コラム

“IoTトイレ”に見るCTCのサービス開発への思い

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CTCのクラウドサービス「IoTトイレ」を開発した社員に、誕生の経緯や新規ビジネス開発にかける思いを聞きました。

トイレに駆け込んだら、行列ができていて冷や汗が出てくる――。誰もが経験したことがあるこの悩みを解決するクラウドサービス「IoTトイレ」。CTCの情報通信システム事業グループが立ち上げた新しいサービスだ。今回は、このサービスを開発した社員2人が誕生の経緯や新規ビジネス開発にかける思いを語った。

「リーンスタートアップ」で新たなビジネスモデルを創出

有馬 正行

情報通信事業グループ
エグゼクティブエンジニア
有馬 正行

「新しいビジネスの立ち上げはワクワクします」と語るのは、社内ベンチャーのチームをリードする有馬氏。「どんなビジネスを立ち上げるべきか、まずはアイデアを生み出すところから始めました。チームの立ち上げ当初は、ホワイトボードに向かいひたすらアイデアを練る時間を重ねました」(有馬氏)。

「たくさんのビジネスの種を検討してはボツにする日々が続く中、たまたま移動中にお腹が痛くなってトイレに駆け込んだら行列ができていた。これをITで解決できないかと思ったことが、IoTトイレ開発のきっかけです」と語るのは、開発メンバーの1人である寺西氏。

新規ビジネスの立ち上げは、詳細な市場分析や需要予測などに基づき事業計画を立案し、社内承認を得ることから始めるのが一般的だ。ただ、この方法は着実に進められる代わりに時間も必要となる。そこで、今回はリーンスタートアップという手法を用いていくことにした。

「リーンスタートアップは、最低限の機能を満たしたプロトタイプを開発し市場に投入、ユーザーの反応やニーズ・課題を確認し、機能改善やビジネス戦略そのものに反映していくことを繰り返す手法です。"お客様が欲しがらないものを作る"という最大のムダをできるだけ排除し、ビジネスの成功率を高めることができます。初めはビジネスの芽がなくても、軌道修正を繰り返すことで"お客様が欲しいもの"に近づいていきます。最悪撤退する場合でも、損害を最小限にすることができます」(有馬氏)。

IoTトイレの場合は、まず装置を自分たちで手作りし、アプリケーションをOSSで作るところからスタートした。それを業務改善や課題解決につながるツール作成の社内コンテンストに持ち込んだところ見事優勝、サービス化への道筋が開けていった。

「CTCの本社が入る霞が関ビルを管理する三井不動産に実証実験の相談を持ちかけたところ、オフィスワーカーの利便性向上につながるということで快諾いただきました」(寺西氏)。

実証実験では、トイレの待ち時間の解消というニーズを改めて実感するとともに、実験で判明した課題を着実に改善していった。社内コンテストから約9カ月たった2016年10月、IoTトイレのサービス化に向けて本格的にテストマーケティングが開始された。

若手を育て社内起業家の輪を広げる

寺西 努

プロジェクト統括部
課長
寺西 努

IoTトイレは、当初の目的であったオフィスのトイレの待ち時間解消だけではなく、様々なシーンに応用できる。交通機関や商業施設、アミューズメントパークなど、多数のトイレが広域に設置されている施設での利用はもちろん、センサーを変えることでフリーアドレスオフィスにいる社員の居場所確認や勤怠管理、会議室の空き状況をリアルタイムに把握するシステムなど、活用の場は広がっていく。

「CTCはお客様の要望や課題解決を実現するシステムを構築するビジネスモデルで成長してきました。今後はお客様と一緒にビジネスのアイデアを練り、サービスとしてリーズナブルな価格で提供しつつ、その技術をベースに様々なビジネスに展開していくことも目指していきます」(有馬氏)。

「今あるビジネスの延長線上ではない新たなサービスで利益を生み出していくためには、社員一人ひとりが起業家になり、ビジネスを創造していく必要があると考えます。IoTトイレ立ち上げの経験をもとに、新規ビジネスをスタートアップするためのフレームワークや手法を若手に伝え、"社内起業家"を増やしていきたいです。そのための社内勉強会も立ち上げました」(寺西氏)。

「新規ビジネスの立ち上げの際は、現場は“起業家”、経営陣は“投資家”とみることができます。起業家たる現場は、どうしたいかという“ビジョン”、責任を持って最後までやり抜くという“覚悟”、そして投資家たる経営陣や周囲を“巻き込む力”、この3つが欠かせません。私自身も、引き続き最先端の技術や手法を学びながら、この3つを軸にして新たなビジネスモデルを見つけていきたいです」(有馬氏)。

若手社員に勉強会への参加を呼び掛ける両氏。その取り組みの中から、第2のIoTトイレが生まれることが期待される。

IoTトイレやオフィススペース・会議室の利用状況を見える化するシステムにご興味のある方はこちら。

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