Technical Report
物流の常識に挑戦するソリューション「MAMS」誕生の舞台裏
オンラインショッピング市場の拡大で増加する物流業務に対応するため、長年培った大規模ネットワークの設計ノウハウをもとに、配送計画の効率化に貢献するソリューション「MAMS」を開始しました。ここでは物流の仕組みを大きく変え、暮らしを便利にするMAMSが誕生した背景とサービスの概要についてご紹介します。

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
情報通信事業企画室
クラウドサービス営業部 主任
長谷川 真一
消費者視点で生まれたソリューション
物流業界では注文後、消費者のもとへいかにスピーディに商品を届けるかが重要になっています。しかし、同じ会社であっても店舗とネット部門の担当組織が分かれていることが多く、消費者の利便性の追求にあたっては連携しにくいこともある状況です。
サービスの提供を支えるシステムについても、これまではお客様企業がシステムの仕様を決め、それに沿う形でSI企業がシステム開発を進めてきました。今では付加価値の高いサービスを迅速に提供するために、お客様企業とSI企業が共に消費者へのサービスレベルを向上させるための仕組みづくりを考えるよう変化しています。
そんな中、当社が生み出したサービスが「MAMS(Mobile Asset Management Service)※」です。商品の配送時間を短縮し、消費者の希望時間に届けるためには、配送のための人員確保やトラック等の手配が欠かせません。「いつでもどこでも好きな時に買ったものを受け取りたい」。そんな消費者の要望に応え、高い要求にスムーズに応えられるように、システム設計に取り組みました。
MAMSは、既存の基幹システムやECサイト、倉庫管理システム、商品の受発注システム等、複数のシステムをクラウドで連携し、受注と同時に担当者が専用端末に配送予約を入力。リアルタイムで処理して配送スタッフやトラック等を自動で確保します。そして消費者が希望する時間帯が配送スタッフにスマートフォンを通じて通知されます。このように複数のシステムをつなぎ、組み合わせることで消費者が希望する時間での配送を実現しました。
情報通信のノウハウを物流に還元
物流と通信の送受信の仕組み

私たちはこれまで24時間365日止めることのできないミッションクリティカルな大手通信キャリアの大規模ネットワークの設計から構築・運用等にまで携わることで、膨大なトランザクションを効率的に処理するノウハウを蓄積しました。
そもそも通信の発想は物流の考え方がベースになっています。送り手から受け取り手に対して、郵便番号と住所で物が届くという物流の仕組みを通信は応用しているのです。
電話やインターネットの場合、異なる通信事業者間であっても、相手先の情報がわかれば通信をすることが可能です。これを実現するために、交換機やインターネットエクスチェンジを介して、空きのある回線を探し、最短のルートとなるよう制御が行われています。
ところが通信のベースとなった物流では、異なる物流企業間だけでなく、自社ネットワーク内の空き状況もわかりにくい状況にあります。多くの物流会社では、お客様にいつ荷物が届くのかは、担当者が電話連絡で各所に確認し、予定日や配送時間を確定します。物流システムが整備されていない中では、日々の輸送リソースを全て把握することは難しいからです。
MAMSは物流業界が長年抱えてきたこれらの課題を解決するために誕生したサービスです。
データベースのパフォーマンス維持や通信データを輻輳させない仕組みについても習熟している当社が、自社で抱えるトラックやドライバー等のリソースの容量や空き状況をリアルタイムに把握できるようにしただけではなく、その空き状況からリアルタイムに積載スペースの予約と到着時間の予約をできるようにしました。
- MAMS(Mobile Asset Management Service):モバイル端末を利用して、商品の受注と同時に、お届け日時の指定から宅配リソース計画、配送実行、業務報告、貨物追跡サービスまで、物流に必要なあらゆるサービスをワンストップで実現するソリューションです。
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