事例

マツダ株式会社 様

更新
mazda

あらゆるプロセスで新しいIT技術を活用するために、開発基盤に「OutSystems」を採用。

  • OutSystems

継続的な利用拡大を目指すため、CoEチームを立ち上げ、標準化やガバナンスを徹底。

広島に本社を構え、クルマ本来の魅力である「走る歓び」によって、人の心を元気にすることにより、お客さまとの間に特別な絆を持ったブランドになることを目指すマツダ。「ITモノづくり革新」として、新しいIT技術の活用と既存システムの刷新という、攻めと守りの両面から取り組みを進めることに。効率的に多くのシステムを開発するために、「システムの多様性と共通性をともに高めること」を目指すなかで、新たな開発基盤として導入したのが「OutSystems」だった。活用にあたっては、標準化や研修、社内でのPoCなどを担うCoEチームを立ち上げ、人材リソース面での支援体制を整えたことで、2022年時点では45のアプリケーションで利用されるほど、活発に利用されている。今後は、業務部門自身が主導する“ユーザー開発”なども進めていく予定だ。

課題と効果

課題
  • 独自構築のJava開発基盤では日々登場する新技術を取り込めず、目指すDXに対応しきれない
  • 同時に、老朽化した多数の既存システム刷新を短期間で高品質にやりきる必要がある
  • 有識者の定年退職やIT技術者が全国的に枯渇する中、システム化対応をやりきる人的リソースの確保が困難
効果
  • OutSystems開発基盤を立ち上げ、「多様性と共通性」をともに高め、生産性を飛躍的に高める開発を実現
  • 業務/機能要件を中長期的な視点で整理・共通化したカタログ選択型開発を整備し、高レベルでシステム品質を一定化
  • CoEチームで標準ルールやガイド、研修を整備し、開発者への要求レベルを下げることでアプリ開発体制構築

導入事例インタビューデータ

会社名
マツダ株式会社
創立
1920年1月30日
所在地
広島県安芸郡府中町新地3番1号
URL
https://www.mazda.co.jp新しいウィンドウで開く
  • 粟根 芳樹氏

    マツダ株式会社

    MDI&IT本部
    サプライチェーンシステム部
    主幹

    粟根 芳樹氏

  • 山﨑 仁氏

    マツダ株式会社

    MDI&IT本部
    サプライチェーンシステム部
    シニア・スペシャリスト

    山﨑 仁氏

導入背景

攻めと守りの両面から新たなIT技術導入に挑戦。鍵はシステムの多様性と共通性

「人間の能力を活かす」ために、「走る歓び」と「優れた環境・安全性能」を両立するために車の基本性能をゼロから見直し、最適化したSKYACTIV TECHNOLOGYなど革新的な技術開発をおこない、独創的な発想で挑戦を続けているマツダだが、IT領域でも新たな挑戦を進めている。サプライチェーンや設計・開発、カスタマーエクスペリエンスといったこれまでのプロセスに加えて、コネクテッドサービスといった新たな領域で新たなIT技術を活用すべく取り組んでいるが、同時に膨大な既存システムの刷新が課題に。攻めと守りの両面からの取り組みが求められていた。そこで2015年から「ITモノづくり革新」をスタートし、「システムの多様性と共通性をともに高めること」を目指し、「アプリケーション構築戦略」、「基盤戦略」、「ガバナンス戦略」といった3つのテーマで活動をおこなっている。

「これまでのシステム開発では、各アプリケーションで共通する機能が多くあるにも関わらず、プロジェクトごとに独立して開発する個別最適な方法を取っており、非効率がたくさん存在していました。これから推進していく多数の攻めと守りの施策に対して、従来の開発方法では漕ぎきれない。その状況を打破すべく、あらかじめ共通する部分をユースケースや機能、処理の各レベルで整理し、共通部品を整備しておくことでて複数プロジェクトで共有し、アプリケーションごとに多様性が求められる部分だけに新たに開発する範囲を絞ることができ、より多くの開発を進められると考えました(山﨑氏)」

「ITモノづくり革新」の活動では、こういった部品の共通化や必要なアプリケーションの精査などをおこなう「アプリケーション構築戦略」に加え、共通のシステム基盤を用意する「基盤戦略」も重視。システム基盤としては帳票やワークフロー、認証認可やセキュリティ等の標準基盤に加えて、以前からJavaの開発基盤も独自構築していたが、これから目指すDXにすべて対応する技術を内製で取り込んでいくのは難しく、新たな開発基盤としてローコード開発プラットフォームの検討をスタートした。

新たな開発基盤となるローコード開発プラットフォームに、OutSystemsを選定

ローコード開発プラットフォームの選定にあたっては、開発ツールとしてグラフィカルなUIを用いた開発方法で習得が容易なだけでなく、業務部門との調整場面でも、その場で具体的な画面を見せながら説明やイメージを合わせやすいこと。更に、今後のモバイル対応強化やレスポンシブにも対応できることも評価の視点だった。また、通常のローコード開発ツールへの要求事項に加えて、マツダがこれまでやってきた「アプリケーション構築戦略」や「基盤戦略」で進めている共通化・標準化・テンプレート化にも対応できること、Java開発基盤と同等にワークフローやセキュリティなど、マツダの標準基盤と簡単に連携できることが要件となる。

「机上検証を経て、数製品を実機検証した結果、OutSystemsがマツダの推進している「ITモノづくり革新」コンセプトにもっとも親和性が高いという結論となりました。部品やカスタマイズの拡張性が高く、およそ500のアプリケーションで予定されていた再構築プロジェクトにも適用しやすいと考えました(山﨑氏)」

システム概要・導入効果

CTCサポートを受けOutSystemsを本格展開。プロジェクト横断で統制をとるCoEチームも立ち上げ

OutSystems導入を進める中、CTCのサポートを受けて本格展開を進めることに。既存のOracleデータベースやメインフレームへのアクセス方式の共通化や社内の標準基盤と連携しながら、各アプリケーションではユニークな部分に注力し、効率よく開発できる環境を整備した。

「CTCは国内有数の技術者がおり、ノウハウ・知識も豊富で、標準化・共通化のアドバイスから整備・適用までしっかりサポートいただき、安心して運営できる環境を実現しました。(山﨑氏)」

「ITモノづくり革新」では3つ目の戦略として、高いレベルでプロジェクト品質を統一するための「ガバナンス戦略」にも注力している。CoE(Center of Excellence)チームを整え、OutSystemsで開発する際の標準ルールや利用ガイドなどを整備し、プロジェクト横断で統制。開発中の問合せやレビューのサポートに加えて社内向けのPoC支援もおこない、「そもそもJava開発基盤とOutSystemsのどちらがよいのか」「OutSystemsで実現できるのか」といった相談から対処する。さらに教育に関しては、OutSystemsが実施する研修に加え、独自の研修も用意している。

「過去にツールや共通部品だけを提供しても、各プロジェクトで思い思いに使って、これまでのノウハウが活かせず品質にバラつきが出たり、開発者が離任してサポートの継続が難しくなったり、というデメリットがありました。それを避けるため、一般的なOutSystemsのスキルに加えて、内部のルールや、自社で提供する共通部品などを理解してもらうよう独自の研修をおこなっています。これらを理解してもらうことで、開発方法が標準化され、誰でも運用・保守できる環境を目指せると考えました。この結果、従来の社内開発要員に加え、オフショア・ニアショアなど幅広い要員確保も可能となっています(山﨑氏)」

体制整備により開発ペースが加速。メインフレームのフロントのWeb化などで、業務効率改善にも貢献

プロセス・ルールの整備に注力した導入初年度こそ開発したアプリケーションは2~3に留まっていたが、標準ルールやガイドをブラッシュアップするなど体制を整えた結果、2022年時点では数画面のものから100画面を超える大規模アプリまで45アプリで利用するまでに増加した。

例えば、自動車会社では未だ主力となっているメインフレームでは黒画面ベースで使いづらかったマスター情報などの100以上の検索・更新画面をOutSystemsでWeb化。あいまい検索や一括ダウンロードなどもテンプレートの中へ組み込むことで、全画面で共通処理・共通オペレーションを実現し、使い勝手を大きく改善、業務効率向上につなげた。また社内で多く残るExcelで情報を管理している業務ではデータ重複欠損やバージョン管理などの課題を抱えているが、OutSystemsとサードパーティ製品を連携させてExcelに近い画面とデータ一元管理を実現し、実業務での活用を始めている。ほかにも、コロナ禍でより重要となった電子帳票や電子サインと連携してリモートワークしやすい働き方改革を促進したり、ワークフロー基盤と連携して全社の決裁手続きといった重要業務へ適用したりとサポート範囲を拡大している。

「開発効率はアプリケーションの難易度にもよりますが、シンプルなものであれば従来と比べて4倍近い生産性を実現しています。また、メインフレームの全面移行となるとすぐには対応できませんが、フロントエンドをWeb化するだけでもユーザビリティを大きく改善できます。先に業務部門の利便性を改善し、バックエンドシステムはIT部門の都合で段階的に切り替えていく、というアプローチはほかのシステムでも有効だと考えています(粟根氏)」

今後の展望

業務部門が主導するユーザー開発、タブレット・スマートフォン利用拡大などを推進

OutSystemsはプログラミング経験のないインターンや新入社員も1~2週間でサンプルアプリを作成できるほど簡単であり、社内で利用を広げていくのに適したツールだと手応えを感じている。これまでのIT部門開発で蓄積したノウハウと組み合わせて、今後は業務部門主体でアプリケーションを作成する「ユーザー開発」のアプローチも進めていく。ファーストステップとして、ITのサポートが追い付いておらず、紙やExcelへの転記などの非効率な業務が多く残る工場部門のスタッフを対象とし、独自研修を受けたうえで、トライアル開発をおこなっているところだ。

「実はユーザー開発には何度も失敗してきました。ユーザー開発ではヒアリングを短縮することでスピーディに開発できる一方で、担当者毎に同じものを作成したり、作り方が共通化できずに属人化・シャドーIT化して運用継続が難しくなったり、といったことが起こります。OutSystemsはすぐ・簡単にアプリケーションを作成できることがメリットですが、あえて急がずに、ツールの利用研修に加え、業務部門にもIT部門開発と共通のガバナンスが徹底できる体制を整えてもらい、継続的な開発・運用・保守ができるようにすることを念頭に置いて進めています(粟根氏)」

ユーザー開発についてもCoEチームが主導し、IT開発者用に整備したドキュメントやガイド類を、ITリテラシーが高くない一般社員でも分かりやすい内容へ再整備を実施している。また、工場部門にはキーマンを中心としたCoEの支部を設置してもらい、業務部門とITがタッグを組んでユーザー開発を支援する体制整備も欠かさない。その上で、進め方などについて合意が取れた工場部門内の各部署から順番に進める形をとっている。これまでのトライアル開発からは、従来のヒアリング型開発では到底作成できないような現場に即した分析資料が短期案で構築でき、ガバナンスとセットで推進することで、より効果が期待できると実感している。今後は、手書きしていた一覧の作業記録を電子化し、後工程での情報活用などの効果を期待し、タブレットやスマートフォン利用の拡大も目指しており、iPadを活用したトライアルも実施中だ。

「ユーザー開発は工場部門でプロセスをしっかり整備した後、他の部門にも展開していく予定です。合わせて海外拠点を含めた全社の業務変革のニーズも強く、OutSystemsへの期待は日々大きくなっていっています。標準整備・アプリ開発に加えてOutSystemsのメジャーバージョンアップも予定しているので、CTCのサポートを受けながら、ベストな計画を模索し、活用を進めていければと考えています(山﨑氏)」

(写真左から)粟根 芳樹氏、山﨑 仁氏、品川 誠一氏、松下 和樹氏、太田 百音氏、伊藤 由佳氏

(写真左から)粟根 芳樹氏、山﨑 仁氏、品川 誠一氏、松下 和樹氏、太田 百音氏、伊藤 由佳氏

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