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オリックス銀行初となる“アジャイル開発×内製開発×モバイルアプリ開発”に挑戦。OutSystemsとCTCが果たした役割とは?

  • 高性能ローコード開発プラットフォーム「OutSystems」

お客様向けモバイルアプリを内製開発

店舗やATMを持たずにインターネットを活用することでインフラコストを抑え、ユニークな金融サービスを提供しているオリックス銀行。中期的な経営戦略の重点テーマの1つとして「IT・デジタル戦略」を推進しており、その一環として、2021年末よりシステム開発を内製化し、モバイルアプリの開発プロジェクトをスタートさせた。しかし、同社にはシステム開発の内製化を実現するための十分な開発スキルや経験を持った人材が少なかったため、高性能ローコード開発プラットフォーム「OutSystems」を導入し、CTCメンバーを開発チームに加えることで内製化を実現する環境を整えた。2022年8月より“アジャイル開発×内製開発×モバイルアプリ開発”というオリックス銀行初の試みを開始し、2023年12月、無事に「お客様向けモバイルアプリ」をリリースした。

課題と効果

課題
  • 基幹系システムと連携したモバイルアプリの提供
  • お客様の要望に応じてモバイルアプリを即時に改善できる仕組み作り
  • スピーディかつ柔軟なシステム開発を支えるITスキルを持つ体制の確立
効果
  • モバイルアプリで残高照会や取引明細照会などの利用が可能になり、お客様の利便性が向上
  • オリックス銀行初のアジャイル開発×内製開発を取り入れ、変化するニーズを迅速にモバイルアプリに反映できる改修体制の実現
  • 試行錯誤を繰り返しながら、成功を目指す開発文化の醸成

導入事例インタビューデータ

会社名
オリックス銀行株式会社
創立
1993年8月23日
所在地
東京都港区芝3-22-8 オリックス乾ビル
URL
https://www.orixbank.co.jp/新しいウィンドウで開く
  • オリックス銀行株式会社 デジタル戦略推進部 業務ソリューションチーム  チーム長 中村 哲也氏

    オリックス銀行株式会社

    デジタル戦略推進部
    業務ソリューションチーム
    チーム長

    中村 哲也氏

  • オリックス銀行株式会社 デジタル戦略推進部 業務ソリューションチーム マネージャー 梶本 麻実氏

    オリックス銀行株式会社

    デジタル戦略推進部
    業務ソリューションチーム
    マネージャー

    梶本 麻実氏

  • オリックス銀行株式会社 デジタル戦略推進部 業務ソリューションチーム 高梨 優介氏

    オリックス銀行株式会社

    デジタル戦略推進部
    業務ソリューションチーム

    高梨 優介氏

導入背景

「IT・デジタル戦略」‐CX(顧客体験)向上を目指したモバイルアプリ開発プロジェクト開始

中村 哲也氏

従来、オリックス銀行ではシステム部門が外部ベンダーにシステム開発を委託していた。一方、同社が掲げている「IT・デジタル戦略」を推進する中で、“システム開発の内製化”は実現すべき大きなテーマの1つだった。

「当社が進めるIT・デジタル戦略の大きな柱は、CX(顧客体験)とEX(従業員体験)の向上です。CXを向上させるためには、システム開発の内製化によって、スピーディかつ柔軟にサービスの提供・改修が行えることが重要です。外部委託の場合、外注コストとの兼ね合いから、事業部門の要望にシステム部門が応えられないケースが度々ありました。内製化を実現できれば、これらの課題は解決され、EXの向上も期待されました。また、内製化の実現により社内に開発ノウハウが蓄積され、IT人材の育成にもつなげられると考えたのです(中村氏)」

このような背景のもと、Salesforce(不動産投資ローン申込)開発やRPA(ロボットによる業務自動化)開発など、いくつかの内製開発プロジェクトが続々と開始された。その中の1つが、2021年末よりスタートしたモバイルアプリ開発プロジェクトである。

「当時、多くの金融機関がモバイルアプリを提供して、スマホ対応を進めていました。一方、アプリを提供していなかった当社には、お客様から『他金融機関のように残高をアプリで確認したい』『定期預金の申し込みをアプリでできたら嬉しい』といったアプリを求める声が多く寄せられていました。アプリを提供していない金融機関は少なく、CX向上のためにもアプリ開発は不可欠だと考えました(梶本氏)」

システム開発の内製化に立ちはだかる課題:ITスキルを持つ開発体制の構築

梶本 麻実氏

システム開発会社ではなく、事業会社であるオリックス銀行がシステム開発の内製化を実現するためには、ITスキルを持つ人材の確保という課題があった。まず、この課題を解消するため、高性能ローコード開発プラットフォーム「OutSystems」を導入することで解決を目指した。

「1つの対策として、システム開発の経験が少ない人でも開発が進められる『OutSystems』を導入しました。本格導入前に行ったPoC(概念実証)では、OutSystemsを用いて約1.5ヵ月で簡易的なアプリを完成させることができ、当社でも十分に活用できる開発プラットフォームであることを確認しました(梶本氏)」

また、CTCのメンバーが開発体制に加わることで、人材確保の課題解決を図った。

「アプリ開発の進め方には、要件の変更に柔軟に対応するため『アジャイル開発』を採用し、業務部門とデジタル部門が協働する『内製開発チーム』を立ち上げました。しかし、システム開発を推進できる人材確保のため、システムアーキテクトと開発担当者をCTCからアサインしていただきました(高梨氏)」

プロジェクト初期に参画したCTCメンバーは4名だったが、2024年11月時点でその数は9名まで増えており、デジタル部門側の体制としては約20名の規模になった。

システム概要・導入効果

APIで基幹系システムの既存機能を活用し、OutSystems UIで基本画面を構築

CTCのサポートを受けつつ、オリックス銀行はPoCや準備フェーズを経て、2022年8月よりモバイルアプリの新規開発フェーズをスタートさせた。そして、約1年4ヵ月後の2023年12月、無事に「お客様向けモバイルアプリ」をリリースした。同アプリには残高照会や取引明細照会、振り込みなどの機能が搭載されており、これらのインターネットバンキング(IB)機能は、基幹系システムと連携させてアプリに具備していった。

「アプリの根幹となるインターネットバンキング(IB)機能については、基幹系システムの既存機能を最大限に活用しました。具体的には、OutSystemsでアプリ画面を構築し、APIやWeb表示機能を用いてアプリにもIB機能を組込んでいきました(梶本氏)」

既存のIB機能を活用することで、アプリの高い品質を維持することができたという。また、アジャイル開発でアプリを構築する一方、基幹系システムとの連携部分は従来通りウォーターフォール手法で開発を実施。つまり、アジャイル開発とウォーターフォール開発のハイブリッド手法により、モバイルアプリ開発プロジェクトを進められた。

アプリの基本的な画面については、OutSystems UIのパーツを組み合わせ、デザインをCSSなどで調整することで細かな要求を満たし業務部門が拘ったシンプルなUI/UXを実現した。

変化するお客様のニーズに迅速対応。トライアンドエラーの開発文化も醸成

高梨 優介氏

オリックス銀行は、CTCメンバーのプロジェクト参画により、OutSystemsの機能を有効に活用しながら開発プロジェクトを進めることができた。

「CTCメンバーには『この機能がうまく動かないのですが、どうすればよいですか』など、困った際にはすぐに質問を投げかけています。CTCの方々は、豊富な事例を引き合いに出して真摯に答えてくださるので、プロジェクトを進める中でスキル的な不安を感じることはありませんでした(高梨氏)」

また、内製開発×アジャイル開発を実現したことで、アプリの改修スピードも向上が可能となった。従来はアプリ内の文言変更だけでも、外部ベンダーへの見積もり依頼、契約手続き、体制確保などの複数のプロセスが必要でした。現在の内製開発体制ではこれらのプロセスを省略することができ短期間で対応できるようになっている。結果として、お客様からのニーズに迅速にモバイルアプリに反映できる仕組みが整った。

「今回のプロジェクトは、アジャイル開発の実施やローコードツールの導入など、当社としても初めての挑戦が多くありました。試行錯誤をしながらプロジェクトを進める中で、『やってみてダメだったら計画を練り直してリスタートしよう』『リリース時の評価は60点かもしれないけど、お客様の要望を聞きながら100点を目指していこう』といった、失敗を許容しながら成功を目指す開発文化が育ってきています(中村氏)」

アジャイル手法を採用したことで、コミュニケーションの方法を大きく変えたのもポイントだ。

「従来のシステム開発体制では、メールでのやり取りが主で、対面でのコミュニケーションはミーティングの場に限られていました。しかし、現在の内製開発体制では、業務部門とデジタル部門が双方の業務に関する進捗や課題を共有し、Web・対面問わず毎日会話をしています。コミュニケーションが活発になったことで、メンバー全員が情報を確実にキャッチアップできる環境になっていると思います(梶本氏)」

OutSystemsを使用した今回のモバイルアプリ開発プロジェクトでは、開発文化にも変化が見られた。

今後の展望

バイモーダルITの推進にもOutSystemsは適役

OutSystemsの活用に関する展望について、今回のモバイルアプリに留まらず、将来的にはお客様向けの他のアプリや簡易な社内業務ツールの開発にも活用したいと意欲を見せている。例えば、社員の開発スキルアップを行うツールの開発も考えられる。さらに、OutSystemsは、社内システム間の連携用APIとしても活用できると期待されている。

インタビュー風景

「今回のモバイルアプリ開発プロジェクトで取り組んだように、OutSystemsを活用することで、基幹系システムのような安全性を重視したシステムからAPIを通じてデータを取得し、柔軟性やチャレンジが求められる機能を構築する形で、いわゆる『バイモーダルIT』を社内で推進していきたいと考えています。また、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する中で、従来の紙ベースの業務を電子化する取り組みが多く行われてきましたが、中長期的には、業務フローそのものをトランスフォーメーションするような改革にも挑戦できればと思っています(中村氏)」

会社ロゴの前で

関連資料

OutSystemsに関連する資料のダウンロードは、下記のリンク先をご覧ください。

  • OutSystems® とロゴはOutSystems-Software Em Rede S.A.の登録商標です。
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