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株式会社山形銀行様

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山形銀行

DX戦略を積極的に推進する山形銀行
銀行サブシステムの一部をAWSクラウドへ移行

山形銀行は、同行が積極的に推進するDX戦略の一環として、オンプレミス環境のプライベートクラウドで稼働していた銀行サブシステムの一部をアマゾン ウェブ サービス(AWS)が提供するパブリッククラウドへ移行した。
クラウド移行を実施したことにより、リソースの拡張を含む運用管理負荷を大幅に軽減し、今後5年間でおよそ2~3割程度のコスト削減効果を見込んでいるという。

課題と効果

課題
  • DX推進の一環としてクラウド運用ノウハウの蓄積や人材育成に力を入れたい
  • プライベートクラウド環境で稼働する一部のシステムを外部に移行したい

CTCの支援により、4つの銀行サブシステムをAWSクラウドへ移行

効果
  • システム稼働状況が容易に監視できるなど運用管理負荷が大きく軽減した
  • 従量課金とシステムの時間外停止により、運用コストを2~3割削減できた

導入事例インタビューデータ

所在地
〒990-0042 山形県山形市七日町3-1-2
設立
1896年
従業員数
1,232名(2021年3月現在)
事業内容
預金業務、貸出業務、有価証券売買業務・投資業務、為替業務ほか
URL
https://www.yamagatabank.co.jp/新しいウィンドウで開く
  • 齋藤 秀明 氏

    株式会社山形銀行

    システム企画部
    副部長

    齋藤 秀明 氏

  • 髙橋 充彦 氏

    株式会社山形銀行

    システム企画部
    調査役

    髙橋 充彦 氏

課題

DX戦略を積極的に推進する山形銀行、銀行サブシステムのクラウド化に着手

山形銀行は、1896年(明治29年)に創業した山形県最大の地方銀行。山形県内陸部を主力営業地盤とし、東北地方近県や関東地方にも店舗を展開する。「地域とともに成長発展しすべてのお客さまにご満足をいただき行員に安定と機会を与える」という経営理念のもと、地方創生や地域経済の活性化に貢献する活動に取り組んでいる。また、「お客さまとのつながり強化」「事務の効率化」「ワークスタイルの変革」を基本コンセプトにしたデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略を積極的に推進しており、2022年1月には東北地方の地域金融機関として初めて経済産業省の「DX認定事業者」に認定されている。

そんな山形銀行では、2020年にDX戦略の推進を本格化させたのを契機に、各種銀行システムの一部にパブリッククラウドを採用することを検討し始めたという。

「金融機関の間でパブリッククラウドの利用実績を耳にするようになり、当行もクラウド運用ノウハウの蓄積や人材育成が必要だと考えて、パブリッククラウドの導入に向けた検討を開始しました。小規模な銀行サブシステムからクラウド利用を始めることにし、最初にタブレット管理システム(営業店で使用するタブレットを管理するシステム)を移行することにしました」(齋藤氏)

このタブレット管理システムはもともと、同行のデータセンターに設置されたハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)のプライベートクラウド環境で稼働するVMware仮想サーバー上に構築されていた。しかし、ディスクサイズやCPU性能などのリソースを変更する際に他システムにも影響が及ぶという課題があり、プライベートクラウド環境の一部のシステムを外部に移行したいと考えていたそうだ。さらにプライベートクラウド環境にあった銀行サブシステムのうち、24時間運用をしていない財務入力システム(法人顧客の財務情報を入力するシステム)、不動産担保評価システム(融資の際の不動産担保情報を管理・評価するシステム)、についても、パブリッククラウドへ移行することにした。

経緯

大手事業者のサービスを入念に比較、インテグレーター各社にも提案を依頼

山形銀行では上記3システムをパブリッククラウドへ移行するために、大手パブリッククラウド事業者4社が提供する各サービス(AWS、Microsoft Azure、IBM Cloud、Oracle Cloud)の機能、セキュリティ、信頼性などを入念に比較した。

「パブリッククラウドへシステムを移行するにあたり、VMware仮想サーバーのイメージをそのままクラウドへ持ち込むか、クラウド上に新規のシステムを構築してデータのみを移行するか、どちらにするか迷っていました。いずれにしてもクラウド移行はインテグレーターの支援が必要なので、こうした移行方法も含めてインテグレーター各社からの提案を聞いてみることにしました」(髙橋氏)

そうした中、山形銀行がAWSに関する提案を依頼したのが、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)だった。髙橋氏によると、AWSパートナーネットワークの最上位に位置づけられるAWSプレミアティアサービスパートナー(国内12社)の中から、金融機関や大手企業への導入実績を詳しく調べ、CTCに絞り込んで提案を依頼したという。

選択

実績と技術力、サポート力を評価しクラウド移行のパートナーにCTCを選定

山形銀行は2020年初から約半年をかけ、システムの移行先となるパブリッククラウドと導入支援を行うインテグレーターの比較検討を実施した。その結果、同行が選定したのが、AWSとCTCの組み合わせだった。

「AWSを選定したのは、クラウド業界でトップシェアを誇っており、金融機関にも多数の導入実績があったことが理由です。また、コスト面でも他のパブリッククラウドに比較して安価でした」(齋藤氏)

「CTCからの提案は、金融機関の事例を踏まえてAWSのメリット/デメリットを詳しく紹介する内容になっていました。その提案内容は非常に分かりやすく、CTCには豊富な導入実績や技術力、サポート力があって、これから長くお付き合いしていく中で信頼関係が築けていけると確信できました。これらが決め手になり、CTCをパートナーに選定しました」(髙橋氏)

効果

クラウド移行で運用管理負荷を軽減、時間外停止によるコスト減も実現

山形銀行がAWSとCTCを選定したのが2020年7月。そこからシステム移行方法の検討や詳細な要件定義を行い、実際の移行作業が始まったのは12月のことだった。

「Amazon EC2(Elastic Compute Cloud)上に新たなシステムを一から構築するとなると、それぞれに構築費用が発生します。そこでコストを圧縮するために、システムにほとんど手を加えないようにしてプライベートクラウドのVMware仮想サーバーからAWSクラウドへ移行するものと、新たにAWS環境上に新規サーバー構築を行うものを選定し、移行を実施することにしました」(齋藤氏)

最初に実施したタブレット管理システムの移行が完了したのは、2021年3月。その後、1~2カ月ごとに財務入力システム、不動産担保評価システムを順次移行し、4システム目としてATMリモートメンテナンスサーバー(現金自動預払機を遠隔保守するシステム)も移行を完了した。

「当行のプライベートクラウドはインターネットに接続できないため、一般的なインターネット経由の移行ツールを使うことができません。そこでどのような移行方法が最適なのかCTCに教示してもらい、最終的に当行の閉域網とAWSクラウドをAWS Direct Connectで接続し、Amazon S3(Simple Storage Service)のストレージを経由させ移行するという手段をとりました」(髙橋氏)

4つのシステムをAWSクラウドへ移行して1年あまりが経過し、山形銀行ではさまざまな導入効果を実感しているという。

「パブリッククラウドへ移行したことにより、ハードウェアやハイパーバイザーのライセンスや保守サポートのEOSL(End Of Service Life)を考慮せずに済んだり、スモールスタートから始めて必要に応じてシステムリソースを拡張したりできるようになりました。また、システム稼働状況の死活監視も容易に行えるなど運用管理負荷は大きく軽減しています。さらに従量課金制という特長を活かし、利用していない時間帯はサーバーを停止する設定にすることでコストカットにも成功しました。オンプレミスのプライベートクラウドに比べ、今後5年間の運用コストは2~3割程度の削減が実現できると見込んでいます」(髙橋氏)

今後の展望

データセンターのスリム化を目指し今後もクラウド利用の拡大を計画

山形銀行では、今回実施した4つのシステムのクラウド移行をパイロット的な取り組みだと考えており、将来的には他の銀行サブシステムについてもクラウド移行を計画しているという。

「当行のデータセンターには、プライベートクラウド上で稼働するサブシステムのサーバーが数多く存在しています。まだ先の話にはなりますが、将来的にデータセンターを建て替えるタイミングまでには、各種システムをAWSクラウドなどパブリッククラウドへ移行し、データセンターのスリム化を図っていこうと考えています。その際にはCTCにもぜひ相談に乗っていただきたいと思います」(齋藤氏)

山形銀行のクラウド利用は始まったばかりだが、DX戦略を積極的に推進する同行において、パブリッククラウドが果たす役割は今後ますます高まっていくに違いない。AWSクラウドとCTCはこれからも、山形銀行のシステムを支え続けていくことだろう。

ネットワーク構成図

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