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約7割が採用・検討 クラウドネイティブは企業ITのスタンダードへ│調査結果が示す大手企業による活用の実態


1. 「クラウドネイティブ」の定義
「クラウドネイティブ」という言葉に関しては画一的な定義はありません。
ただし、クラウドネイティブコンピューティングの普及・発展を促進している国際的な非営利団体CNCF(*1)では、クラウドネイティブについて「コンテナやマイクロサービス、宣言型APIなどの手法を使いパブリッククラウドやプライベートクラウド、あるいはハイブリッドクラウドにおけるスケーラブルなアプリケーションを構築・実行するためのアプローチ」と定義しています(*2)。
また、CTCでは、クラウドネイティブをコンテナのオーケストレーションツール(*3)「Kubernetes」を中心とするオープンソースソフトウェア(OSS)のエコシステムと定義しています(*4)。
*1 CNCF:Cloud Native Computing Foundationの略称で「Linux Foundation」のもとで組織されたベンダー中立の非営利団体。「Kubernetes」や「Prometheus」など、クラウドネイティブコンピューティングを支えるOSS開発プロジェクトをホストしている。参考URL:https://www.cncf.io/
*2 CNCFによるクラウドネイティブの定義(CNCF Cloud Native Definition)のURL
https://www.cncf.io/about/faq/#what-is-cloud-native
https://github.com/cncf/toc/blob/main/DEFINITION.md
*3 コンテナオーケストレーションツール:多数のコンテナのデプロイ、スケーリング、ネットワーキングを自動化するソフトウェアのこと
*4 参考:伊藤忠テクノソリューションズ「『クラウドネイティブ』の基礎を知る ~ クラウドネイティブとは何か?どんなメリットがあるのか?」
2. クラウドネイティブが注目を集める背景
近年、クラウドネイティブ、あるいはクラウドネイティブ技術への関心が高まっています。背景には、ビジネス環境の激しい変化やDXの活発化があります。
現代はVUCA(*5)の時代であり、あらゆる物事の先行きを見通すのが困難になっています。自社の目前に新たな競争相手が突然現れ、デジタル技術を駆使して業界のビジネスモデルを瓦解させてしまうような事態はいつでも起こり得ます。また、顧客ニーズ・市場ニーズが想定外の変化を示したり、市場のトレンドがあるときを境にガラリと変容したりすることもあり得ます。
こうした変化にスピーディに対応するうえでは、クラウドネイティブ技術を活用しながら、商品の付加価値を高める新たなソフトウェアをクイックにリリースしたり、リリースしたソフトウェアの機能を迅速に変更したりできることが不可欠です。
同様にDXの活発化も、ソフトウェア開発能力の向上を企業に求めています。例えば、DXの一環として、生成AIやAIエージェントの普及が猛スピードで進む今日では、AI技術の導入自体は市場競争力の源泉とはなり得ず、AIを使っていかにビジネススピードのアップや生産性向上、あるいは顧客体験の向上につながるソフトウェアをタイムリーに作れるかが問われています。言い換えれば、自社の競争力を高めるソフトウェアをすばやく作り上げ、社内や市場からのフィードバックに基づきながら改善を重ねていける能力が必要とされているわけです。それには、コンテナやKubernetesなどのクラウドネイティブ技術を活用することが有効といえます。
*5 VUCA:「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字をとった造語。予測が困難で、将来の先行きが見えない現代のビジネスや社会の状況を表す。
3. 70.6%が「コンテナ技術」を「使用・検討中」
では、日本の場合、クラウドネイティブ技術の活用はどの程度まで進んでいるのでしょうか。それを探るべく、CTCは2026年3月に年商1,000億円以上の企業に勤務する社員・経営層432名を対象に独自調査を実施し、調査結果を「クラウドネイティブ取組実態調査レポート 2026年4月版」(以下:CTCの調査レポート)としてまとめました。
本調査結果を見ると、クラウドネイティブ技術の代表格であるコンテナ技術を「使用中・検討中」とする回答者の割合が70.6%に上っています(図1)。この結果からは、大手企業の間でクラウドネイティブ技術が「使うのが当然」の技術として定着しつつあることが読み取れます。
また、コンテナ技術を使用する理由として、多くが「インフラやハードウェアコストなどの削減」「スケーラビリティ」「(ソフトウェア)リリースの迅速化」と答えています(図1)。コンテナ技術は、旧来の仮想化技術よりもハードウェアリソースの使用効率が高く、かつ、ソフトウェアをスケールするのも容易です(*6)。しかも、ソフトウェア開発の生産性を高めるという特長があります。
多くの企業は、そうしたコンテナ技術の利点を理解し、活用を進めているわけです。

図1:コンテナ技術の導入状況と使用する理由
出典:伊藤忠テクノソリューションズ「クラウドネイティブ取組実態調査レポート2026年4月版(2026年5月21日発行)」から引用
*6 参考記事:伊藤忠テクノソリューションズ「コンテナ基礎から実践へ ~ 活用を成功に導くロードマップ」
4. 広がるクラウドネイティブ技術の認知と適用領域
実際、クラウドネイティブ技術の認知度についても、2025年7月実施の前回比で最大10.0ポイント上昇しており、技術への理解も着実に進んでいます(図2)。
また、適用領域も広がりを見せており、社内の情報系システムや基幹系システムについては調査回答者の半数以上がクラウドネイティブ技術を適用していると答えています。加えて、データ分析基盤やAI基盤への適用率も45.2%に上り、クラウドネイティブ技術がAI活用の標準的な基盤としても位置付けられつつあることがわかります。


図2:クラウドネイティブ技術の認知度と適用領域
出典:伊藤忠テクノソリューションズ「クラウドネイティブ取組実態調査レポート2026年4月版(2026年5月21日発行)」から引用
5. 活発な意欲が示す企業の本気度
クラウドネイティブ技術への投資も活発です。直近1年における企業のクラウドネイティブ関連投資額は「5,000万円以上、1億円未満」が26.7%でトップ、それに「1億円以上、3億円未満」(25.1%)が続いています(図3)。また、今後3年間の投資に関しては「増やす」と答えた企業が49.6%と半数近くに達しています。


図3:クラウドネイティブに関する技術の投資動向と将来の展望
出典:伊藤忠テクノソリューションズ「クラウドネイティブ取組実態調査レポート2026年4月版(2026年5月21日発行)」から引用
これらのデータが示すのは、クラウドネイティブ技術の有効活用が、もはや一部の先進企業だけの取り組みではなくなっているということです。
6. 活用を巡る課題はどこにあるのか?
企業での活用が進むクラウドネイティブ技術ですが、それは比較的新しい技術であるうえに、絶えず進化し、変化しています。ゆえに、IT専門の企業ではない一般の事業会社(以下、一般企業)が使いこなすことには難しさもあります。
では、クラウドネイティブ技術の活用を巡り、企業はどういった課題に直面し、それをどう乗り越えようとしているのでしょうか。また、課題を乗り越えながらクラウドネイティブ技術の活用を進めることに、いかなる価値を見出しているのでしょうか。さらに、AIとクラウドネイティブ技術の融合によって、どのような価値を手にしようとしているのでしょうか。CTCの調査レポートからは、それらの疑問への答えも得られます。ご一読ください。

今回の調査概要
調査目的:日本の大手企業におけるクラウドネイティブ技術への取組実態を明らかにし、導入の課題や成功要因を特定
実施期間:2026年3月
調査対象:年商1,000億円以上の管理職者、および経営層
有効回答数:432名
比較対象:2025年7月に実施した前回調査結果
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