短工期の厳しい条件もファミリーマートを熟知したCTCが技術力でクリア
おむすびやお弁当にはじまり、ATMや各種料金の収納代行など、コンビニで取り扱う商品やサービスは、お客様の多様化するニーズに合わせて、大きく広がっている。ファミリーマートは、「社会・生活インフラ企業」の実現に向けて、新規事業にも積極的に取り組んでいる。各種電子マネーへの対応もその一つ。日々、“多様化”するニーズへの“スピーディー”な対応こそが、店舗決済システム構築の最大の課題である。
課題と効果
- 課題
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- 電子マネーアクワイアラごとに異なる決済条件などへの対応
- 電子マネー、クレジットカード、Tポイント払いの3つの決済手段への対応
- 利用状況や購買実績などの情報の蓄積
- 店舗スタッフ/本部スタッフなど異なるITスキルへの対応
店舗決済システムを構築
- 効果
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- 要件定義から稼働までのスピード展開
- マルチ端末※の導入による利便性の向上
- 電子マネーの将来の追加・変更に対応できる柔軟性の実現
- 蓄積データの有効活用による顧客サービスの向上、生産性向上
- 誰もが使いやすいユーザーインターフェースの実現
- ※マルチ端末:電子マネーを決済する端末
導入事例インタビューデータ
- 会社名
- 株式会社ファミリーマート
- 所在地
- 〒170-6017 東京都豊島区東池袋三丁目1番1号
- 設立
- 1981年9月1日
- 資本金
- 166億58百万円(2014年2月現在)
- 従業員
- 3,694名(2014年2月現在)
- URL
- http://www.family.co.jp/
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株式会社ファミリーマート
システム本部
システム開発部
基盤システム開発グループ
マネジャー田中 浩之 氏
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株式会社ファミリーマート
システム本部
システム開発部
基盤システム開発グループ間宮 愛幸 氏
導入背景
2004年3月Suicaショッピングサービス(電子マネーサービス)が始まり、各地の交通系電子マネーや「WAON」「楽天Edy」などが登場し、利用者は一気に広がった。これは決済スピードの革命とも言え、利便性を旨とするコンビニエンス業界は積極的な対応が求められる。電子マネーは、各電子マネーの事業者(電子マネーアクワイワラ)ごとに決済日、与信の有無や手順など決済条件が異なり、個別に対応せざるをえない。サービス開始時期に間に合わせるための開発には納期スピードという厳しい条件も。ファミリーマートの基幹系システムの開発、構築に深く入り込んでいたCTCは、既存の他システムへの影響を考慮しつつ、これらの課題解決に取り組んだ。
プロジェクト概要
ファミリーマートは2004年9月、コンビニエンス業界の先陣を切ってSuicaに対応した後、その他の交通系電子マネーも順次導入。交通系以外では、2007年7月に楽天Edy、iDを導入。以降、WAON、各種一般クレジットカード、QUICPay、PiTaPaなどさまざまな電子マネーに対応してきた。CTCは、これらすべての決済手段に対応するため、電子マネー、クレジット、ポイント払いと3つのシステムを基盤とした店舗決済システムを開発。当然、新たな電子マネーを追加する度に、それに合わせた決済形態の追加開発も行なった。店舗決済は、店舗システム側の「マルチ端末」「POSレジ※1」「ストアコントローラー※2」での決済機能及び本部システム側の「会計システム」「情報分析」といった機能との連携が必要となり、CTCはこの広範囲に渡るシステム全体の開発と運用を担当した。これらの実現には、ファミリーマートのシステム開発ライフサイクルの大部分に携わることで蓄積されたCTCの業務知識と安定的な運用実績が活かされた。
- ※1 POSレジ:販売時点の情報を収集し分析できる機能がついたレジ
- ※2 ストアコントローラー:コンビニエンスストアのバックヤードに設置してあるコンピュータ。POSレジと連動していて販売情報や売上情報が確認できる。
導入効果
「サービスインは、日付が決まっている。稼働できなければお店をオープンできない。CTCはこのシビアな要求に応えてくれた」と語るのは株式会社ファミリーマート システム本部 システム開発部 基盤システム開発グループのマネジャー田中 浩之氏。「CTCは、要件定義に入る前から私たちと一緒に早めに課題の洗い出しを進めてくれた。このパートナーシップのおかげで多角的な検討ができ、スピード展開が成功したと思う」と間宮 愛幸氏は開発当時を振り返る。導入後、レジでの接客スピードは向上。「このカードが使えるから、ファミリーマートに来た」とお客様の声を頂くなど、来店頻度の向上に貢献した。また、本部でも、電子マネーアクワイアラや加盟店との精算業務における手作業が削減され、スムーズかつ正確な決済処理が実現。更に、お客様の決済手段の利用状況や過去の実績データなどを蓄積、活用することでお問い合わせへの迅速な対応など、生産性向上にも大きな成果を上げている。
今後の展望
今回のシステムは、電子マネーアクワイアラごとの異なる精算締めサイクルや手数料率を変動要素としてパラメータ化するなど柔軟性に配慮した設計となっており、将来の追加や変更にもスピード対応が可能だ。同社では、2020年東京オリンピック開催時に来日されるお客様へのサービスとして、海外で主流となっている電子マネーへの対応も今後検討されていく。また、決済手段に限らず、クーポンや認証システムへの活用も検討課題としてあがっている。「店舗決済の仕組みや我々の戦略は将来変化するだろう。そうした変化に柔軟に呼応していけるシステムでありたい。コンビニは24時間365日動いているので、万一の障害への迅速な対応も大事。課題は色々あるがCTCと共に乗り越えていきたい」と田中氏は将来への期待を語った。