2009年02月02日
著:クロスファンクショングループ ITエンジニアリング室 プラットフォーム推進部 杵島 正和
本格的な導入も2009年から活発になってくるような動きを見せ始めている。少し現在までの状況を整理してみましょう。
<初めに>
Windows Server 2008が登場してもうすぐ1年を迎えようとしている。Windows Server 2008は新機能だけでなく信頼性および管理機能の強化も行われており、非常にバランスの良いサーバOSとなっている。発売とともに各種メディアでいろいろな記事を目にする機会も多く、本格的な導入も2009年から活発になってくるような動きを見せ始めている。少し現在までの状況を整理してみる。
Windows Server 2008がリリース前の段階からHyper-V(「サーバ仮想化」機能)に関して非常に注目が集まっており、2008年8月に正式リリースになるとともに、Hyper-VはWindows Server 2008の1機能にも関わらずOS本体というよりHyper-Vそのものに話題が集中した感があった。それだけ仮想化技術、とりわけサーバ仮想化に関して世の中の関心が高いことの証明だと思う。サーバの仮想化は、上手に利用することにより物理サーバ台数を減らすというシナリオが一番分かりやすいが、他にもサーバ環境の展開・復旧の容易さや導入した物理サーバの使用率向上など多くのメリットがあることは間違いがない。
<新たな局面に向かって>
Windows Server 2008は「サーバの仮想化」に特化したプラットフォームかというと、決してそういうわけではない。おそらくは「仮想化」という言葉が漠然として捉えられていたり、「仮想化」=「サーバの仮想化」だと捉えられていたりすることが多いと思われるが、実際には仮想化に絡んでいろいろな技術が展開されている。
実際にマイクロソフト社は仮想化に絡んで当初から「4つの仮想化」という展開をしており、現在ではそれを進化させる形で「360°Virtualization」として推進している。
内容としては、以下の4つのテクノロジーに分解される。
- サーバの仮想化 = Virtual Server、Hyper-V
- クライアントの仮想化 = Virtual PC
- プレゼンテーションの仮想化 = ターミナルサービス
- アプリケーションの仮想化 = Application Virtualization(App-V)
サーバ仮想化に関しては前述の通りのメリットがあり、これまでも語られることが多い機能なのでここでは割愛する。ターミナルサービスは、Windows アプリケーションを各クライアントに展開しなくてもリモートから利用できる、いわゆるサーバベースコンピューティング技術である。全てのアプリケーションやデータはサーバ上にしか存在せず、すべての処理もサーバ側で行われるため、データ漏えい対策などコンプライアンスの観点からシンクライアントとの組み合わせで語られることが多い機能でもある。しかし、ターミナルサービスを動作させるサーバには最初からアプリケーションがインストールされているわけではないので、大量のターミナルサーバがあった場合に必ずと言ってよいほどアプリケーション展開の手法が問題になる。実際問題としてターミナルサービスと普通のPCが混在するようなケース(あるいはシンクライアント環境と普通のPC)がほとんどだと思うが、社内のアプリケーションを管理し、効率的にターミナルサーバとPCを問わない形のアプリケーション展開の手法が必要になってくる。こういった局面でApp-Vを利用することで、仮想化されたアプリケーションの統合・一元管理というシナリオにつながってくる。
さらにWindows Server 2008 のターミナルサービス上でアプリケーションを動作させるには、各アプリケーションと Windows Server 2008 の互換性検証も対応も必要となるが、App-V を使うことで互換性の敷居を下げられる可能性も存在している。
Windows Server 2008を考える上においては、サーバの仮想化技術によってプラットフォームを仮想化するだけでなく、さらにアプリケーションも仮想化することも可能にできるプラットフォームの中心としてとらえることが必要ではないかと思う。
さて次回以降は、改めてHyper-Vの解説、またその統合管理ツールであるSystem Center Virtual Machine Managerの紹介、さらにApp-Vの解説などを行いつつ、こういったマイクロソフト社のテクノロジーをどのようにCTCが取り組んでいるかについてふれていく予定にしている。