コラム

Windows Server 2008

Vol.4 ~Hyper-Vを管理する(その1)~

更新

CTCの独自視点を織り交ぜたWindows Server のポイントを解説

著:プラットフォーム技術部 杵島 正和

7月末にWindows Server 2008 R2の開発完了のアナウンスがあり、9月に入ってボリュームライセンスの販売も開始されている。いろんなメディアやあるいはイベント等でHyper-V 2.0を目にされ、ライブマイグレーションを中心とした新機能、あるいは全体的な性能向上に注目されている方も多いと思うし、また実際に体験版などで実際に評価を開始されたかたもいらっしゃるのではないかと思う。
Hyper-V 2.0の登場によって、本格導入への道が開けつつあるのではないかと思っているのだが、その際に考えなければならない点は「仮想サーバー」の管理という点である。

実際に、Hyper-Vによる仮想化統合を行うと仮定して、管理する対象としてあげられるのが、「Hyper-V(物理)サーバー」、「仮想サーバー」の2つになる。これらの台数が増えれば増えるほど効率よく管理する仕組みを考慮しなければいけない。

Hyper-V 単独での管理を考える

Hyper-V サーバー自体は、そもそもWindows Serverであるし、ServerCoreでインストールした場合を除けば、いつもながらのGUIも存在している。また「Hyper-Vマネージャー」という専用管理ツールもよくできているので、一見あまり不自由を感じさせない。しかしながら複数のHyper-Vサーバーをまとめて運用する場合に次のような点を考慮していくと、なかなか簡単にはいかないことが見えてくる。
たとえば、「ISO イメージの管理」や「仮想ハードディスクの管理」などはどこにマスタ情報をおいて管理するかを考慮しなければいけない。仮に各物理サーバーの上に配置する、あるいはネットワーク共有を利用するなどの方法が考えられるが、バージョンの管理であるとかイメージの更新作業をだれがいつどのように行うのかが課題になる。また「仮想マシンのハードウェア構成の管理」や「仮想マシンのバックアップ」なども各物理サーバーごとにインポート/エクスポートで対応したり、バックアップツールでバックアップするなどの対応を行っていくことになるが、個々のサーバーに依存した処理になってしまう。さらに自動化などを考慮するとスクリプト処理に頼ることになるが、サーバー台数が増えれば増えるほど複雑さを増していくことが想像に難くない。
また、Hyper-V環境をクラスタ化しライブマイグレーション環境(あるいはクイックマイグレーション環境)を用意する場合は、操作画面の切り替わりに注意が必要である。Hyper-Vの機能とフェールオーバークラスタの機能は本来別個の機能であり、Hyper-V 2.0になってもその点に変更はない。したがって仮想マシンに対する操作は「Hyper-Vマネージャ」で行い、ライブマイグレーションなどの操作を行う場合には「フェールオーバークラスタマネージャ」で行う必要がある。実際問題、クラスタ構成されたHyper-V環境を単純に操作しようとすると、煩雑な画面操作を行うことになってしまい、あまり効率が良いとは言えない。

(図1)Hyper-Vマネージャの画面

ここで仮想マシンの作成や構成の変更などを行う。マイグレーション系の操作などの項目は存在しない。(図1)

(図2)フェールオーバークラスタマネージャーの画面

ここでライブマイグレーションの操作や仮想マシンのシャットダウンなどを行う。Windows Server 2008での画面と比べるとかなり画面もしっかり作られているが、ここだけでは完結できない。(図2)

Hyper-Vを集中管理するためには

複数台のHyper-Vを管理するための基盤として、以前より「SystemCenter Virtual Machine Manager 2008」という製品が提供されていた。今回、Windows Server 2008 R2のリリースに伴って、こちらも「SystemCenter Virtual Machine Manager 2008 R2(SCVMM 2008 R2)」としてリリースされることになり、開発も完了している。今回提供されるSCVMM 2008 R2は単に、Hyper-V 2.0への対応を行っただけではなく、いくつかの新機能を盛り込んでいる。
次回は、SCVMM 2008 R2の主要機能を振り返りつつ、新機能について解説したい。

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