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eスポーツ

遅れをとった日本のeスポーツ事情

 

一転アジアに目を移すと、韓国や中国ではeスポーツは急速に成長していますが、日本は、「ゲーム大国」と言われながらも、eスポーツでは他国に遅れているのです。

『スペースインベーダー』に『パックマン』、『スーパーマリオ』に『ストリートファイターⅡ』、そして、「ファミコン」に「プレイステーション」…。ソフトでもハードでも、世界で人気を博した日本のゲーム商品は多数あります。ただその中心となっていたのが家庭用ゲーム機だったこともあり、世界がパソコンなどの端末を使ったオンラインゲームへと軸足を移し、eスポーツが発展していく中、日本は出遅れてしまったようなのです。また、海外のように高額の賞金が出る大会の開催が現状の日本の法律では難しいこと(刑法賭博罪、景品表示法、風営法の観点から違法となる可能性がある)や、言語の問題も壁となっていると考えられます。

しかし状況は徐々に整ってきています。日本にもプロeスポーツチームが誕生し、世界的に活躍するプロゲーマーもいます。eスポーツの専門学校など、プレーヤーの育成のための専門施設も全国各地に増えています。更に、これまで日本国内にあった3つのeスポーツ団体が、2018年に統合されてJeSUが誕生したことで、国際的なeスポーツの大会に、日本として選手を派遣できるようになりました。かつての「ゲーム大国」日本が、eスポーツの世界でも存在感を大きくしていくのは時間の問題かもしれません。

日本のゲーム業界もeスポーツに注力。(株)コナミデジタルエンタテインメントでは、『ウイニングイレブン 2019』eスポーツ世界選手権の決勝「PES LEAGUE 2019 WORLD FINALS」をイギリス・ロンドンで開催。世界一を決定しました。

日本のゲーム業界もeスポーツに注力。(株)コナミデジタルエンタテインメントでは、『ウイニングイレブン 2019』eスポーツ世界選手権の決勝「PES LEAGUE 2019 WORLD FINALS」をイギリス・ロンドンで開催。世界一を決定しました。

既存のスポーツにはない可能性も

eスポーツが今後ますます発展していくのは疑いがない状況ですが、ゲームをスポーツと言っていいのか、という声は根強くあります。例えば2018年に行われた日本での調査(15~69歳の男女、計600名が対象)によれば、「eスポーツをスポーツだと思う」という人が16.8%であるのに対して、「思えない」という人は47.0%。オリンピックの正式種目となるべきかについても、市場規模が巨大であるということとは別に、十分に議論がなされる必要があるでしょう。ただ、その一方で、eスポーツは、高齢者や障がい者にとっても参加しやすいが故に、社会の融合という意味なども含め、既存のスポーツにはない可能性があるとも言われます。

東京オリンピックを控える今、数年で状況は急速に変わり得ます。ビジネスとしての可能性も大きいこの“スポーツ”の動きから、今後ますます目が離せなくなるでしょう。

【参考】
『eスポーツのすべてがわかる本』 黒川文雄 日本実業出版社
『The Guardian』
Fortnite World Cup: the $30m tournament shows esports' future is already here
https://www.theguardian.com/sport/2019/jul/30/fortnite-world-cup-esports

出典:Best Engine Vol.8

記載内容は掲載当時の情報です。最新情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

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