OutSystems Developer Cloud(ODC)とは?

ODCは、AWS上で動作するクラウドネイティブのローコード開発プラットフォームです。従来のクラウドネイティブ環境構築には、約200万ドルのコストと12~18カ月ほどの期間を要することが一般的なところ、ODCはその負担を大幅に軽減します。

ODCはKubernetes、Linuxコンテナ、マイクロサービスを活用し、クラウドネイティブの利点を最大限に活かした開発が可能です。また、マイクロサービスアーキテクチャにより個別機能の独立性が高まり、障害の影響範囲を限定しつつ機能拡張の俊敏性を実現しています。
さらにコンテナ化技術の採用により、実行環境からアプリケーションまでを一つのパッケージにまとめ、基盤環境を意識せずに迅速な開発を行うことを可能にしました。加えてオートスケーリング機能により、CPUやRAM使用状況に応じて自動的に容量を調整し、常に最適なパフォーマンスを維持します。

ODCの最大の利点は、クラウドネイティブ環境の構築作業をOutSystemsが担うため、ユーザーは手間なくクラウドサービスを導入できる点です開発者はOutSystems 11と同様の感覚でアプリを実装でき、高い生産性を維持しつつ、クラウドネイティブの利点を活かした設計・開発・デプロイが可能です。

※マイクロサービスとは、アプリケーションを独立した小さなサービスの集合として構築するアーキテクチャです。独立して開発・デプロイ可能で各サービスはAPIで通信します。スケーラビリティや技術選択の自由度が高くアジャイル開発などに向いています。

OutSystems 11(O11)との違い

ODCは、従来のOutSystems 11からアーキテクチャを刷新し、クラウドネイティブなアプリケーション開発に最適化されています。両者の主な違いは、以下の3点です。

● モジュールの概念の撤廃
● サーバーレスアーキテクチャ
● アプリケーションのデプロイの高速化

モジュールの概念の撤廃

OutSystems 11では、アプリケーションをモジュールと呼ばれる単位に分割して開発していましたが、ODCでは従来のモジュール概念が廃止されました。作成可能な要素は「アプリ」と「ライブラリ」の2種類に限定されています。

ODCのアプリは、タイマーやUI(ユーザーインターフェース)要素を含むほか、「O11」で実装できたほぼすべての機能に加え、「Service Action」が標準で利用できます。ライブラリは、再利用性の高い要素を提供し、コンテナ単位でパッケージ化されるため、疎結合(独立性が高く、他の影響を受けにくい状態)を維持しながら参照できます。このライブラリは、「O11」にも存在していたモジュールタイプの概念を継承しており、EntityやRole、公開API、Client Variablesの作成は従来通り制限されています。

さらに、ODCでは機能単位での分割が求められるため、マイクロサービス構成が自然に実現できる仕組みとなっています。

さらに、ODCはオートスケールの機能も提供しています。オートスケールとは、システムが自動的にトラフィックやリソースの需要に応じてスケールアップ、またはスケールダウンする機能です。そのため、ビジネスの急成長やお客様のニーズ変動にも柔軟に対応することが可能です。例えば、お客様のビジネス状況に応じてシステムの負荷が増加した際には自動的にリソースを追加し、逆に負荷が減少した際にはリソースを解放することで運用効率を高められます。

サーバーレスアーキテクチャ

ODCは、コンテナ、Kubernetsクラスタ、サーバーレス機能などを備えたクラウドネイティブアーキテクチャを採用しています。サーバーレスアーキテクチャとは、サーバーの管理をクラウドプロバイダーに委ねることで、開発者がアプリケーションのコードに集中できるアーキテクチャです。

アプリケーションのデプロイの高速化

ODCは、コンテナ技術を活用することで、アプリケーションのデプロイ(アプリケーションをサーバーに配置して利用できる状態にすること)を高速化しています。コンテナ技術とは、アプリケーションとその実行環境をまとめてパッケージ化し、どこでも同じように実行できるようにする技術です。ODCはコンテナ技術を活用し、O11と比較して非常に高速に完了できます。

アプリケーションのデプロイが高速化されることで、開発者はより頻繁にアプリケーションをリリースできるため、アプリケーション変更にも迅速に対応できるようになります。

このように、ODCはOutSystems 11からアーキテクチャを刷新し、クラウドネイティブなアプリケーション開発に最適化されています。ODCを利用することで、開発者はより柔軟かつ高速に、さらに効率的にアプリケーションを開発できるようになります。

アプリケーションのデプロイの高速化

ODCとOutSystems 11(O 11)の選び方

ODCとOutSystems 11では相違点もあるため企業のニーズや状況に合わせた選択が必要です。ここでは、ODCとOutSystems 11の選び方について、具体的なケースを想定しながら解説します。

ODCが適しているケース

ODCは次のように最新のクラウド技術を活用したい企業に最適です。

● 可用性を向上させたい
● マイクロサービスアーキテクチャやオートスケール機能を利用したい
● 生成AIを活用したアプリ開発など新しいテクノロジーを利用したい

クラウド可用性を向上させたい企業や、マイクロサービスアーキテクチャやオートスケール機能を利用したい企業に最適です。また、将来的に複数リージョンへの展開やDR対策を実施したい企業にもおすすめです。

OutSystems 11が適しているケース

OutSystems 11はオンプレミス環境での利用を重視する企業に向いているほか、次のような企業にも最適です。

● プロジェクトを迅速に開始したい
● 利用実績を重視する
● 利用可能な共通モジュールを活用したい

ODCの機能は順次追加されていることから、プロジェクトの要件によっては現状、機能が充足しているOutSystems 11の方が早期に開始できる場合があります。さらに、すでにOutSystems 11の利用実績がある企業や、共通モジュールを活用したい企業にもおすすめです。
これらを参考に、自社のニーズに最適なOutSystemsプラットフォームを選びましょう。

まとめ

本記事では、ODCの特長と、従来のOutSystems 11との違いについて解説しました。ODCは、クラウドネイティブなアプリケーション開発を強力に支援する最新のプラットフォームです。マイクロサービスアーキテクチャといった最新の技術を活用することで、開発者はより柔軟に、より高速に、より効率的にアプリケーションを開発できます。

ODCは、変化の激しいビジネス環境において、企業の競争力強化に大きく貢献するでしょう。クラウドネイティブなアプリケーション開発に関心がある方は、ぜひODCの導入を検討してください。

また、ODCを導入する際は、OutSystems の導入実績が豊富なCTCにご相談ください。パートナー企業を選ぶ際には、ODCに関する豊富な知識と経験があるかどうか、企業のニーズに合わせた最適なソリューションを提案してくれるかどうかが重要なポイントです。

それぞれのライセンス体系については、コラム「OutSystemsのライセンス体系(料金・サポート内容など)を徹底解説!」で詳しく解説しているので参考にしてください。