トヨタのグローバルな事業戦略をサポートするトヨタコミュニケーションシステム。同社は、ユーザー数の拡大に伴うレスポンス低下を防ぐため、ソフトウェア開発に用いている仮想化基盤にスケールアウト型オールフラッシュストレージ「ネットアップSolidFire」を導入。柔軟な運用性と高度な冗長化により信頼性が向上したほか、伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)のサポートにより限られた人員でも安心して運用できる環境を整えた。
課題と効果
- 課題
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- 仮想化基盤で提供している開発環境のレスポンスが課題
- 少人数での運用のため運用の効率性が不可欠
- 基盤の信頼性や安心感も求められていた
スケ-ルアウト型オールフラッシュストレージ「ネットアップ SolidFire」を導入
- 効果
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- ストレージのレスポンス性能を劇的に改善
- VMのクローンなどの作業が大幅に短縮され運用性も向上
- 効率的なデデュープ(重複排除)により実効容量も大幅に拡大
導入事例インタビューデータ
- 会社名
- 株式会社トヨタコミュニケーションシステム
- 設立
- 2001年
- 所在地
- 名古屋市東区泉1-23-22 トヨタホーム栄ビル
- URL
- http://www.toyota-cs.com/
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株式会社トヨタコミュニケーションシステム
システム基盤本部 システム技術部
総括/技術支援G 主任嶋田 央氏
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株式会社トヨタコミュニケーションシステム
システム基盤本部 システム技術部
総括/技術支援G 主任土田 和範氏
導入背景
開発ユーザー数の拡大に伴いレスポンス向上が課題 パフォーマンスや信頼性の高いストレージの導入が必要に
トヨタコミュニケーションシステムは、エンジニアリング、ビジネス、ファイナンスなどのシステム開発を手掛けるIT企業だ。
システム基盤本部システム技術部 総括/技術支援Gの嶋田央氏と土田和範氏が管理する仮想化基盤は、400VM以上のキャパシティを持ち、約1000人のユーザー向け開発用サーバ/クラインアントやドキュメントサーバを提供。これらは社内エンジニアのほか、社外の協力会社などのユーザーに利用されている。
両氏は、ユーザーの業務に支障が発生しないよう要件の変化に応じた増強などを繰り返してきた。そんな中2016年、次の更新に向けた新たな機材の選定において、両氏が重視したのがストレージのパフォーマンス向上だった。
「それまで仮想化基盤には、ディスクストレージを使ってきましたが、新年度から社外ユーザーの利用が増加していたため、パフォーマンスの向上とVMの安定稼働が求められたのです。そのためには入出力性能が高く、運用性と信頼性の高いストレージの採用が絶対条件でした」(土田氏)
オールフラッシュでスケールアウト型のSolidFireに候補を絞って検証し採用
仕様決定において同社が考慮したのは以下の点だ。まず、パフォーマンス向上のため、これまで使ってきたディスクストレージよりも格段に高い入出力性能と費用対効果を期待できること。また、信頼性向上のため、コンポーネント(部品)単位とエンクロージャ(筐体)両方の故障に柔軟に対応できるオールフラッシュストレージであることだ。
その条件に当てはまるのがSolidFireだった。同社では、ネットアップとともに検証作業を実施。実際の環境に近い条件で操作やパフォーマンスを確認したほか、動作中にSSDや電源を抜くといった障害試験も実施した結果、同社の求める厳しい条件を全てクリアしSolidFireの採用が確定した。
システム概要・導入効果
導入や運用の手間がかからないSolidFire さらなる安心のためにCTCと保守契約
土田氏は導入や運用の容易さについて次のように話す。
「コンソール画面が直感的な操作で利用でき、重複排除機能が自動で適用されるなど、導入も非常に容易でした。運用を開始してからも、効率的に管理できています」
SolidFire は現在、仮想化基盤の中でVMのシステム領域などを保存するストレージとして利用されている。開発環境は標準化により、ほぼ同じ構成のVMが使われるため重複排除機能が効率的に働き、実ディスク容量の消費を約1/20に抑えられた。性能面でも、以前のディスクストレージより入出力が格段に高速となり、ユーザーから「遅い」と言われることがなくなっただけでなく、多彩な機能により運用面にもメリットが出ている。
「開発工程の中の特に製造過程にもなると、20 ~ 30台のVMを一斉に準備することがあり、SolidFire ならVMを複製する処理が非常に早く、数分で実行できます。以前のストレージではコピー待ちの時間が長く、都合数日かかっていたこともありました。ユーザー数の拡大に伴い、VM準備作業における時間短縮の必要性が高まっていたので、大きなメリットがありました。また、設置スペースは従来のストレージが10U だったのに対し、今回導入したSolidFire は4Uで、60%削減されました」(土田氏)
選定時から重視していた信頼性についても、両氏はSolidFireを高く評価している。嶋田氏は、「稼働開始から取材時点までにエラーが生じたのはわずか1度だけで、それも、装置自体がセルフチェックでエラーを検知したという軽微なものです。その際もネットアップAuto Supportにより自動的にエラーが検知/通知され、ネットアップがリモートでサポートしてくれました。こうした運用サポート対応も有益だと感じています。トラブルがほとんどないだけでなく、操作コンソールもほとんど迷わず直感的に扱うことができ、重複排除機能なども自動で適用されるため、我々のように少人数で運用する場合でも安心です」と説明する。
SolidFireは信頼性が高く手間がかからないとはいえ、土田氏や嶋田氏にとっては初めて扱う製品でもある。さらに両氏は、仮想化基盤の構築や運用だけでなく、技術支援などの業務も担当しているため、さらなる安心や負担軽減のためのサポートも必要だった。そこでネットアップに相談し、SolidFireに関する実績が豊富なパートナーとして紹介されたのがCTCだった。
「CTCは、SolidFire がネットアップに統合される以前から扱っており、ノウハウが豊富でした。また、当社の他事業部とも深い付き合いがあり、トヨタとも取引があるなどの実績から、SolidFireをCTCから導入し、さらに保守契約も締結しました」(土田氏)
今後の展望
ディスクとフラッシュを組み合わせて信頼性に優れたストレージを追求
両氏は今回のSolidFire導入の成果を踏まえ、ストレージについて今後さまざまな方向性を考えている。
土田氏は、「データによっては、低速でいいから大容量・低コストに保管したい場合もあり、そういったニーズにはディスクストレージを使うことになるでしょう。しかし過去には安価なストレージで障害が多発した苦い経験もあり、こうした用途でも信頼性の高い製品が必要です」と、信頼性の高いディスクストレージの必要性を指摘する。
また、嶋田氏は、「システムディスクはSolidFireに、データはディスクストレージに配置するのが当面の基本プランですが、現状ではシステム領域に以前からのディスクストレージも併用している状態です。これらもいずれSolidFire へと置き換えていきたいと考えています」と、フラッシュストレージの利用拡大について考えを示している。
ネットアップについて土田氏は、「統合した会社のプロダクトであるSolidFire も含め、引き続きラインナップを維持してもらいたいと考えています」と話し、嶋田氏も「SSDがさらに低価格になってくれば全面的にオールフラッシュにすることも考えており、これからも低価格で優れた製品を提供してもらいたいです」と期待を語る。
さらに嶋田氏は、「新しい技術を一早く取り入れるためには、CTCのようなパートナーに相談する場面が多くなることでしょう。ハードウェアだけでなく、ミドルウェアや運用、セキュリティなど幅広い面での支援に期待しています」と話している。