事例

宇部興産株式会社 様

更新

ストレージ統合の効果を明確化して、最善の環境構築を支援

SOIDEAL for Storageによって高品質なストレージ環境を実現

ITシステムの導入・構築において、その効果を明確にすることは非常に重要であり、多くの企業が悩むところでもある。機能や性能の単純な比較ではなく、運用や保守、投資対効果など様々な要素を含めた定量的な把握、現状を踏まえた課題解決策の検討、そしてRFPへの反映など適切なドキュメント化を進めるには、専門的な知識と経験が不可欠であり、そのプロセスを支援する高品質なコンサルティングサービスに対するニーズは高い。

ストレージシステムの刷新を検討していた宇部興産株式会社は、今回この構築策定支援プロセスでCTCの「SOIDEAL for Storage」を採用。課題を解決するだけでなく、先の展開を見越した「あるべきシステムの姿」を確立して、期待に違わぬ効果を上げることに成功した。

課題と効果

課題
  • サーバ統合に伴うストレージ容量の増大と利用率の低下
  • バックアップ時間の著しい増加
  • ストレージの仮想化によるコスト削減、運用の効率化

「SOIDEAL for Storage」の採用

効果
  • さまざまな側面から結論を明確に定量化、コスト削減効果を可視化し、最適なシステムを選定
  • 最適な実行計画・移行計画を策定し、スムーズな導入・構築を実現
  • 運用効率の改善、バックアップ時間の大幅な短縮を達成

導入事例インタビューデータ

会社名
宇部興産株式会社
創業
1897年(明治30年)6月
資本金
584億円(2011年3月末現在)
従業員数
11,026人(グループ全体)
URL
http://www.ube.co.jp新しいウィンドウで開く
  • 宇部興産株式会社 経営管理室 情報システム部 情報・インフラグループ グループリーダー大井 和之 氏

    宇部興産株式会社

    経営管理室 情報システム部 情報・インフラグループ グループリーダー

    大井 和之 氏

  • 株式会社宇部情報システム 情報処理サービス部 運用技術グループ マネージャー福谷 貞夫 氏

    株式会社宇部情報システム

    情報処理サービス部 運用技術グループ マネージャー

    福谷 貞夫 氏

  • 株式会社宇部情報システム 情報処理サービス部 運用技術グループ 主査田中 信也 氏

    株式会社宇部情報システム

    情報処理サービス部 運用技術グループ 主査

    田中 信也 氏

導入背景

サーバ統合に伴うストレージの運用改善が課題に

宇部興産株式会社は、1897年に石炭採掘事業からスタートし、創業者が「有限の鉱業から無限の工業へ」という理念に基づき設立した業種の異なる4社の合併により、1942年に設立された。この理念のもと、常に時代と産業構造の変化に対応し続けた宇部興産は現在、化成品・樹脂、機能性材料、ファインケミカル、医薬、建設資材、機械・金属成形、エネルギー・環境と幅広い分野に携わり、高い評価を得ている。海外展開も積極的に行っており、早い段階から米国や中国(香港、上海)に現地法人を設立し、2010年にはブラジルに、2011年には韓国に、新たに現地法人を設けている。

これまで同社は事業部や拠点など個別にサーバ設備を導入、構築しており、次第に物理的な設置スペースや運用保守・リプレースの負担など、様々な面で課題が増えていた。そこで個別最適から全体最適へ転換してIT設備の標準化を図り、トータルなコストの抑制を実現すべく、2007年から3ヶ年計画で仮想化によるサーバ統合を開始し、2010年には予定通り完了した。

このサーバ統合の過程で新たに表出したのが、ストレージの運用に関する課題だった。

宇部興産株式会社の 大井 和之 氏は次のように語る。

「サーバ統合に伴いストレージも集約されたのですが、容量使用率は予想以上に低く、再配置、性能維持、リプレースなどのストレージ運用工数が増加しました。また、容量増加に伴い、バックアップが遅延するなど別の問題も出てきたので、統合済みのストレージ環境を最適化し、運用を効率化したいと考えたのです」

ストレージシステムそのものの見直しとコスト削減も課題

同社の情報システム構築・運用を担っている株式会社宇部情報システム(以下UIS)の 田中 信也 氏は、別の観点からストレージシステムに対する課題を捉えていた。

「それまで宇部興産のストレージシステムはほぼ1社の製品で構成されていたのですが、これをマルチベンダー化することで導入や構築にかかるコストを抑えられないか(競争による調達コスト削減)と考えていました。単に製品を入れ替えてデータを移行させるのはリスクが高くなるので、システム全体を仮想化し、物理的に採用する製品は自由に選べる仕組みにしたいという話になったのです」

ストレージシステムの見直しは2009年に始まり、2010年に予定していたリプレースに合わせて行うことを念頭にRFPの作成と検討が進められた。ここでCTCは、まず同社が本当に必要とするシステムのあるべき姿を明確にし、その上で機器の選定や実行計画をまとめるコンサルティングから始めることが最善のアプローチと考え、構築策定支援サービスである「SOIDEAL for Storage」を提案した。

SOIDEAL for Storageは、ストレージに特化したサービスであり、最終的な実装を前提にしているので、既存の制約なども考慮したうえで現実的な解決策を提示することが可能だ。今回はさらにその前段階として、ストレージに関するワークショップを行い、現状と今後の展開を見極めることからスタートした。

UISの 福谷 貞夫 氏は次のように話す。

「やはりコストを削減するために、最終的にどのような構成がベストなのか、こちらでもきちんとイメージする必要がありました。CTCの提案は、ちょうどそのニーズにマッチしたものでしたね」

システム概要

ワークショップで改めてRFPの内容を整理

システム概要図

CTC主催のワークショップは、2009年12月から2010年3月まで、合計4回行われた。宇部興産とUISからは、プロジェクト担当者のほか、バックアップとネットワークに関わるメンバーが参加した。

「我々が取り扱っていない製品の紹介もあり、候補となる製品の良いところ、注意すべきところをわかりやすく整理できました。CTCはいろいろな実績をお持ちで、我々だけでは至らない部分を的確にフォローいただけたので、非常に助かりました」と田中氏は話す。

このワークショップを通じて、同社が求めるシステムの技術的な部分はほぼ整理され、システム構成も固められた。それを踏まえて2010年夏に再度RFPを作成し、ベンダー選定を実施。ここでCTCは改めてSOIDEAL for Storageの活用を提案し、採用されることとなった。

今回の検討・導入フロー

「CTCは非常に知識量が豊富で、経験もお持ちなのだと、ワークショップの時にも、SOIDEALを利用した時にも強く感じました。わからないことや疑問に思ったことを質問すると、常に的確かつスピーディに答えをいただけましたし、そのおかげでこちらも安心できました。そうした一連の対応はとても印象に残っています。作業に取り組まれる姿勢も、納品物も、非常に丁寧な仕事をされるベンダーという印象を強く持ちました」と福谷氏はCTCの取り組みを高く評価している。

導入効果

SOIDEAL for Storageでシステム刷新の効果を定量的に把握

同社はSOIDEAL for Storageを活用することで、新しいストレージシステムの性能、機能、運用など様々な面について、継続的な運用を踏まえたメリットと実施すべき対応内容が明確になり、成功を確信できるようになった。最終的な達成目標のイメージを社内で共有するうえで、このプロセスは非常に有効だったと福谷氏は話す。

「SOIDEAL for Storageによって、システム更新で得られる効果や、既存の環境との性能比較など、いろいろな要素を定量化して把握できたのは大きかったと思います。課題を的確に解決していく際に、根拠を定量的に示すのは、とても重要なことですから」

SOIDEAL for Storageのサービスに含まれるエグゼクティブサマリー(レポート)も好評で、これらが総合的に評価された結果、実際のシステム導入もCTCが行うことになった。

「事前にワークショップで技術的な内容、構成を決めていて、それがベースにあったので、導入決定までの期間も短かったですね。今までのシステムとはまったく違うものになるので心配や不安もありましたが、CTCのおかげでそれらを確実に解消できました。導入や構築もスムーズに進んだと思います」と田中氏は話す。

新しいストレージシステムはシンプルで効率的な運用を実現

刷新されたストレージシステム(FCとNFSのハイブリッド型)は、2011年7月から稼働を開始。以前よりも大幅な効率化が図られ、運用もシンプルになった。宇部興産とUISとの間でバックアップ手順の標準化も行われ、2012年2月末までに約300台の移行が完了しているが、トラブルは起こっていない。

「バックアップに時間がかかりすぎるという課題は劇的に改善され、以前は24時間以内に完了しなかった作業が5分ほどで済む(サーバ前後処理を除くストレージ部分のバックアップ処理)ようになりました。また、以前はバックアップソフトとストレージを個別に更改してきましたが、今回の刷新で1つに集約することとなり、これも今後のコストや保守負担の削減につながっていくと思います」と田中氏は確かな手応えを感じている。

今後の展望

今回のストレージシステムはTCP/IPベースのネットワークで構築している。既存のストレージシステムはファイバチャネルを用いており、信頼性や性能などこちらのほうが優れていた部分もあるため、今後ハイブリッド型の新システムの運用を継続しながら、より高品質なものを目指すべく、検証を重ねていきたいと田中氏は話す。CTCにも引き続き協力してほしいと期待を寄せている。

「CTCには最初の要件定義のところから関わってもらい、ドキュメント作成の部分を含め、運用開始の直前まで丁寧に支援していただきました。非常に高品質なものを提供していただき、感謝しています。今後も、いろいろな案件で積極的にご協力いただければと思っています」

用語解説

RFP(request for proposal)
発注先候補のITベンダーに具体的なシステム提案を要求すること。

  • このページについてツイッターでツイート(新しいウィンドウで開く)
  • このページをフェイスブックでシェア(新しいウィンドウで開く)

この事例に関するお問い合わせはこちら

※記載内容は掲載当時のものであり、変更されている場合がございます。