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クラウドERPとは?パブリック型とプライベート型の違いと失敗しない導入の考え方

近年は、従来のオンプレミス型ERPからクラウドERPへ移行する企業が増えています。クラウドERPはサーバーやインフラを自社で保有する必要がないため、運用負荷や導入の初期コストを抑えやすいのが特徴です。
さらにクラウドERPの中にも、「パブリック型」「プライベート型」といった複数の導入形態があり、それぞれでシステム構成や運用の負荷、拡張性が異なります。選び方を誤ると、将来的な運用コストの増大やシステムの複雑化につながる可能性もあるため注意が必要です。
この記事では、クラウドERPの基本やメリット・デメリット、パブリック型とプライベート型の違いを解説します。自社に最適なERPの形態を理解したい人は、ぜひ最後までご覧ください。

- クラウドERPとは?
- クラウドERPと従来のERPとの違い
- クラウドERPのメリット
- 1. どこからでもアクセスできる
- 2. 業務や規模の変化に応じて柔軟に拡張できる
- 3. サーバーやインフラ管理の負担を軽減できる
- 4. 初期費用を抑えて導入できる
- クラウドERPのデメリット
- 1. ネットワーク環境の影響を受ける
- 2. インフラ提供事業者のサービスレベルに依存する
- 3. カスタマイズの自由度が限定される場合がある
- クラウド型ERPの2つのタイプ
- 1. パブリック(SaaS)型ERP
- 2. プライベート型ERP
- パブリック型とプライベート型の主な違い
- パブリック型ERPとプライベート型ERPの選び方
- パブリック型ERPは業務の標準化とクリーンコアを実現しやすい
- プライベート型ERPは既存資産や独自業務を活かしやすい
- CTCではパブリック型(SaaS型)ERPの導入支援サービスを提供
- クラウドERPで変化に強い経営基盤を作ろう
クラウドERPとは?

クラウドERPとは、サーバーやシステムを自社内に保有せず、ベンダーが提供するクラウド環境上で利用するERP(基幹業務システム)のことです。
インターネットやVPN経由でアクセスでき、基本的にシステムの運用や保守はベンダー側が行うため、利用する企業は運用負荷を軽減できます。また、場所やデバイスを問わず業務システムを利用できることから、企業全体の生産性向上や、働き方改革を支える基盤として注目されています。
クラウドERPと従来のERPとの違い

クラウドERPは従来のオンプレミス型のERPと比較検討されやすいですが、導入形態や運用方法などが異なります。
両者の主な違いは以下のとおりです。
クラウドERP | オンプレミス型ERP | |
|---|---|---|
システム環境 | クラウド上のサーバーで稼働 | 自社内のサーバーで稼働 |
導入形態 | ベンダーと契約して利用 | 自社でライセンス購入・環境構築 |
運用・保守 | 主にベンダーが担当 | 主に自社のIT部門が管理・対応 |
アップデート | 定期的に自動で実施 | 自社の判断・タイミングで実施 |
オンプレミス型は自社専用環境で柔軟に構築できる一方、サーバーの保守やアップデート作業など、運用負荷が高くなりがちです。
自社の運用体制や将来の拡張性を考慮しながら、最適なERPの形態を検討しましょう。
クラウドERPのメリット
クラウドERPの主なメリットは次の4つです。
どこからでもアクセスできる
業務や規模の変化に応じて柔軟に拡張できる
サーバーやインフラ管理の負担を軽減できる
初期費用を抑えて導入できる
クラウドERPは運用負荷を軽減しつつ、変化に柔軟に対応できる基盤を構築できます。
1. どこからでもアクセスできる
オンプレミス型のERPは、自社内のサーバーにシステムをインストールして利用するため、社内ネットワークからの利用が前提となるケースが一般的でした。
クラウドERPはインターネット経由で利用できるため、社内だけでなく自宅や出張先など、どこからでも業務データにアクセスできます。デバイスや場所を問わず利用できるため、リモートワークや多拠点での共同作業をスムーズに進めることが可能です。
2. 業務や規模の変化に応じて柔軟に拡張できる
オンプレミス型では、サーバーやストレージなどのハードウェアを事前に購入し、利用規模の変化に合わせて都度増設・再構築する必要がありました。
クラウドERPでは、必要に応じてCPU・メモリ・ストレージなどのリソースを柔軟に追加・縮小できるため、事業成長や季節的な業務量の変動にもスムーズに対応できます。
3. サーバーやインフラ管理の負担を軽減できる
クラウドERPはシステムがクラウド基盤上で稼働するため、物理サーバーの運用・保守を自社で担う必要がありません。
インフラ監視・障害対応・パッチ適用・セキュリティ更新など、多くの運用作業をベンダー側が担うため、情シスの負荷軽減につながり、IT要員が不足している企業でも導入しやすいのが特徴です。
4. 初期費用を抑えて導入できる
クラウドERPは、サーバーの購入やデータセンターの契約、インフラの構築などが不要なため、オンプレミス型と比較して初期コストを抑えやすい点もメリットです。
さらに、運用・保守に必要な人材や設備を自社で確保する必要がないため、導入後の運用コストも安定しやすくなります。
クラウドERPのデメリット
クラウドERPには、次のようなデメリットもあります。
ネットワーク環境の影響を受ける
インフラ提供事業者のサービスレベルに依存する
カスタマイズの自由度が限定される場合がある
運用基盤をクラウドに移すことで利便性は高まりますが、ネットワーク環境への依存といったリスクが生じます。
1. ネットワーク環境の影響を受ける
クラウドERPはインターネットや専用線などの通信経路を介して利用するため、ネットワーク環境の安定性に影響を受けます。通信が不安定な場合や回線障害が発生した場合、システムへアクセスできず業務が一時的に停止する可能性もあります。
また、アクセス拠点が増えるほど通信経路の最適化やセキュリティ対策が重要です。企業規模や利用拠点を踏まえ、冗長化やVPN接続などのネットワーク設計を検討する必要があります。
2. インフラ提供事業者のサービスレベルに依存する
クラウド基盤の運用はサービス提供事業者側で行われるため、稼働率やアップデート方針、サポート範囲などがベンダーの提供内容に依存します。メンテナンスや障害が発生した場合、自社システムも影響を受ける場合があります。
適切なSLAやサポート体制を持つベンダーを選定し、自社要件に合わせた運用設計を行うことでリスクを最小化することが可能です。
3. カスタマイズの自由度が限定される場合がある
クラウドERPは、標準化された業務プロセスを前提に設計されている場合が多いため、大規模な独自カスタマイズには制限が発生することがあります。そのため、自社の業務フローを標準仕様に寄せる必要が生じるケースもあります。
なお、近年は、拡張機能(SAP BTPなど)を活用することで、標準仕様を損なわずに必要な機能を柔軟に追加する方法も一般的になってきています。
クラウド型ERPの2つのタイプ

クラウドERPには、「パブリック型(SaaS型)」と「プライベート型」の2つのタイプがあります。どちらもクラウド環境で稼働するERPですが、システム環境の考え方や柔軟性、標準化の度合いが異なります。
1. パブリック(SaaS)型ERP
パブリック型ERPは、ベンダーが提供する共有クラウド環境を利用する形態です。複数の企業が共通のシステム基盤を利用することで、標準化された業務プロセスや機能をそのまま活用でき、初期コストを抑えやすいのが特徴です。
ベンダーが用意した環境にアクセスする形となるため、導入までのリードタイムが短く、バージョンアップも継続的に実施され、常に最新の機能を利用できます。一方で、独自の業務要件に合わせた大規模なカスタマイズには向きにくく、標準プロセスに合わせた業務の見直しが必要となるケースもあります。
2. プライベート型ERP
プライベート型ERPは、自社専用のクラウド環境を利用する形態です。環境を他社と共有しないため、セキュリティポリシーやアクセス制御、業務要件に合わせた設定・拡張が柔軟に行えます。
既存のERP資産を活かした移行や、独自の業務プロセスを維持したいケースにも適しており、アドオン開発や拡張基盤の活用によって必要な機能を追加しやすい点もメリットです。
一方で、専有環境である分、プロセス標準化やガバナンスの設計が重要になり、導入・運用に関しては一定の検討とリソース確保が求められる傾向があります。
パブリック型とプライベート型の主な違い
パブリック型とプライベート型のERPの主な違いをまとめると次のとおりです。
パブリック(SaaS)型ERP | プライベート型ERP | |
|---|---|---|
システム環境 | 複数企業が共通のクラウド基盤を利用 | 自社専用のクラウド環境を利用 |
導入スピード | 既存環境を利用するため短期間で導入できる | 専用環境の準備が必要なため導入まで時間がかかる |
拡張性 | 標準機能の改修は不可。外部で拡張開発をおこなう | 業務に合わせて柔軟にカスタマイズできる |
セキュリティ | ベンダーの共通基盤で管理されたセキュリティ | 他社と環境を分離できるため独自ポリシーを設定可能 |
コスト | 初期費用が低く、主に月額制で利用 | 専有環境のため費用は高くなる傾向 |
自社の業務要件やシステム運用体制に応じて、どちらのタイプが適しているかを検討することが重要です。
パブリック型ERPとプライベート型ERPの選び方

パブリック型ERPとプライベート型ERPにはそれぞれメリットがあり、企業の業務特性や将来の運用方針によって最適解が異なります。
パブリック型ERPは業務の標準化とクリーンコアを実現しやすい
パブリック型ERPは、ベンダーが提供する標準機能をそのまま活用することで、業務プロセスの標準化を進めやすい点が特徴です。
「Fit to Standard(標準機能に合わせて業務を見直す思想)」に基づき、システムに業務を寄せることで、クリーンコアを維持でき、将来的なバージョンアップにも柔軟に対応できます。クリーンコア(Clean Core)とは、SAPが提唱するERP運用の戦略で、製品やパッケージを改変せずに導入・運用することです。
また、SAP Business Technology Platform(SAP BTP)などの拡張機能を活用することで、標準仕様を保ったまま、必要な機能の追加が可能です。
パブリック型ERPは、業務の見直しを通じて効率化を図りたい企業や、長期的に運用しやすい仕組みを構築したい企業に適しています。
プライベート型ERPは既存資産や独自業務を活かしやすい
プライベート型ERPは、自社専用のクラウド環境で稼働させることで、業務内容や業界特性に合わせた柔軟な設定・カスタマイズが可能です。
これまでオンプレミス環境で大規模なカスタマイズを行ってきた企業や、独自の業務プロセスを多く抱える企業では、標準機能への全面的な移行が難しいケースもあります。
プライベート型では既存のERP資産やアドオン機能を活かしながら、段階的にクラウド化を進められる点がメリットです。
CTCではパブリック型(SaaS型)ERPの導入支援サービスを提供
CTCでは、パブリック型(完全SaaS型)ERPの導入支援サービスと、ERPの標準に保つ(クリーンコア)ソリューション「Figues(フィグ)」を提供しています。
ERPの標準機能に業務を合わせるFit to Standardの思想に基づいて、システムを導入・運用するため、将来的なアップデートや機能追加にも柔軟な対応が可能です。
また、ERPのコア部分をクリーンに保ちながら、業務に必要な機能を追加するSAP BTPを活用した開発支援も行なっています。
ERP導入の進め方にお悩みの方や、導入を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
クラウドERPで変化に強い経営基盤を作ろう
クラウドERPとは、自社でサーバーやシステムを保有せず、クラウド上で稼働するERP(基幹業務システム)です。
インターネット経由で利用できるため、社内インフラの整備や保守にかかる負担を軽減し、システム運用を効率化できます。
ただし、インターネットを介して利用するため、ネットワーク環境やインフラの安定性に依存する点には注意が必要です。
また、ERPの導入形態には「パブリック型」と「プライベート型」があります。
パブリック型はシステムの標準機能を活かして運用するため、将来的なアップデートにも柔軟に対応できるのが特徴です。
一方、プライベート型は既存資産や独自業務を維持したい企業に向いています。
自社の業務特性やシステム体制を踏まえ、長期的に運用できるERPを選択し、変化に強い経営基盤を築いていきましょう。

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