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証明書更新の手作業「ゼロ」を実現する自動化の極意とは|CTCセミナー「SSL/TLS証明書有効期限『47日』時代への処方箋」レポート



1. CTC・レッドハット・日本IBMが一堂に集結しSSL/TLS証明書の“危機”への対応策を緊急提示
2029年3月以降、SSL/TLS証明書の有効期限がかつての398日から最長47日に短縮されるというのは、きわめてインパクトの強い変化です。今回のセミナーは、その差し迫った課題への具体的な対応策を、CTC、レッドハット、日本IBMの3社が提示するものです。セミナーは、告知後から多くの参加申し込みをいただき、定員に達したため受付を早期に締め切るなど、大きな反響を呼びました。

SSL/TLS証明書更新の有効な手段を知りたいと多くの来場者が詰めかけた
2. 証明書更新の自動化に「待ったなし」~ SSL/TLS証明書更新からはじめるクラウドネイティブ ~
最初のセッションでは、CTC DXコンサルティング本部 クラウドネイティブ推進部の鎌塚 裕二郎が登壇し、SSL/TLS証明書(以下、証明書)の期限短縮が現場にもたらす影響とその対処法を提示しました。

伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)
DXコンサルティング本部 クラウドネイティブ推進部
鎌塚 裕二郎
2025年4月、認証局(CA)とブラウザベンダーが参加する業界団体CA/Browser Forumは、証明書の有効期間を段階的に短縮することを決議しました。これにより、かつては398日だった有効期間が200日へと短縮され、2029年3月15日以降は最長47日になります。つまり、証明書の更新頻度が約8倍に跳ね上がり、更新漏れや設定ミスのリスクが高まるわけです。
この変更による影響の大きさは、コストに換算するとより明確になります。例えば、証明書50件の更新作業を手作業で行う場合(1件あたり10時間、時給1万円のエンジニアが対応)、年間500万円のコストがかかります。更新頻度が8倍になれば、そのコストは4,000万円にも上ります。さらに、社外向けのWebサイトで証明書の更新が遅延すれば、クレームが生じ、サービスデスクの崩壊にもつながりかねません。
こうした問題を解決する有効な手段の1つが、クラウドネイティブのアプローチによる更新の自動化です。
「クラウドネイティブの考え方は、ITリソースをソフトウェア化(コード化)してシステムの構築・運用を自動化することです。これはITリソースをベルトコンベアに乗せてシステムを大量生産するようなイメージであり、そうした自動化のソリューションを証明書更新にも適用することが求められているといえます」(鎌塚)
この考え方のもと、CTCが提唱している仕組みが、レッドハットの運用自動化プラットフォーム「Red Hat Ansible Automation Platform」(以下、AAP)と、IDベースのセキュリティツールである「HashiCorp Vault」(以下、Vault)の活用です。これによって証明書の発行から配布・適用、さらにはセキュアな管理までを一気通貫で自動化し、「手作業ゼロ」の運用基盤が実現されます。
3. 「ACMEプロトコル×AAP」が実現する証明書更新の完全自動化~ Ansible によるSSL証明書更新の完全自動化ガイド ~
続いて登壇したのは、レッドハット 技術営業本部シニアスペシャリストソリューションアーキテクトの中島 倫明氏です。同氏は「AnsibleによるSSL証明書更新の完全自動化ガイド」と題し、SSL/TLS証明書の発行・更新・失効といった一連の管理プロセスを自動化する「ACME(Automatic Certificate Management Environment)」プロトコルとAAPを使った自動化の方策を、デモを交えて解説しました。

レッドハット株式会社
技術営業本部 シニアスペシャリストソリューションアーキテクト
中島 倫明氏
ACMEプロトコルとは、従来は人手で行っていた証明書の申請・発行プロセスを自動化するための業界標準プロトコルです。DNS認証やHTTPチャレンジを通じてドメイン所有権を自動で証明し、証明書の発行まで一気通貫で処理できます。
ただし、ACMEプロトコルが担うのは「証明書の発行」に限られます。発行された証明書をロードバランサーやファイアウォール、Webサーバーといった適切な場所に配置し、サービスを再起動して新しい証明書を読み込ませる処理は、別途自動化する必要があります。その役割を担うのがAAPです。
AAPは、サーバー、ネットワーク、クラウドインフラなど、広範なシステムにおける運用の自動化に対応しています。同プラットフォームを使うことで「証明書の期限チェック→ACMEプロトコルによる証明書取得→サーバーへの適用→更新確認」といった一連のプロセスを自動化できます。
「サーバーごとに証明書の格納場所や設定が微妙に異なるケースは珍しくありません。こうした細かな差異を吸収しながら自動化を進められるのが、AAPの大きなメリットです。AAPを用いた自律運用の仕組みを整えておくことで、証明書の更新期限が47日からさらに短縮されても柔軟に対応できます。証明書更新を起点に、ネットワーク・サーバー・AI連携など、周辺領域への自動化横展開へ発展させていける土台にもなるでしょう」(中島氏)
4. 自動化における「シークレット管理」のあるべきセキュリティ~ Vaultで実現するセキュアな自動化基盤 ~
続くセッションでは、日本IBM テクノロジー事業本部 HashiCorp事業部の川口 直之氏が「Vaultで実現するセキュアな自動化基盤」と題したセミナーを展開しました。

日本アイ・ビー・エム株式会社
テクノロジー事業本部 HashiCorp事業部
川口 直之氏
運用の自動化を進めるうえで見落とされがちなリスクが、パスワード、APIキー、証明書といったシークレット(機密情報)の管理です。自動化基盤の整備が進むほど、機密情報がコードに直接書き込まれるケースが多くなり、それらの漏えいリスクが膨らみます。また、IaCツールやAIエージェントの普及により、管理すべき機密情報は際限なく増え続けており、漏えいした場合の被害は計り知れません。そのため、自動化の推進と、その基盤を支える機密情報のセキュアな管理はセットで考える必要があります。この課題に対応するのがVault です。
Vaultは、人やシステムのIDを認証して機密情報へのアクセスを厳格に制御します。また、証明書・特権パスワード・APIキーといった、これまで個別に管理されてきた情報を単一のAPIで一元管理でき、誰がいつ何にアクセスしたかも監査ログとして記録されます。
このVaultが、証明書更新・管理の自動化において担う代表的なアプローチが、AAPとの統合による自動化基盤の構築です。監視システムが期限接近を検知→AAPが自動化の手順書(プレイブック)を起動→パブリックCAで証明書を取得→秘密鍵をVaultに安全に格納→AAPが一時的な認証情報(一時クレデンシャル)を取得してサーバーにアクセスし証明書を配布、という流れで処理が完結します。
この一連の処理においてはVaultの「動的シークレット」が有効に機能します。これは、自動化ツールからリクエストを受けた瞬間にだけ有効な一時クレデンシャルを発行し、作業完了後に自動で破棄(リボーク)する仕組みです。
「一時クレデンシャルを発行する機能は、安全なパスワードを自動で発行するプロセスといえ、機密情報のセキュリティ強度を高めるうえで不可欠なものです。ところが、もしVaultがなければ、この重要なプロセスがスキップされ、固定のパスワードを使い回されるリスクが膨らみます。そうしたリスクを排除し、自動化を安全に進めるための基盤となるのがVaultなのです」(川口氏)
5. 自動化基盤の導入から定着までを一気通貫で担うCTC~ C-Nativeによるインテグレーション ─ 設計~運用支援まで─ ~
最後のセッションでは、CTC DXコンサルティング本部クラウドネイティブ推進部 クラウドネイティブ推進課の野田 侑佑が登壇し、証明書自動化の導入における課題と、「C-Native」が提供する支援の全容を紹介しました。

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
DXコンサルティング本部 クラウドネイティブ推進部 クラウドネイティブ推進課
野田 侑佑氏
C-Nativeとは、クラウドネイティブ領域に特化した技術支援サービスです。有力ベンダー各社との強固なパートナーシップと高度な統合技術を強みとしています。
AAPやVaultに関しても、レッドハットと日本IBMとの間で共同検証・導入支援を積み重ねており、豊富なナレッジを蓄積しています。また近年では、開発プロセスにAIを積極的に取り入れてもいます。これによって設計書や構成の作成を効率化し、より低コストで高品質なソリューション提供を実現しています。
一方、証明書更新を自動化するシステムの導入においては、証明書の全体把握から技術的な更新可否の確認、自動化方式の選定、基盤の可用性設計、導入後の安定した運用体制の確立まで、様々な課題が浮上します。これらの課題を、ユーザー企業単独ですべて解決しようとするのは現実的とはいえません。そこでC-Nativeでは、これらの課題に包括的に対応しながら、自動化システムの要件定義・設計・構築・運用支援までを一気通貫で支援しています。
「C-Nativeのサービスは、自動化システムの設計・構築を主とするのではなく、お客様がそれを確実に運用できるようになることを大切にしています。そのため、システムをリリースしたのちの伴走サポートや運用チームの教育など、お客様の自走体制が確立されるまで徹底的に支援いたします」(野田)

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