次世代のコンビニを創るワークスタイル変革
ファミリーマートでは、新規店舗の開拓を担う「開発担当者」や店舗のビジネスをサポートする「スーパーバイザー」を中心に、業務の効率化・迅速化を目標として、CTCの全面的なサポートを受けながら、本格的なスマートデバイスの活用を図っている。プロジェクトの最終段階ではヴイエムウェアの「VMware Horizon 6」を導入し、タブレット(多機能携帯端末)から業務アプリケーションにアクセスできる環境を整えた。遠距離を移動するスタッフも多い中、外出先から安全かつ便利に社内システムを利用できるとあって、社内の評判も高まりつつある。
課題と効果
- 課題
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- 社外で素早く業務システムを利用できない
- 外勤スタッフ業務のさらなる効率化
- IEベースのWebアプリケーション
VMware Horisonとタブレットの導入
- 効果
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- 業務システムをタブレットから利用可能に
- 移動時間を減らして業務の効率化を実現
- 将来的なVDIへの拡張も視野へ
導入事例インタビューデータ
- 会社名
- 株式会社ファミリーマート
- 所在地
- 東京都豊島区東池袋三丁目1番1号
- 設立
- 1981年
- URL
- http://www.family.co.jp/
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株式会社ファミリーマート
システム本部 システム運用部 本部システム運用グループ マネジャー
髙森 卓氏
導入背景
移動時間が長い外勤スタッフ、非効率な業務体制が課題
「あなたと、コンビに、ファミリーマート」のスローガンで知られるコンビニエンスストアチェーンを展開するファミリーマートは、2015年度より「Fun & Fresh」という戦略テーマを掲げ、品質ナンバーワンの“次世代CVS(コンビニエンスストア)”の実現に向けて取り組んでいる。近年のコンビニ業界は、顧客価値を創造し、提供していく新たなフェーズに入っており、同社ではビジネスの迅速性・柔軟性を競争力とすべく、積極的なIT投資を行っていく意向だ。店舗の開拓やオーナーのサポートを担う外勤スタッフの“ワークスタイル変革”は、重要なキーワードの1つとなっている。
その一環として、スマートデバイスを活用した業務効率化プロジェクトが進められているところだ。
本プロジェクトは、3つのステップに分けて実施されている。ステップ1ではBYOD(Bring your own Device)の仕組みを活用して、全社員から希望者を募って、メールやスケジュールといった基本的なシステムを利用できる環境を整えた。
ステップ2では、開発担当者にタブレット端末を貸与し、土地の所有者に対して提案資料などを迅速にプレゼンテーションする仕組みを設けた。従来のノートブックPCは、重くて持ち運びしにくい上、起動も遅く、また、データの紛失や盗難など、セキュリティ上の問題も懸念されていた。そこでファイル共有クラウドサービス「SmartBiz+」を活用し、端末にデータを持たない仕組みを設けて、利便性と安全性を向上させた。
ステップ3では、店舗運営をサポートするスーパーバイザーも対象に含めて、タブレットから社内システムを利用できる環境を整えることになった。
同社 システム本部 システム運用部 本部システム運用グループ マネジャーの髙森 卓氏は、このプロジェクトについて次のように述べている。
「例えばスーパーバイザーは平均で約7店舗を担当し、週に2回ずつ、全ての店舗に訪問し店舗の支援活動を行っています。特に地方では店舗間の距離が離れていることもあって、自動車での移動距離が毎週1,000kmに達するスタッフもいるほどです。このような状況で資料を準備したり、社内システムを利用するためにオフィスへ戻るのは、効率的ではないと考えられていました。スタッフの働き方を見直し、さまざまなコストを削減するためにも、このプロジェクトは非常に重要なミッションだったのです」(髙森氏)。
この環境の整備に活用されたのが、ヴイエムウェアの「VMware Horizon 6」だ。
システム概要
レスポンスと操作性に優れ、拡張性も高いVMware Horizon
スーパーバイザーは、データ分析や会計帳票、店舗スタッフ向けのマニュアルなどの店舗向けシステムを中心に、勤怠管理や人事考課といった多数の業務システムを利用している。ほとんどはWebアプリケーションとして構築されているが、古くから利用されているシステムの中には、Internet Explorer 8(IE 8)だけにしか対応していないものもあった。スタッフに貸与している端末はiPadであったため、標準のWebブラウザでは業務アプリケーションを利用することができない。そのため、システムへアクセスするWebブラウザを限定したり、端末側にデータを残さないようにしたりする仕組みも必要だった。
当初は、安価な「コンテンツ変換」の仕組みを実装し、iPadの標準ブラウザでも利用できるようにすることも検討した。しかし、コンテンツ変換には細かなカスタマイズが必要で、多数のアプリケーションに対応するには手間がかかり、また今後もシステムを拡張していくことを考えると、現実的な解決策ではないととらえられた。
VMware Horizon 6は「アプリケーション仮想化」が新たに実装されたため、この機能を活用してIE 8の画面情報のみを配信し、データをダウンロードすることなく業務システムを利用することが可能になった。アプリケーションの改修も不要となり、使い勝手も大きく変わらないため、スタッフに負担をかける心配もない。iOSだけでなく、AndroidやWindows向けのクライアントツールが提供されており、デバイスに依存しないので将来的な拡張性にも富んでいる。
「もちろん、IE 8だけでは利用できないシステムも存在しています。また、現在利用中のPCの入れ替えも、順次発生していくことがわかっています。そこで将来的には、必要に応じてVDI環境を提供して、タブレットを標準的なIT環境として提供したいと考えています。VMware Horizon with Viewは、VDIとして高い評価を得ており、今後も安心して利用することができます。設定を変更するだけでVDIを追加することが可能ですし、現時点でVMware Horizonを選択するのは必然と考えました」(髙森氏)。
もちろん実際には、他社のアプリケーション配信基盤との比較検討も行われ、CTCが現状に近いシステムを構築し、アプリケーションのレスポンスや操作性などを総合的に評価した。その結果、IE 8を配信しWebアプリケーションを利用するという限定的な利用環境のためか、画面上では大きな差はなかったが、VMware Horizonは、アプリケーション配信で最も重要な操作性とレスポンスに非常に優れており、それが決め手となって、VMware Horizonの導入が進められた。
導入効果
短期間での導入を実現したCTCの総合力
しかし問題は「時間」だった。本格的な基盤の構築に着手したのは2014年10月のことだった。2014年度中に2,000名近い開発担当者・スーパーバイザーが利用できる環境を整え、本格的な運用を開始しなければならない。そこでCTCから提案されたのが、リソースプール型プライベートクラウドサービス「TechnoCUVIC VP」の活用だ。オンプレミスシステムよりも迅速なシステム構築が可能で、高い可用性と柔軟な拡張性が特長のCTC独自のサービスだ。
「当社のシステムの多くはCTCが手がけており、インフラの運用もお願いしています。そうした協力体制が整っていることも、迅速なシステム構築には重要なポイントでした。CTCはVMware Horizonの導入実績が豊富で多くのノウハウを蓄積しているため、安心して任せることができました。TechnoCUVIC VPの基盤はVMwareのテクノロジーで構築されており、VMware Horizonとの親和性が高いのもアドバンテージの1つでした」(髙森氏)。
髙森氏の分析によれば、まだ導入から日は浅いものの、順調に利用が広まっているそうだ。大きなトラブルやクレームがないことは、インフラとして十分に機能していることの現れだという。
今後の展望
「開発担当者やスーパーバイザーの業務効率化を図り、モチベーションを向上させることは、迅速なビジネス展開や店舗の品質向上に直結します。ひいては、ファミリーマートを利用していただくお客様の生活に貢献することにつながります。
今後もCTCの協力の下、VMwareのテクノロジーを最大限に活用して、“次世代CVS”の実現に向けて取り組んでいきたいと考えています」(髙森氏)。
導入製品
- VMware Horizon 6