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クラウドネイティブとは?|生成AI時代における重要性、活用例を紹介

本記事では、クラウドネイティブの概要や代表的な活用例、生成AI時代に欠かせない理由などを解説します。近年のAIファーストの潮流による開発環境の変化や、今後求められる取り組みなども解説しますので、ぜひ参考にしてください。

- 1. クラウドネイティブとは
- 2. クラウドネイティブの代表的な活用例
- Infrastructure as Code
- Pipeline as Code
- Policy as Code
- Observability as Code
- Database as Code
- 3. 生成AI時代においてクラウドネイティブが欠かせない理由
- ステップ① 人間の形式知/暗黙知をコード化できる
- ステップ② ソースコードだけでなく暗黙知/形式知を含めてAIが理解できるようになる。
- ステップ③ システムやアプリケーションに関わるすべての情報を理解したうえで、AIが全方位的に人を支援し、システムを最適化できる。
- 4. AIファーストによる開発環境の変化
- 人間中心のDevOpsとAI中心のDevOpsの違い
- AIファーストによるCI/CDパイプライン
- まとめ
1. クラウドネイティブとは

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)では、クラウドネイティブの本質を「あらゆる要素をコードとして扱い、自動化・標準化するための技術」と定義しています。インフラ構成やアプリケーション設計、運用手順、セキュリティ設定などをコードとして管理することで、属人性を排除し、再現性と拡張性の高いシステム運用を実現します。
従来のシステム運用では、構築や設定変更が手作業で行われるケースも多く、担当者の経験やノウハウに依存しやすいという課題がありました。その結果、設定ミスの発生や変更手順のブラックボックス化、運用負荷の増大を招いていました。
クラウドネイティブでは、これらの作業をコードとして管理するため、変更履歴の可視化と自動化が容易になります。これにより、安定した運用と継続的な改善を両立することが可能です。
また、クラウドネイティブは、クラウドやクラウドファースト、クラウド・バイ・デフォルトなどの用語と混同されるケースが多く見られます。それぞれの意味と目的を以下の表にまとめました。
| クラウドネイティブ | クラウド | クラウドファースト | クラウド・バイ・デフォルト |
|---|---|---|---|---|
意味 | あらゆる要素をコードとして扱い、自動化・標準化する技術 | システムやアプリケーションを稼働させるための基盤 | システム刷新や新規システム導入時に、クラウド利用を優先して検討する方針 | クラウド利用を第1候補(デフォルト)とする考え方 |
主な目的 | 運用の自動化・再現性の向上を実現する | ITインフラを柔軟かつ効率的に利用する | クラウド活用を前提とした意思決定を迅速に行う | 組織全体でクラウド利用を標準化・定着させる |
2. クラウドネイティブの代表的な活用例
クラウドネイティブはさまざまな形で活用されています。ここでは、クラウドネイティブの代表的な活用例を5つ紹介します。

Infrastructure as Code
Infrastructure as Codeとは、インフラ構成をコードで定義・管理する手法です。代表的なツールには、Terraform、Pulumi、CloudFormation、Ansibleなどがあります。Infrastructure as Codeを活用することで、インフラ構成をファイルとして一元管理できるようになり、手動設定によるミスや属人化の解消につながります。また、構成変更の履歴管理や再現性の確保が容易になる点もメリットです。
Pipeline as Code
Pipeline as Codeとは、CI/CDパイプラインをコードで定義する手法です。代表的なツールとしては、GitHub Actions、GitLab CI、Jenkinsfile、Tektonなどが挙げられます。パイプラインをコードで管理することで、リリース手順が属人化しにくくなり、レビューや変更履歴を追跡できるようになります。環境ごとの差分や例外的な運用を減らし、開発スピードと品質を両立できる点がメリットです。
Policy as Code
Policy as Codeとは、セキュリティやコンプライアンスに関するルールをコードで定義する手法です。代表的なツールには、OPA/Rego、Kyverno、HashiCorp Sentinel、Checkovなどがあります。Policy as Codeでは開発環境やコンテナ環境のポリシーを事前に定義し、ルール違反を自動的に検知・防止できます。開発スピードを維持しながら、セキュアな環境を構築できるのが利点です。
Observability as Code
Observability as Codeとは、監視や可観測性に関する設定をコードで定義する手法です。代表的なツールは、Prometheus/GrafanaやOpenTelemetryなどです。監視項目やアラートの通知条件をコードとして管理することで、一貫性のある監視体制を実現できます。設定変更の履歴管理や再利用が容易になり、運用負荷の軽減に大きく寄与します。
Database as Code
Database as Codeとは、データベースのスキーマ定義やデータマイグレーションの手順をコードで管理する手法です。代表的なツールには、LiquibaseやFlywayなどがあります。データベースの変更内容をコードとして管理することで、反映漏れや手動作業によるトラブルを未然に防げます。
3. 生成AI時代においてクラウドネイティブが欠かせない理由
生成AIをシステム開発・運用の現場でフル活用するためには、クラウドネイティブへの取り組みが重要となります。
ここでは、その理由を3つのステップで解説します。

ステップ① 人間の形式知/暗黙知をコード化できる
従来クラウドネイティブが浸透した企業では、WordやExcel、PowerPointなどのドキュメントでまとめられていた設計や規約、手順をすべてコードという形式で管理するようになります。クラウドネイティブ技術がそれら振舞いやコンテキストをコードで表現できるためであり、またそのコードに付随するあらゆる情報もマークダウンやWikiのような形式でコードと同じ場所にて管理されるようになります。ドキュメントベースでまとめられていた形式知は存在はしていても、実際の現場では、運用担当者の経験や勘といった暗黙知に依存していたのが実情です。
クラウドネイティブでは、インフラ構成やデプロイ手順、ポリシー、監視設定などをコードとして記述することで、形式知と暗黙知をシステムに組み込み、人の判断を介さない再現性の高い運用を実現しています。
ステップ② ソースコードだけでなく暗黙知/形式知を含めてAIが理解できるようになる。
生成AIは、MarkdownやYAML、JSONといった構造化されたデータ形式の解析を得意としています。これらを用いることで、AIによる自動化や処理の精度を飛躍的に高めることが可能です。一方、WordやExcel、PowerPointといったヒューマンリーダブルなドキュメントは、文脈が不完全なことが多く、且つ画像などの解釈が難しいデータが混ざるため、機械的な解釈には適していません。
暗黙知/形式知をコードで管理することは、システムを取り巻くコンテキストを生成AIが理解することにつながります。
ステップ③ システムやアプリケーションに関わるすべての情報を理解したうえで、AIが全方位的に人を支援し、システムを最適化できる。
情報がマシンリーダブルな形でコード化されることで、生成AIは個別作業の支援にとどまらず、プロセス全体の最適化に関与できるようになります。クラウドネイティブな環境では、インフラ構成やCI/CDパイプライン、ポリシー、監視設定などのすべてがコードとして管理されます。生成AIはシステム全体の構造や意図を把握しやすくなり、改善提案や最適化、コード生成といった高度な支援が可能です。
人が設計したプロセスを前提に、AIが全方位的に最適化する環境を実現できることが、生成AI時代におけるクラウドネイティブの大きな価値といえるでしょう。
4. AIファーストによる開発環境の変化
AIファーストとは、プロダクト、プロセス、組織設計のあらゆるフェーズにおいて、AIの活用を前提に構想・設計・運用するアプローチを指します。単にAIを既存業務に後付けするのではなく、「AIに何を考えさせ、どこまで判断させるのか」を起点にシステム全体を設計する点が大きな特徴です。
近年の生成AIの進化により、コード生成やレビュー、テスト、運用分析といった領域でAIの活用が急速に進んでいます。今後は、AIとクラウドネイティブが相互に作用し合うことで、開発・運用の在り方そのものが大きく進化していくでしょう。
ここでは、AIファーストによって開発環境がどのように変化するのかを、DevOpsとCI/CDの観点から詳しく解説します。
人間中心のDevOpsとAI中心のDevOpsの違い

DevOpsとは、開発(Dev)と運用(Ops)が連携し、ソフトウェアのリリース速度と品質を継続的に向上させるための考え方です。従来のDevOpsは、人が設計・実行・判断の中心を担うアプローチが主流でしたが、AIファーストではその役割分担が大きく変わります。
● 人間中心のDevOps
人間中心のDevOpsは、開発者や運用担当者がワークフローを設計し、各種ツールを操作しながら意思決定を行う点が特徴です。CI/CDや監視ツール、自動化ツールなどを活用する場合でも、最終的な判断や実行の主体はあくまで人であり、AIは補助的な役割にとどまります。
人間中心のDevOpsでは「人がいかに効率良く動けるか」を起点にプロセスが構築されます。作業の標準化や手順書の整備によって再現性の確保を図るものの、判断基準や対応タイミングは人に委ねられるケースがほとんどです。そのため、問題が発生してから人が対応するイベント駆動型の運用になる傾向があります。
また、品質を担保するために「誰が、いつ、どのように判断するか」を明確に定義する必要がありますが、その一方で、担当者の経験やスキルに依存しやすい点が課題です。将来的なスケールや継続的な最適化を図るには限界があり、人的な負荷が増大しやすい点も、避けては通れない懸念といえるでしょう。
● AI中心のDevOps
AI中心のDevOpsは、AIが提案から最適化、実行までを主導し、人は承認や監督を担う点が大きな特徴です。AIが常時稼働するプロセスのなかに、人の介入ポイントを意図的に設計する必要があります。
AI中心のDevOpsを実現するうえで重要となるのが、AIに委ねる判断領域と、人が負うべき責任領域をいかに切り分けるかという点です。どの判断をAIが学習し、再現できるのかを定義することで、意思決定の自動化と高度化を進められます。その結果、人は戦略設計や最終的な意思決定に集中でき、運用全体の生産性と安定性の向上につながるでしょう。
AIファーストによるCI/CDパイプライン

続いて、従来のCI/CDパイプラインと、AIファーストによるCI/CDパイプラインの違いを見ていきましょう。
● 従来のCI/CDパイプライン
従来のCI/CDでは、以下のように人が中心となって工程を設計・実行し、自動化する工程はあらかじめ定義された範囲に限定されていました。
開発者がコードを実装し、静的解析ツールで品質をチェック
人がトリガーを設定し、CIツールが定義済みの処理を実行
テストケースは人が設計・追加
定義済みパイプラインに従って自動デプロイ
SREが監視を行い、アラート発生時に人が対応
障害発生後はポストモーテム分析を実施
AIはコード生成やレビュー、検査など補助的な役割にとどまり、判断や最適化は人が担っている点が特徴です。
● AIファーストによるCI/CDパイプライン
AIファーストのCI/CDの大きな特徴は、以下のようにAIが全工程に関与し、最適化と実行を担う点です。
AIがコード生成、リファクタリング提案、セキュリティ検知を自動化
AIがビルド戦略やキャッシュ最適化を学習し、動的にチューニング
AIがテストケースを生成し、テスト結果をもとに自動再設計
AIがトラフィック量やSLOに応じてデプロイ戦略を選択・調整
AIが異常を予測し、原因特定や自己修復(Self-Healing)を実行
AIが運用データを分析し、次の開発サイクルに向けた改善案を自律的に提案
このように、AIファーストのCI/CDへと移行することで、人は設計方針の策定や最終的な意思決定といった、より本質的な役割に集中できます。
まとめ
生成AI時代では、クラウドネイティブの技術を活用し、AIがシステムや運用プロセスを理解・活用しやすい形で基盤を整備することが重要です。AIとクラウドネイティブが相互作用することで、開発・運用プロセス全体の最適化が可能となります。
CTCでは、こうした次世代のIT基盤のあり方を見据え、AIとクラウドネイティブの融合を促進するさまざまな取り組みを展開しています。
ホワイトペーパーでは生成AIを本格活用するうえでIT基盤と運用をどう再設計すべきかを、実践的な観点から詳しく解説しています。生成AI時代におけるIT基盤を見直したい方は、ぜひ参考にしてください。

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