事例

株式会社JR東日本情報システム 様

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ローコード開発基盤「OutSystems」の価値をどう社内に理解してもらうのか。

  • OutSystems

短期間でのアプリ開発成功を機に全社展開、さらにグループ全体への新たな価値提供へ。

JR東日本グループの一員として、グループ企業に対して幅広く業務システム・インフラを提供するJR東日本情報システム。技術力向上・応用研究のため、2021年に「テクノロジー応用研究センター」を立ち上げ、デバイス検証や最新サービスの検証を進めており、そのテーマのひとつとしてローコード開発が挙がっていた。数あるツールから「OutSystems」を導入し、活用に向け試行錯誤を続けるなか、新型コロナウイルスワクチンの職域接種にあたり必要となったアプリケーションを短期間で開発。これを機に社内での活用が一気に進み、グループ企業にさらなる価値を提供できるのではないかと期待している。

課題と効果

課題
  • 最新技術研究の一環として、ローコード開発ツールを調査・検討
  • OutSystemsの価値は評価していたが、全社展開の機会がない
  • ローコード開発のスキルを持つメンバーが少なく、ノウハウが少ない
効果
  • 新型コロナウイルスワクチン職域接種で利用するアプリのローコード開発に成功
  • OutSystemsの豊富なノウハウを持つCTCのサポートにより、短期間でトラブルなく開発
  • OutSystemsを全社に展開、グループ企業に新たな価値提供を目指す

導入事例インタビューデータ

会社名
株式会社JR東日本情報システム
設立
1989年11月24日
所在地
東京都新宿区大久保3丁目8番2号 新宿ガーデンタワー7F
URL
https://www.jeis.co.jp/新しいウィンドウで開く
  • 株式会社JR東日本情報システム テクノロジー応用研究センター マネージャー 資延 伸一 氏 / 株式会社JR東日本情報システム テクノロジー応用研究センター エキスパート 鈴木 慶太 氏

    (写真右)株式会社JR東日本情報システム テクノロジー応用研究センター マネージャー 資延 伸一 氏
    (写真左)株式会社JR東日本情報システム テクノロジー応用研究センター エキスパート 鈴木 慶太 氏

導入背景

最新技術研究で取り組むテーマのひとつだった「ローコード開発」

Suica・駅サービスソリューション、鉄道事業ソリューション、生活・企業経理サービスソリューションの3ソリューションに加え、それらを支えるネットワーク・インフラ基盤を手がけるJR東日本情報システム。同社のテクノロジー応用研究センターでは技術の進化に追随すべく、最新技術の研究・検証を進めている。そのなかでAI、IoTなどとあわせ、研究テーマのひとつとなっていたのがローコード開発だった。

「個人的にローコード開発には懐疑的だったのですが、どのようなツールがあるのかは調査していました。ガートナー社が2019年に発行した「エンタプライズ・ロー・コード・アプリケーション・プラットフォームのマジック・クアドラント」に名前が挙がっていたことから『OutSystems』を知り、ハンズオンを受講したのが2年ほど前のことです。実際に触ったところこれまでのイメージが覆り、このツールならば実業務で使えるのではと感じました(鈴木氏)」

OutSystemsを社内展開すべく、地道な試行錯誤を繰り返す

そこで早速、OutSystemsのライセンスを購入し、比較検証を実施。

「ほかのローコード開発ツールも検討したのですが、そのツールはあくまでも最終的な利用者自身が使う(内製する)ことが想定されていたため、顧客環境で開発する必要があり、できる範囲も限られます。SIerとしての役割を担う当社で活用するのは現実的ではないと考えました(鈴木氏)」

OutSystemsはアプリケーションを開発して提供するというやり方をとりやすく、開発プロセスの外注にも対応しやすい。圧倒的な使いやすさ、また、既存のシステム開発~納品のプロセスに合わせやすかったこともあり、JR東日本情報システムではOutSystemsを活用することを決めた。

だが、その後すぐに社内に大規模に展開できたわけではない。社内向けツールの開発や、モックアプリの作成サポートなどをおこない、どういったケースで有効に活用できるか、どうすれば社内に展開できるか、1年半ほど試行錯誤の日々が続いた。

社内向けツール:在宅勤務管理アプリケーション

社内向けツール:在宅勤務管理アプリケーション

「OutSystemsのよさは確信しており、必要になったときに一気に展開できるよう、イベント登壇やセミナー開催など社内・社外でOutSystemsのメリットを伝える活動も地道に進めていました(鈴木氏)」

システム概要・導入効果

新型コロナウイルスワクチン職域接種……OutSystemsなら短期間でアプリを開発できる

そのなかで大きな転機となったのが、新型コロナウイルスワクチンの職域接種だった。JR東日本でもグループとして職域接種を実施することとなったが、既存システムでは対応できない特殊なフローとなる。

「接種開始まで2週間に迫っていたこともあり、JR東日本でもExcelや紙の帳票での対応を考えていたため、当社へのシステム開発の打診ではなく、職域接種の実施予定についての事後連絡が届いていただけでした。確かに従来のウォーターフォール型での開発ではとても間に合いませんが、OutSystemsならばできるのではないかと、提案することにしたのです(鈴木氏)」

初回提案までの2日間で簡単なモックアプリを実装して持参。「2日間という短期間で動くものを用意した」ことのインパクトは大きく、正式に開発を依頼されるに至った。

CTCのサポートを受け、トラブルなくアプリをリリース

開発にあたってはOutSystemsのパートナーであるCTCにサポートを依頼し、JR東日本情報システムのメンバーとチームで開発を進める体制をとった。

「CTCはOutSystems開発実績があり、ノウハウも豊富で、やりたいことに対するベストプラクティスなど色々アドバイスをいただき、本当に助かりました。仕様がなかなか確定せず、変更が発生するなかでの開発でしたが、OutSystemsを活用したことで実際の動きを見ながらユーザのフィードバックを受けることができ、スムーズな開発につながりました。デグレードなどが発生することもなく、無事にリリースできました(鈴木氏)」

開発期間が短かったこともあり、まずは最低限必要な機能のみ実装してリリースし、その後、要望や状況の変化にあわせて機能追加・改善をおこなっている。
また、新型コロナウイルスワクチン職域接種アプリという、毎日利用するものを短期間で大きな不具合なく完成させたことは社内でも高く評価され、2022年1月にはOutSystemsのライセンスを追加購入、全社で活用できる体制整備につながった。

今後の展望

SoR系システムのサポート、細かな業務のDX化支援の両軸で活用

その後、社内で活用できるアプリを開発。紙で管理していた宅配便や郵便料金計器の使用実績管理、フロアの初入室者・最終退出者による防災チェックのほか、Excelでおこなっていた作業服の貸与状況など、自分たちで不便を感じていた業務に加え、社内からアンケートで寄せられた20以上の要望についても順次開発を進めていく予定だ。

「こういったアプリはイチからシステム開発するには規模が小さくコスト的に見合わないことから、これまではRPAやExcelマクロで対応してきました。しかし、このような基幹システムや業務システムでカバーできない範囲をサポートするアプリがないと業務の不便は解消できません。これらのアプリ開発を進め、メニュー化し、グループ企業に展開することで、グループ全体での業務効率化を支援できないかと考えています(資延氏)」

こういったアプリで紙の業務がアプリ化(デジタル化)されれば、DX(デジタルトランスフォーメーション)にもつながっていく。そのために、社内での教育にも注力。各地にある支店を中心にOutSystemsで開発できるメンバーを増やし、グループ企業や拠点での困りごとを現地で解決できる体制を目指す。
一方で、基幹システムに対する細かなニーズにもOutSystemsで対応できるのではと期待している。

「基幹システムなどSoR系システムは改修にコスト・工数がかかるため、細かなニーズへの柔軟な対応は難しい部分があります。ですが、SoR系システム側でAPIやCSVダウンロード・アップロードなどの機能さえ用意すれば、細かな要望にはOutSystemsで対応することが可能になるはずです。こういったSoR系システムのサポートと、細かな業務のアプリ化によるDX支援の両軸で取り組みを進める計画です(資延氏)」

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