事例

株式会社セガ 様

更新

「三国志大戦3」動画配信サービスを構築

CTCのソリューション能力がセガのサービス拡大を支援

新サービスを提供したいがITインフラはどうする?ロジックは組み立てたがハードウェア構成は?想定の負荷にシステムは耐えられるのか?これらシステム構築上の不安を払拭し、イメージを具体化するソリューション能力を持っているのがCTCである。アーケードゲームのリーディングカンパニー セガは、CTCの提案力とTSCの検証力を高く評価。優れた拡張性、運用性、コストパフォーマンスのITインフラを構築し、新サービス「三国志大戦 演武場」の提供を可能にした。

課題と効果

課題
  • 会員増加に向けた十分な拡張性
  • データセンターの限られたスペースの有効活用
  • 優れたメンテナンス性

TSCで検証を重ね最適なシステム構成を提案

効果
  • HP BladeSystem c-Class で柔軟な拡張性を確保
  • スペースの拡張に追われることなく収支の計算が可能
  • Isilon IQ で大容量動画データの高速処理に対応

導入事例インタビューデータ

会社名
株式会社セガ
所在地
東京都大田区羽田1丁目2番12号
資本金
600億円(平成20年3月31日現在)
従業員
3,245名(平成20年4月1日現在)
URL
http://sega.jp/新しいウィンドウで開く
  • 株式会社セガ AM研究開発本部 第一AM研究開発部 プロデュースセクション渡邉正勝 氏

    株式会社セガ

    AM研究開発本部 第一AM研究開発部 プロデュースセクション

    渡邉正勝 氏

導入背景

多くのファンに支えられる「三国志大戦」

「三国志大戦」のプレイ画面

アーケード用ゲーム機器、家庭用ゲームソフトの開発、製造、販売、アミューズメント施設の運営や企画などを手がける大手ゲームメーカー セガ。ゲームメーカーの老舗であり、そんな同社の人気ゲームの1つが「三国志大戦」シリーズだ。「中国の三国志をモチーフにしたゲームです。ネットワーク対戦とトレーディングカード収集という魅力を合わせ持っています」と、株式会社セガ AM研究開発本部 第一AM研究開発部 プロデュースセクション 渡邉正勝 氏は語る。

このゲームは多くのプレイヤーの支持を受け、毎年夏には全国大会が開催されている。今年2008年の全国大会には1万7000人がエントリーし、7月26日(土)大田区産業プラザPiOで開催された全国大会では、早朝から多くのファンが詰めかけ、開場直後には満員御礼となってしまったほどである。

アーケード筐体のフラットリーダーの上で手持ちのカードを自在に動かす“カードさばき”や“カードの組み合わせ”で勝負が決まるという三国志大戦のゲーム性から、筐体に設置されているライブモニターで流されるトッププレイヤーの対戦動画は、多くのプレイヤーが目にしている。「他人の戦いだけではなく、自分の対戦も振り返りたいというプレイヤーの声が上がってきました。これが動画配信サービス『三国志大戦 演武場』を構想するきっかけになりました」と、渡邉氏は振り返る。

総合的なソリューション能力と検証能力でCTC案を採用

「三国志大戦」では従来から、ゲームと携帯電話を連動させた「三国志大戦.NET」というサービスを提供しており、会員はこれを通じて、対戦履歴を確認したり、仲間とチームを組んでゲームを通じてコミュニケーションすることができる。渡邉氏は、多くのプレイヤーが利用しているこのモバイルサービスと動画配信サービスを連動させることを考えた。対戦終了後、プレイヤーは筐体から動画作成の予約をする。予約した動画を正式に動画にしたい場合は『三国志大戦 演武場』のサイトから発注を行うが、利便性を高めるために携帯電話経由でも発注ができるようにした。さらに、チームメンバー同士の動画も共有できるようにし、さらなるコミュニケーションの活発化を目指した。もちろん、これらのサービスはPCからも利用することができる。携帯電話では利便性、携帯より解像度の高いモニターを利用するPCでは、じっくりとサービスを受けることを前提とし、機能性を重視している。

システムの青写真は描けても、実際に環境を構築するには、人的リソースの確保はもちろんのこと、サーバ機器を設置するスペースの確保も必要である。加えて会員の伸びと、それに伴うトラフィックの増加や機器の増設数も正確に読むことは難しい。システムを構築する際に外部のノウハウを利用できないかと考えた渡邉氏は、2008年1月に複数のシステムインテグレーターに相談を持ちかけ、結果的にCTCの提案を採用されることとなった。「こちらの要求に想定していた構成よりもさらに適切な形で答えてくれました。拡張性、メンテナンス性、そしてコスト。このあたりにCTCのソリューション能力の高さを感じました」と、採用の理由を渡邉氏は語る。「さらに、検証センターTSCで、すぐにパフォーマンス等の検証を行っていただき、システムに対する信頼性を確認できたので安心しました。これで機器構成が固まりました。」(渡邉氏)。TSCはCTCの提供する日本最大級のマルチベンダー検証施設である。メーカーを問わず多様な機器の組み合わせなどを確認でき、開設以来多くの企業に利用されている。

システム概要

省スペースとスケールアウト性を評価し HP BladeSystem c-Class を採用

機器構成の概略図

システムの中核となるサーバとして採用されたのがHP BladeSystem c-Classだ。拡張性を確保するにも、限られたコストとスペースを有効に活用するにも、スモールスタートが可能なHP BladeSystem c-Classが適していた。また、統合監視ツール「HP Systems Insight Manager」や、c-Classの統合管理ツール「オンボードアドミニストレータ」、さらにブレードエンクロージャ前面に配置された「インサイト ディスプレイ」により、優れたメンテナンス性も備えている。HP BladeSystemは世界でも日本でもNo.1の出荷台数(*)を誇り、日本国内においては最も多くの導入・構築をCTCが手がけている。

c-Classは、プレイの模様を動画に変換するエンコード作業を担っている。各ブレード間で効率的に負荷分散するためのエンコード管理サーバとしては、HP ProLiant DL360を配置している。作成された動画はストレージに蓄積され、発注者(プレイヤー)の要求に応じて順次配信される。「三国志大戦 演武場」のWebサーバとしてもc-Classが採用されている。

サーバ自体は、外部データセンターにハウジングしている。もちろんセガでは、サービスによりラックマウントサーバを利用することもある。だが集積率の低いラックマウントサーバの場合、スケールアウト時にハウジングコストが増加してしまう。また複数のラックがデータセンター内に分散して配置されてしまうと、物理的な管理が煩雑となり、メンテナンスも容易でなくなる。こういった課題をc-Classの導入により解消できたという。

「会員数の増加に比例してサーバの増強が必要となります。あわせて、サーバを設置する場所の確保も必要です。しかし集積率の高いブレードサーバであれば、システム増強に伴う場所の確保に関して心配することもなく、構築に関するスケジュールも容易に立てられ、費用も抑えることができます。実際、c-Class導入により、データセンターのランニングコストなどが、大幅に抑えることができています。」と渡邉氏はc-Classの導入効果を話す。

  • 2008年第2四半期世界/国内ブレードサーバ出荷台数(出典: IDC Worldwide Quarterly Server Tracker Q2 2008)

大容量動画ファイル用ストレージIsilon IQ

作成された動画はSun Fire X4500サーバに蓄積され、会員の要求に応じて配信されていく。「大容量ファイルをいかに素早くハンドリングできるかという点に苦労しました。求められるパフォーマンスに対応できるのがこの構成でした。」(渡邉氏)。

動画という巨大なファイルを一次保存するストレージとして、採用されたのがIsilon IQだ。Isilon IQクラスタ ストレージは動画や音声データなどに特化したストレージである。当初別製品での構成を考えていたが、大容量ファイルの高速な蓄積とアクセスに耐えられず、専用ストレージとしてIsilon IQが選択された。

導入効果

ノートラブルで稼働し信頼性を高く評価

「画質にもこだわっています」と、渡邉氏は語る。高精細な画像を提供しようとするとファイル容量が巨大となり、エンコードの時間や転送する時間もかかる。かといって劣化した画像では会員を満足させることができない。「どのレベルに落ち着かせるか。このシミュレーションに相当時間をかけました。」(渡邉氏)。

同時に会員サービスを充実させるためにコンテンツ作りにも徹底的にこだわっている。利用者の要求をクリアする高いレベルのコンテンツを極めて短期間で完成させ、7月22日よりサービスを開始した。サービス開始から順調にダウンロード数も伸び、多くの会員に利用されている。

「システムはノートラブルで稼働しています。 正直、ある程度トラブルは覚悟して体制を整えていましたが、おかげさまで取り越し苦労に終わりました。メンテナンスの手間もかからず、構築した ITインフラは期待以上です。」と、渡邉氏はCTCの構築したITインフラの 信頼性と運用性を認めている。

今後の展望

会員へのサービスを充実

2008年9月18日に最新バージョン「三国志大戦3~蒼天の龍脈~」をリリース。バージョンアップに伴い、多くのユーザーにプレイされている。それにあわせて「三国志大戦 演武場」への入会も増えている。「多くのプレイヤーの皆さんのためにも、システムの改善を図るのはもちろんのこと、三国志大戦がますます楽しくなるサービスを提供していきたいです。」と、渡邉氏の構想は膨らむ。そんなサービスの拡大をCTCが強力に支援している。

用語解説

ネットワーク対戦ゲーム
ネットワークを介して他のゲームセンターにいるプレイヤーと対戦するゲーム。全国のプレイヤーが対象になるので、対戦相手の確保が容易。

カードゲーム
広義にはトランプなどのカードを使ったゲームのことであるが、アーケードゲームにおいては主にトレーディングカードゲームのことを指す。通常1プレイに付きカードが1枚排出される。集めたカードで自分がプレイで使用するカードの組み合わせを考え、対戦に挑む。コレクション要素だけでなく、この組み合わせを考えることも、このゲームの醍醐味である。

エンコード
データを一定の規則に基づいて符号化すること。この事例の場合は、大容量の画像データを効率的に圧縮すること。

Isilon IQクラスタ ストレージ
アイシロン・システムズ社のクラスタストレージ製品。動画や音声データなどの非構造化データに特化しており、大規模、大容量のデジタルコンテンツ配信事業者を始め、メディア&エンターテイメント、xSP、製造業、官公庁、石油&ガス、ライフサイエンスといった幅広い業種に利用されている。

※この記事は、ITmedia エンタープライズ 「三国志大戦のリプレイを配信――セガの動画サービスを支えるブレードサーバ」(9/17)を再編集したものです。

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