフォーマンスも専用ツールでテストを実行。「このテストにより、期待値の20倍以上のパフォーマンスが得られることがわかりました」(岩織氏)。そして、Blue Coat SG8100は、極めて柔軟で高度なURLフィルタリングの設定機能を持っており、ほとんどのフィルタリング条件に対応できる。
「加えてCTCの実績と技術力です。弊社で多くのシステムを構築している経験から、信頼していました」と、岩織氏はCTCのノウハウと技術力を認める。

システム概要

念入りなテストで不具合を解消 URLフィルタリングを意識せずに利用可能

2月から詳細設計と開発に入り、4月からテストを開始した。まずはCTCがテストを繰り返した上で、6月以降はウィルコムがテストを実施。さらに、実機によるフィールドテストを行い、特定機種で発生した文字化けなどの不具合を解決していった。「特にテストを重点的に行うことで、フィルタリングの漏れを徹底的になくしました」(岩織氏)。
カットオーバーは10月4日。既存ネットワークにWebフィルタリング機能を新たに組み込んだが、利用者はそれをまったく意識することはない。URLフィルタリングを実現するソリューションの中には、ユーザーに割り当てたアドレスをネットワーク装置が書き換えたり、アドレス変換したりしてインターネットに接続するものがある。これでは管理上不具合が発生するし、一部操作が制限される場合もある。この点、Blue Coat SG8100は利用者のIPアドレスを変更せず、従来と同じ感覚でインターネットを利用できる。

高可用性を実現 負荷分散装置でアクセスを分散

システム概要図

新システムは、8,000ユーザーの同時アクセスが可能となっている。PHS端末からインターネットへアクセスするインフラとなるため、可用性を重視し、負荷分散装置により4台のBlue Coat SG8100にアクセスを振り分けている。たとえ一部の機器に障害が発生しても、安定してサービスを実行できる仕組みだ。
フィルタリングに使用するURLデータベースは、ネットスター社製を採用した。「ネットスターのURLデータベースは他社ですでに使用されており、日本国内ではスタンダードな製品でした」(岩織氏)。
また、Blue Coat Reporterを組み込んで、Blue Coat SG8100から各種ログを収集。グラフィカルなレポートを作成して、様々な角度からシステムを分析できるようにしている。

導入効果

カットオーバー以降はトラブルがなく、まったく無停止で稼働している。「今回追加構築したネットワークは順調に稼働しています。徹底的にテストを繰り返した成果でしょう」と、岩織氏は語る。利用者から不具合を指摘されたことも、1件もない。
スケジュールどおりにシステムを完成でき、CTCのエンジニアの技術力とプロジェクト能力も高く評価している。Blue Coat SG8100は国内では導入実績が少ないものの、世界的に見ればすでにスタンダードになっている製品だ。その信頼性の高いソリューションを日本企業が効果的に取り入れた、好事例といえるだろう。

今後の展望

新たな指針への対応と法人向けへのサービスを検討

総務省から公表された2006年のアクセス制限の要請に続き、2007年暮れに未成年は原則全員参加の意向が示されている。ウィルコムではこれへの対応を進めている。
「『有害サイトアクセス制限サービス』を利用することで、今後、より多くのユーザーの方々に安全、安心なネット接続サービスを提供できるようにしたいと考えています。一層のサービス向上と普及に努めていきたいと思います」と、岩織氏は今後の抱負を語る。
そのサービス向上と普及の1つが、法人向けサービスの展開だ。現在、多くの企業がPHS端末を買い上げて、社員に配布している。それら企業は、PHS端末からフィッシングサイトなどの有害サイトへのアクセスを禁止したいと考えており、ここに「有害サイトアクセス制限サービス」のニーズがある。CTCが構築した新システムは、ウィルコムのサービス拡大にも貢献しているといえるだろう。

用語解説

URLフィルタリング

不適切なWebサイトへのアクセスを禁止するツール。インターネットのWebサイトのURLをチェックして、アダルト、暴力、詐欺など不適切なサイトに対するアクセスをブロックする。URLのチェックには、専用のデータベースを利用する。

Blue Coat SG8100

米国Blue Coat Systems社のプロキシアプライアンス。キャッシュ機能やURLフィルタリングなどのセキュリティ機能を搭載し、セキュアで高速なインターネット環境を実現する。

  • このページについてツイッターでツイート(新しいウィンドウで開く)
  • このページをフェイスブックでシェア(新しいウィンドウで開く)

この事例に関するお問い合わせはこちら

※記載内容は掲載当時のものであり、変更されている場合がございます。