事例

株式会社野村総合研究所 様

更新

容量1ペタを想定した大規模システム インフラの構築とトータルなサポートをCTCが提供

各種ドキュメントやテストデータなど、システム開発者の取り扱うデータ容量は加速度的に増加している。快適な開発環境を実現するには、これらデータの効率的なハンドリングが不可欠である。さらに、オフショアも活発になり、開発者間での情報共有が大きな課題となってきた。そこで、株式会社野村総合研究所では、既存の案件・ドキュメント管理システム「DevNet」を刷新して、大容量化と高性能化を実現した。そのストレージ容量は500テラバイトに及び、5年後には1ペタバイトを想定している。これら大規模なストレージ、サーバ、ネットワークのインフラ構築とトータルなサポートをCTCが提供した。

課題と効果

課題
  • 増加するドキュメント類を管理したい
  • 開発に集中できる快適な環境を提供したい
  • システムの運用負荷を軽減したい

「DevNet」の刷新

効果
  • 柔軟な拡張性により今後5年間の利用が可能
  • 世界中の開発者と情報共有
  • 開発の品質と生産性の向上
  • DRサイトにより大規模な災害にも対応

導入事例インタビューデータ

会社名
株式会社野村総合研究所
所在地
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-6-5 丸の内北口ビル
資本金
186億円
従業員
5,314人(NRIグループ6,263人)2010年3月31日現在
URL
http://www.nri.co.jp/新しいウィンドウで開く
  • 株式会社野村総合研究所 品質監理本部 生産革新推進部 グループマネージャー並河 英二 氏

    株式会社野村総合研究所

    品質監理本部 生産革新推進部 グループマネージャー

    並河 英二 氏

  • 株式会社野村総合研究所 基盤サービス事業本部 システム基盤統括四部 主任テクニカルエンジニア大塚 武 氏

    株式会社野村総合研究所

    基盤サービス事業本部 システム基盤統括四部 主任テクニカルエンジニア

    大塚 武 氏

  • 株式会社野村総合研究所 情報技術本部 基盤技術三部 副主任テクニカルエンジニア高野 一成 氏

    株式会社野村総合研究所

    情報技術本部 基盤技術三部 副主任テクニカルエンジニア

    高野 一成 氏

導入背景

開発者間の情報共有を実現する「DevNet」

日本を代表するシンクタンクである株式会社野村総合研究所(以下NRI)。コンサルティングサービスはもちろん、システムインテグレータとしても、その技術力と品質の高さは業界トップクラスを誇っている。

構築するシステム数が増加すると共に、規模も拡大し、国内外のパートナーと共同開発するようになった。「2000年頃からオフショアを開始し、2~3年で本格的に活用するようになりました。同時に課題となったのが、開発者間での情報共有でした」と、品質監理本部 生産革新推進部 グループマネージャー 並河 英二 氏は振り返る。この課題を解決するために構築したのが「DevNet」であった。

「DevNet」の機能は大きく2つ、案件管理とドキュメント管理である。案件管理ではプロジェクトの登録とお客様からの問い合わせ、障害情報などを管理。ドキュメント管理ではプロジェクトで発生したあらゆるドキュメントやテストデータなどを保存して管理する。

「当初は試験的にデスクトップパソコン2台で構築しましたが、利用者が多く翌年にはサーバに置き換えています。以来、ストレージなどの容量を追加し、2006年に再構築しました。これが『DevNet2』。そして、今回の刷新で『DevNet3』になります」と、当時生産革新推進部に属していた 上級システムエンジニア 竹本 昇司 氏は語る。

素早い検証システムの提供で採用を決定

2006年に構築したシステム「DevNet2」は、予想以上に利用者が増加した。社員5,000人の他にパートナーとお客様が1万5,000人。合わせて2万人が利用するシステムに成長し、管理するドキュメントの数も容量も著しく増加してきた。

そこで2008年の9月頃からシステム刷新の検討を開始する。同時に出入りしている主だったベンダーに相談して、提案を求めた。
「ここでお願いした要件が1ペタ相当の容量まで拡張できるシステムということでした。5年後には本番環境、バックアップ、DR(デザスタリカバリ)サイト合わせてこれだけの容量は必要になるだろうと想定したからです」と基盤サービス事業本部 システム基盤統括四部 主任テクニカルエンジニア 大塚 武 氏は語る。

さらに、これだけの容量を管理できる卓越したパフォーマンスのサーバとネットワーク、止まることのない高度な信頼性、デザスタリカバリの仕組みなどが要件として求められた。

CTCは提案すると共に、その提案内容の検証システムをいち早く自社内に構築し、NRIにプレゼンテーションした。「プロトタイプではなく、ほぼ本番環境のレベルで見せてもらい、そのシステムのパフォーマンスには驚きました。まだ受注も決定していない11月のことで、CTCの熱心な営業活動にも好感が持てました」と、情報技術本部 基盤技術三部 副主任テクニカルエンジニア 高野 一成 氏は評価する。そして、この1ヵ月後ベンダーはCTCへと決定した。「CTCは優れたエンジニアが揃っていることに加え、ストレージのNetApp、サーバのSunとHP、ネットワークのCisco、データベースのOracle、これらのSIとトータルなサポートをしていただけるのはCTCだけです」(大塚氏)。

システム概要

最高レベルの規模、性能、信頼性、可用性

システム概要図

2009年になってからシステム構築を開始。3月には準本番環境、5月には本番環境を構築し引き渡している。以降、アプリケーションを組み込むと共にテスト段階に入り、10月から稼働を開始した。

最先端のハードウェアや技術を駆使し、実現可能な最高レベルの規模、性能、信頼性、可用性を追求している。

規模に関しては本番環境、バックアップ、DRの3サイトで合計500テラバイトのストレージ容量となっており、1ペタバイトまでの拡張が可能だ。

性能においては、ストレージはNetApp FAS6080、サーバはSun SPARC Enterprise T5240、スイッチはCisco Catalyst 6509を利用するというように、卓越したI/0性能を追求している。

「これらの選択は信頼性を期待してのことでもあります。例えばIAサーバではなくUltraSPARC T2 Plusを選択したのは、マルチプロセッサによる処理性能はもちろん、信頼性を評価したからです」と、大塚氏は語る。Sun SPARC Enterprise T5240はCPU当たり8コアを実装しており、1-2RUの筐体で最大128スレッドを提供できる。

可用性を確保するために、バックアップは1日3時間ごとに4回、DRサイトへは夜間に1日1回のレプリケーションを実施している。障害によって本番環境でデータが失われても、少なくとも3時間前のデータをリストアできる。万が一災害で本番環境を利用できなくなっても、DRサイトをアクセスすれば前日までのデータが残っている。「DRサイトは本番環境とほぼ同じ構成を用意しています。通常はリードオンリーですが、災害時にはライトも可能にして、世界中のエンジニアは支障なく開発業務を続行できます」(竹本氏)。

NetAppの機能を駆使

刷新されたシステムには随所に工夫も見られる。

例えばILMと重複排除(Deduplication)の組み合わせ。「DevNet3」に採用されたNetApp FAS6080は一次ストレージと二次ストレージで構成されている。開発プロジェクトが開始された頃、すべてのドキュメントは一次ストレージに保管されるが、プロジェクトが終了すると参照頻度が下がる。このため、それらドキュメントを発見して、二次ストレージへ移行する。

この移行の際に、重複排除により重複するデータをなくしている。「重複排除により、50%ほどの容量削減を期待しています。また、二次ストレージは安価なSATAディスクを利用しています。今後拡張するストレージは膨大な量になりますが、ほとんどはこの二次ストレージです。コストを押さえながら拡張できます」(大塚氏)。FC(Fibre Channel)ディスクとSATAディスクを組み合わせて構成できるNetApp FAS6080の特長が有効に活かされている。

運用に関しては仮想ボリュームを作成できるNetApp FlexVolも活用している。「利用者からの要求に合わせて、容量を拡大したり縮小したりしています。特に簡単に縮小できるのがいいですね。大きくしたままで持て余すことがありません」と、高野氏はNetApp FlexVolの有効性を認める。「NetAppはすばらしいですね。使うほどに良さがわかってきます」と、大塚氏も賞賛する。

導入効果

ノンストップで稼働

「とても速くなった」「快適に使える」と、利用者からの評判は上々である。「稼働以来ノンストップで動いています。小さな障害はありますが、運用にはまったく影響がありません」と、品質監理本部 生産革新推進部 主任 林田 安弘 氏は新システムの可用性の高さを認める。ハードウェアは冗長構成にしているため、例え障害が発生しても瞬時に切り替わるし、その交換も翌営業日に対応すればいい。

「大変満足しています。DevNetが止まるとNRIの開発業務全体が止まってしまいます。それだけ重要でミッションクリティカルなシステムです。まさに望みどおりのものができました」と、並河氏は評価する。品質監理本部 生産革新推進部 上級システムエンジニア 井上 透 氏も、「前回のシステムは3年でリプレイスとなりました。今度は5年利用できるよう期待しています」と今後への抱負を語る。「DevNet3」はこれから5年、快適な開発基盤としてNRIの生産性と品質の向上を担っていく。

用語解説

ILM

information lifecycle management。情報の重要度や利用頻度などに応じて、格納に適したストレージへ適宜、移動・配置すること。

重複排除

重複するファイルやデータを排除して蓄積すること。ストレージ容量を節約できる。

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