コラム

よくわかるIT新発見 第1回 「Software Defined xx」の潮流を読み解く!

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仮想化技術のキーワード「Software Defined xx」をCTCのエンジニアが解説

「Software Defined xx」という言葉を耳にしたことはありませんか?
この言葉は、米国ITベンダーを中心に昨今多く語られているキーワードです。

「Software Defined xx」とは?

「Software Defined xx」はコンセプトとして抽象的に用いられていることに加え、「xx」の部分をベンダーごとに異なる言葉で表現しているため、わかりづらくなっています。そこで今回、「Software Defined xx」とは何なのか、概念を解説します。

ベンダー各社の「Software Defined xx」例
VMware社、HP社、EMC社 Software Defined Data Center
ネットワークベンダー各社 Software Defined Network
CTC Software Defined Infrastructure

「Software Defined」とは「(手作業ではなく)ソフトウェアで定義・制御する環境」を実現する、または目指すという意味で、更に「xx」の部分は対象のITインフラの領域を指しています。

「Software Defined xx」を一言で説明すると「より柔軟かつ迅速に制御可能なITインフラの実現を目指そう」と表現することができます。

「より柔軟かつ迅速に制御可能なITインフラ」をCTCも次世代ITインフラのひとつの姿と考えており、「Software Defined Infrastructure(以下、SDI)」という言葉で表現しています。

SDIが実現されれば、これまで利用までに数日かかっていたコンピュータがすぐに利用できたり、管理者が手作業で行っている煩雑な変更作業を自動化し運用負荷を低減することができるようになります。

なぜ「Software Defined xx」なのか?

システムを支えるITインフラは、サーバ仮想化技術の浸透によって、簡単にサーバを作成・変更することや、多数のサーバを論理的に集約することが可能になりました。

しかし、ネットワークやストレージの変更には手作業が必要であり、次の2つの課題が顕在化するようになってきました。

  • 手作業による品質の低下や運用負荷の増大
    サーバの作成・変更が容易となったことによるITインフラへの変更要求や、集約化による管理対象の増加によって、手作業による品質の低下や運用負荷が増大している(自動化に対する要求)。
  • 更なるビジネス変化への追随
    サーバのみならずITインフラ全体を対象としたビジネスの変化への更なる対応力が求められる(更なる俊敏性・柔軟性に対する要求)。

これら課題への対応を目的とし、サーバ仮想化技術によって実現された仮想化とソフトウェアによる制御を、ネットワークやストレージ領域においても実現し、最終的にITインフラ全体をソフトウェアによって定義・制御可能な環境を実現するという考え方として「Software Defined xx」が提唱されています。

「Software Defined xx」を整理してみる

一方、目指すべき方向性は同じであっても、各ベンダーの実装領域や方式が異なり分かりづらくなっています。CTCとしては、ベンダーごとの製品のポジションや関係性の理解・把握のため、SDI Landscapeを作成し、情報の整理を行っています。

「Software Defined xx」に関連するベンダーごとの製品のポジションや関係性を把握するためには、各ベンダーが製品開発をおこなっているITリソースごとの領域「カテゴリ(横軸)」と、SDIを実現するための役割・機能「機能レイヤー(縦軸)」の2つの軸で表現すると、整理しやすくなります。

役割・機能によって3つに分類された機能レイヤー

SDIの構成要素を、それぞれが提供する、もしくは担う役割・機能の観点で整理すると、ITリソース全体を横断的に管理する機能(左記表「SDI Orchestration」)、各ITリソースの中で制御する機能(左記表「SDI Controller」)、リソース提供する機能(左記表「SDI Device」)の大きく3つの層に分類できます。これがSDI Landscape の「機能レイヤー(縦軸)」です。それぞれの機能レイヤーが連携することでITインフラ全体を仮想化し制御できるようにします。

機能レイヤーごとの役割
  1. SDI Orchestration
    下位の機能レイヤーのAPI(Application Program Interface)を通じて全体のプロビジョニングを行うとともに、システム全体のITリソースを管理する役割を担います。
  2. SDI Controller
    上位の機能レイヤーからのAPIを介した指示に従い、SDI DeviceのAPIを通じてプロビジョニングに必要な設定変更を行います。
  3. SDI Device
    上位の機能レイヤーからAPIを介した指示に従い、必要なITリソースを提供します。

ITリソース種別によって分類したカテゴリ

ベンダーごとに異なる実装領域の違いを表現することを目的にSDIを分類すると、ITリソースごとに大きく3つに分類でき、加えて全体のITリソースを横断的にコントロールする機能を含めた4つに分類することができます。これがSDI Landscape の「カテゴリ(横軸)」になります。

「Software Defined xx」では、このカテゴリごとに製品開発や標準化がすすめられています。

カテゴリごとの役割
  1. Orchestration
    「SDI Orchestration」の役割を担っている領域。「OpenStack」「CloudStack」に代表されるクラウドインフラを管理するためのOSSツールや、サーバ仮想化製品ベンダー等が市場投入した「IaaS管理」に主眼を置いたツールが注目されています。
  2. Compute (Software Defined Compute)
    利用者が必要とする構成や性能を持つコンピュータを迅速に利用できる環境の実現を目指している領域。実現に向けた技術的アプローチには、サーバ仮想化技術を用いた「仮想マシンプロビジョニング」と、高密度・高集約物理サーバを用いた「ベアメタルプロビジョニング」の2つが存在します。
  3. Storage (Software Defined Storage)
    ストレージリソースを提供する物理機器(単一・複数)に依存することなく、一元的にストレージを利用できる環境の実現を目指している領域。このカテゴリは比較的新しい概念で、ベンダー各社の実装が出そろっていない領域です。
  4. Network (Software Defined Network)
    手作業が必要であった物理機器の設定を、アプリケーションなどソフトウェアから動的かつ迅速にコントロールできる環境の実現を目指している領域。このカテゴリでは、アーキテクチャーに対する議論や製品の商用化も進むとともに、実用に向けての課題等が議論されるなど先行した状態です。

「Software Defined xx」の現状と今後

SDIというコンセプトはここ数年の間に提唱されてきたばかりであり、世の中に普及するにはもうしばらく時間が掛かると予想されます。しかし、技術・製品の成熟と共にITインフラの標準アーキテクチャとなる可能性は高く、各ベンダー・標準化団体の動向が注目されています。

近い将来、障害の自動復旧や設定変更に対して人手を介さない自律的なITインフラが実現される日も遠くはないかもしれません。

次回は、「Orchestration」領域において、オープンソースIaaS管理ソフトとして注目が集まる「OpenStack」についてご紹介します。

著者紹介

(写真左)クロスファンクショングループ ITビジネス企画推進室 水上 貴博 (写真右)クロスファンクショングループ ITビジネス企画推進室 飯塚 晃弘

(写真左)
クロスファンクショングループ ITビジネス企画推進室
水上 貴博

(写真右)
クロスファンクショングループ ITビジネス企画推進室
飯塚 晃弘

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