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ITOCHU Techno-Solutions America, Inc. シリコンバレー現地レポート

米国におけるAI最新動向

金田 順花

International Business Development
ITOCHU Techno-Solutions America, Inc.

金田 順花

製薬企業及びヘルスケア業界を中心に北米の先端技術やIT動向を調査し、最新の技術を扱うベンダーを日本へ紹介している。

こんにちは。ITOCHU Techno-Solutions Americaの金田です。今回は、人工知能(Artificial Intelligence、以下AI)やモノのインターネット(Internet of Things、以下IoT)について、最新情報をご紹介します。

AIは今後大きな成長が期待される分野であり、市場規模は2020年に50億ドル規模に達すると予測されています。また、1,000社超のAI関連のスタートアップに対して、総額60億ドルの投資がされているという報告もあり、仮想通貨の一種ビットコイン分野への投資15億ドルの4倍の資金が集まっていることからも、期待の高さがうかがえます。

ひとくくりにAIと言っても、様々な技術があります。先日、Google DeepMindが開発した囲碁AIが世界トップ棋士に勝利したことで、ディープラーニングと呼ばれる技術が話題になりました。自然言語処理や音声・画像認識を行うためのセンサーや、マシンラーニングなどのアルゴリズムにより意思決定した内容をロボットにフィードバックする仕組みもAIの実現には欠かせません。さらに、AIの正確性を高めるにはアルゴリズムに加え、どれだけ多くのデータを集めるか、そのデータをいかに速く学習させるかの2点が必要と言われています。前述した囲碁AIも膨大な数の棋譜を記憶し、数千万局以上の自己対局を行うのにGoogle CloudPlatform上にある1,202個のCPU、176基のGPUを使用したそうです。洗練されたAIのアーキテクチャとビッグデータ基盤、ハイパフォーマンスコンピューティング基盤の3つがそろって初めてAIの活用が進むということを理解しておく必要があります。

AIのアルゴリズムも日々進化しています。シリコンバレーに本社を構える Vicarious Systemsでは、脳の活動をより精密に模倣する、次世代AIのアルゴリズムの開発を進めており、同社にはFacebook、Amazon、Yahoo!、Salesforce.comの創業者や著名投資家がこぞって投資をしています。

そして、ビッグデータという観点で忘れてはならないのがIoTです。2020年には500億個以上のデバイスがインターネットにつながると予想されています。これらのデバイスを通じて得られるデータをAIに活用することでAIの正確性が向上することが期待されています。

ヘルスケアの分野ではFitbitのようなウェアラブル活動量計に始まり、コンタクトレンズ、ピルケース、医療機器といったモノがインターネットにつながりはじめています。さらには、医薬品自体をモノととらえ、錠剤にセンサーチップが内蔵される動きも出てきています。シリコンバレーに本社を構えるProteus Digital Healthが開発したデジタルメディスンは実用段階に来ており、米国、欧州では一部の医療機関で利用が始まっています。これらのモノから得られる活動量などの身体情報を統計的にAIに取り込むことで、人間が選別した一定のデータを取り込む時より、AIが多角的な分析を行えるようになり、結果的により正しい健康に対するアドバイスを得られるようになることが期待されています。

AI、そしてIoTの技術は前述した囲碁やヘルスケア以外の分野にも適用できます。AI、IoTについての調査やスタートアップの開拓を継続的に行っており、それら最新動向を今後もシリコンバレーからお届けします。

  • デジタルメディスン:経口摂取が可能な極小センサーを組み込んだ錠剤とパッチ型シグナル検出器の組み合わせ。患者の薬の服用状況と共に、心拍、活動量といった身体情報を記録し、スマートフォンやタブレット端末を通じて提供する。
シリコンバレーに本社を構える、Proteus DigitalHealthの外観写真。(筆者撮影)

シリコンバレーに本社を構える、Proteus DigitalHealthの外観写真。(筆者撮影)

出典:Best Engine Vol.1

記載内容は掲載当時の情報です。最新情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

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