コラム

Oracle Databaseの移行、その最適解とは

Oracle Cloud Infrastructure(OCI)の優位性に関する考察<前編>

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本コラムでは、オラクルのパートナーとしての実績と経験をもとに、Oracle Databaseの維持費用の削減と安定したデータベース運用を両立させる、その最適解について考察してみたいと思います。

  • Oracle Cloud Infrastructure(OCI)

Oracle Databaseは、1970年代後半に世界初の商用データベース製品として登場して以来、負荷分散やクラスター構成による信頼性や可用性の高さ、高いパフォーマンスが評価され、ミッションクリティカルなシステムをはじめ世界中の多くのユーザーに利用されてきました。現在も世界トップシェアを誇る高性能データベース製品です。

一方で、ライセンスや保守の料金体系の複雑さもあり、長期間の利用でシステムを拡張する度に維持費用が高額になっていくことがユーザーの大きな負担となっています。システム更新やライセンス契約の節目に他社製のデータベースへの移行やクラウドサービスの利用が検討されるケースが少なくありません。

本コラムでは、オラクルのパートナーとしての実績と経験をもとに、Oracle Databaseの維持費用の削減と安定したデータベース運用を両立させる、その最適解について考察してみたいと思います。

Oracle Databaseの維持費用を削減するための選択肢とは

Oracle Databaseの維持費用を含むITシステム予算の削減が課題になった場合、多くのユーザーは次の3つの選択肢を検討するケースが多いようです。

  1. パブリッククラウド上で Oracle Databaseを利用する
  2. システムはオンプレミスのままデータベースを他社製に移行する
  3. Oracle Cloud Infrastructure(OCI)に移行する

これらの選択肢について、それぞれのメリットとデメリットを考えてみましょう。

パブリッククラウドに移行するという選択肢

多くのユーザーがまず検討するのは、システムの全て、または一部を、パブリッククラウド環境に移行し、運用にかかるコストを下げることでITシステムの総所有コストを削減する方法です。パブリッククラウドへの移行には、Oracle Database の稼働実績もあり、移行ツールなども用意されています。しかし、いくつかの課題があり、全てのユーザーに適した方法とは言い切れません。

まず、そもそもの課題でもあるOracle Databaseのライセンスと保守にかかるコストです。実は、パブリッククラウド上で大規模システムに対応した上位のOracle Database「Enterprise Edition」を利用する場合、現在のライセンス体系では初めにライセンス料と保守料を購入しなければならない条件があります。PoCを含めたスモールスタートを検討しているユーザーにおいては、コストの最適化を図るのが難しくなります。
また、パブリッククラウドでのライセンスカウント方法がオンプレミスと違うので、ライセンスと保守料金の初期費用がオンプレミス版の時よりも高額になる場合があります。

さらに、パブリッククラウドでは、これまでのオンプレミス環境で使い慣れた運用管理ソフトウェアが利用できないケースがあります。システム全体がクラウドに移行することで、運用管理が従来とは異なる環境になってしまいます。選択するパブリッククラウドのデータベースサービスによってはオンプレミスのOracle Databaseとアーキテクチャが異なるため、アプリケーションやサービスについても大幅な改修や新たな構築が必要となります。これまでの性能が維持できない上に移行に伴う労力やコストの面でも負担が大きくなるでしょう。パブリッククラウド上でのOracle Databaseの利用は、コスト高になることが最も大きな課題だと言えます。

データベースを他社製に移行するという選択肢

ITシステム予算に占めるOracle Databaseの保守費用を削減したいのであれば、より低コストのデータベース製品に移行するという考え方が最もシンプルかもしれません。この選択肢の場合、十分に考慮しなければならないポイントは、データベースの移行に伴うリスクです。

ITシステムの根幹をなすデータベースの移行は、実際は大変に難しくデリケートなプロジェクトになります。データの完全な整合性を取りながら、入出力をくまなくつなぎ合わせていく必要があるので、一つでも間違えばシステム全体の中で不具合が生じ、最悪の場合はシステムが止まってしまうリスクがあります。移行に伴う作業量や時間が多くかかるため、移行プロジェクト全体のコストが想定よりも大幅に膨らむ可能性もあります。

また、本格的なデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現によってビジネスのアジリティ(業務の迅速化)が求められる現代においては、ビジネスの状況に応じて自由に伸縮できるクラウドの有効活用は、多くの企業で喫緊の課題となっています。データベースの維持コスト削減だけを目的に莫大なITシステム予算を投じてオンプレミス環境を継続することは、システムの拡張性や伸縮性の不足がDX推進の大きなボトルネックになってしまうリスクも想定しておいた方がよいでしょう。

Oracle Cloud Infrastructureに移行するという選択肢

オラクルのパブリッククラウドである「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」は、国内での展開が後発だったこともあり、現時点ではパブリッククラウド大手3社のシェアには届いていません。しかし、2019年に東京リージョン、その後に大阪リージョンを矢継ぎ早に開設して以来、後発だからこその優位性を活かし、高性能な環境が低コストで提供されています。大手企業をはじめミッションクリティカルな大規模システムへの採用が着実に増加しています。
私たちは、OCIの活用こそが、Oracle Databaseの維持費用を最適化し、同時にビジネスの変化に柔軟に対応する弾力性とビジネスアジリティも確保できる、DX時代におけるデータベース環境の最適解であると考えています。

次回は、既存の環境でOracle Databaseを利用しているお客様に対して、なぜOCIへの移行を推奨するのか、その理由について解説いたします。

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