TOTOのデジタルイノベーションを支える「3D CAD on VDI システムサービス」を導入
- Citrix XenDesktop
- Citrix XenServer
- Lenovo System x
- NetApp FAS
“あしたを、ちがう「まいにち」に。”をミッションに掲げるTOTO株式会社。同社の「ものづくり」は、常に「良品の供給」と「お客様の満足」を志し、「奉仕の精神」で社会の発展に寄与することを「社是」としている。衛生陶器やウォシュレット※、キッチンや浴室など、生活に欠かせない水回り製品を研究し開発してきた同社は、2009年に長期経営計画「TOTO Vプラン2017」を策定し「真のグローバル企業」を目指している。
この度、TOTOでは、このVプランの一環として製品設計の中核を担う3D CADの仮想デスクトップ構築において、同社がパートナーとして選んだ伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の支援のもと、「3D CAD on VDIシステムサービス」を導入した。
課題と効果
- 課題
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- 部門ごとの共用ワークステーションの数が不足
- データセンターから離れた拠点でCADデータの転送に時間を費やしていた
- 高性能なワークステーションの導入・運用・管理の負担が拡大
3D CAD on VDIシステムサービスによる環境の改善
- 効果
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- リソース配分の最適化により3D CADの利用効率を改善
- 離れた拠点からも快適なアクセスを実現
- システム全多胎の運用サービスで運用管理の大幅な低減
導入事例インタビューデータ
- 会社名
- TOTO株式会社
- 所在地
- 福岡県北九州市小倉北区中島2-1-1
- 創立
- 1917年
- URL
- http://www.toto.co.jp/
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TOTO株式会社
情報企画本部
情報企画部
商品開発IT支援グループ若林 貴伸氏
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TOTO株式会社
衛陶開発第一部
国際衛陶開発グループ住中 宏氏
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TOTO株式会社
ウォシュレット開発第三部
商品開発第四グループ三山 一誠氏
導入背景
デジタルものづくりを推進するTOTOの3D CAD 導入における課題
TOTOは「TOTO Vプラン2017」における重要な戦略として、国内および海外における新規製品開発を推進し、それをより効率的に行うために、商品開発の要となるIT戦略の抜本的な見直しを進めてきた。同社の「デジタルものづくり」の現場では、以前から3DCADを活用して、衛生陶器やウォシュレット※などの設計や解析を行ってきた。しかし、ITの利活用が促進されてきた結果、3DCADを利用する現場では、多くの課題が発生していた。その課題について、情報企画本部 情報企画部 商品開発IT支援グループの若林 貴伸氏は、次のように振り返る。
「3D CADを利用するIT環境の課題では、稼動状況にバラツキがあり、リソースに過不足が発生していました。また、解析モデルの高度化や大規模化に伴って、ワークステーションの性能不足も問題視されるようになりました。さらに、運用管理の負担や災害復旧への対策なども課題になっていました。」
衛陶開発第一部 国際衛陶開発グループの住中 宏氏は「ものづくりをデジタル化して、開発のスピードと品質を上げていくためには、設計者やデザイナーが3D CADを快適に利用できるIT環境の整備が急務となっていました。しかし実際の現場では、高性能なワークステーションの台数が限られていたため、開発が大詰めに来ている設計者などは、必要なワークステーションを確保するために、早朝から出勤していました。」と話す。
加えて、ウォシュレット開発第三部 商品開発第四グループの三山 一誠氏も「設計で利用する3Dデータは、データセンターで一元管理されているため、離れた拠点からの利用ではデータのダウンロードに数十分の時間を要することもありました。」と課題を補足する。
システム概要
Citrix XenDesktop/XenServer による3D CAD on VDI を包含したサービスを評価
「各社の仮想化ソリューションを比べた結果、USBの制御やネットワーク接続、グループ管理など、運用側のニーズを的確に捉えた、かゆいところに手が届くクライアントの制御と、vGPUとの相性、さらにCAEの運用において大きな障害も発生していない、という実績を総合的に評価してCitrixXenDesktop/XenServerを選定しました。」と若林氏は話す。また「システムインテグレーターの選定においては、ハードやソフトの評価に加えて、システム構築後の包括的な運用サービスも検討項目になっていました。」と若林氏は補足する。なぜなら、3DCAD on VDIにおいては、Citrix XenDesktop/XenServerを運用するための高度なノウハウだけではなく、SOLIDWORKSやNXなどの3D CADソフトに、Enterprise PDMにTeamcenterなどの関連するアプリケーションを一元的に運用保守できる体制が求められていたからだ。
「これまでは、アプリケーション単位で運用保守を契約していたため、サービスレベルや業務負担、作業手順書などの精度や粒度が不均等でした。そのため、IT部門だけではなく、設計などの現場にも運用などの負担が生じていたのです。」と若林氏は説明する。さらに、IT部門の課題として、若林氏は導入から運用面での対応について「インフラ・プラットフォームの集約と統合が求められていました。仮想化基盤の上に、複数のCADやPDMソフトウェアを利用するため、ライセンスの契約や管理などが煩雑になります。加えて、ハードウェアの選定やシステム構築後の運用など、IT部門としてはできるだけ煩雑な管理を避けたいとも考えていました。」と話す。
その観点からIT部門は2014年ごろCTCに注目し、CTCは案件初期段階から要件定義のコンサルティング支援に関わることとなった。CTCには、3D CAD on VDIの構築と運用に関連する製品に関して、すべてCTC社内で対応が可能な技術者と体制が整備されており、個々のメーカーとも強固なパートナーシップを推進していた。さらに、ハードウェアとミドルウェアだけではなく、仮想デスクトップ上で動く設計業務システム(3次元CADやデータ管理システム)も含めた、システム全体の運用を支援する体制も整えていた。「CTCの3D CAD on VDIシステムサービスは、バラバラな体制に横串を刺して、ハードとソフトの一括保守を実現する先進的なサービスでした。その点を高く評価して、CTCに構築をお願いしました。」と若林氏は選定の理由を話す。
導入効果
設計現場の作業効率を劇的に改善し柔軟なワークスタイルも実現
2016年10月に構築を開始、2017年3月にカットオーバーとなった今回の3D CAD on VDIシステムサービスにより、設計現場では、作業効率が劇的に改善された。その成果について三山氏は「仮想化によって、データセンターにある3Dデータを手元のワークステーションにダウンロードする必要がなくなったため、作業に取り掛かる時間が大幅に短縮されました。」と効果を実感している。
また現場で利用する機器の選定においても「以前は、導入するPCを三段階の性能レベルで区分していました。そのため、機器の選定からセットアップまで、現場にとってかなりの負担となっていたのです。それが3DCAD on VDIによって、標準的なPCで運用できるようになり、計画的な購買とシンプルな運用管理を実現できました。これは現場の担当者にとって大きな成果です。」と住中氏も評価する。
さらに三山氏は「高性能なワークステーションの争奪戦がなくなり、個々の端末の性能に依存しなくなったので、スタッフ全員が均等に高性能な3D CADを使えるようになりました。また3D CAD on VDIの利用に慣れてきた設計者は、社内でノートPCを持ち歩いて、会議室以外の場所でもデザインレビューを手軽に行えるようになりました。」と話す。
システムの構築においても「構築段階から保守チームも参画して、運用設計を共同で実施し、最適なサイジングを行ってもらったので、カットオーバー後も設計現場から処理速度に関する不満などは出ていません。」と若林氏は語る。
今後の展望
グローバル展開の推進と全社規模でのワークスタイル改革も視野に
「TOTO Vプラン2017」では、国内事業だけではなく、海外事業の積極的な開拓と成長も目指している。そのためには「グローバルに開発と生産を推進し、品質を向上していく必要があります。そこで今後は、生産拠点のある中国やマレーシアからの3D CAD on VDIへのアクセスを実現し、グローバルでの展開を計画しています。」と三山氏は話す。
また若林氏は「情報システム部門は、TOTOグループ全体のICTの仕組みを最適化する企画を立案し、事業部間を通じたIT戦略を推進していきます。今回の3D CAD on VDIシステムサービスの導入を機に、今後はオフィス部門などの一般業務においても、VDIを推進できるか視野に入れ、今後もCTCとよく相談しながら進めていきたいと考えています。」と抱負を語る。
- ※ ウォシュレットはTOTOの登録商標です。