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持続可能な世界のために、今私たちができること 「笑い」の力でSDGsを広める「よしもと」とCTC社長が語る 【特集】吉本興業株式会社 “SDGsチーム” × 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 代表取締役社長 菊地 哲

SDGsを知ることで意識が変わる

──
SDGsは2030年を年限に、〈「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現〉を謳っています。実際に取り組みを行う中で周囲の変化など感じられることはありますか?
菊地

地球の46億年の歴史の中で、人間が生きているのは最近のたった20万年だけです。そして特にここ200〜300年の間に、もともと人力や家畜だったエネルギー源が、蒸気機関、石炭、石油、原子力という具合に次々と発展し、エネルギー使用量は爆発的に拡大しました。人口も近い将来100億人に達するとされ、地球が養える限界を超え、他の様々な問題も考え合わせれば、人類は本当にあっという間に危ういところまで来ています。

そうした背景も含めてSDGsが掲げられたわけで、皆で共有し、本気で行動しなければなりません。SDGsは日本語訳では「持続可能な開発目標」という言葉で、developmentを「開発」と訳すところに専門的な趣も感じています。普及を目的とするなら「発展」という訳でも良かったのでは?というのが私の意見です。自分たちで工夫しながら伝えていかなければならないと思っていたところ、吉本興業さんの取り組みを知り、すごいなと思いました。

羽根田

今、何かやらないといけないという意識を持っている人は増えているように思います。CTCさんにとってのITのように、各々の得意分野をSDGsに関連付けて動き出そうという傾向も強まっているように感じます。

その中で私たちは、笑いという強みを活かしてSDGsを伝えていくということをやっていきたい。とても地道で、難しさも感じていますが、それでもイベントなどの場で丁寧に伝えていけば、少しずつ広がっていくと信じて、進めています。

菊地 哲
菊地

2030年までに世界の誰一人も取り残さずに、というのは難しい目標ではあります。でも、SDGsを意識して活動を続けることによって、取り組んでいる人自身、自然に気持ちがそちらに向かうことの意味は大きいのではないでしょうか。

羽根田

今まで私たちにとって大事なのは、テレビや劇場、イベントなどをいかに盛り上げ、お客様に笑って帰ってもらえるかだったのですが、SDGsを意識するようになってからは、社員も、笑って帰ってもらえることに加えて、地球上の様々な問題について少しでも知ってもらうきっかけにしてほしいと考え始めているように感じます。それは大切な変化だと思います。

菊地

そうですね、日々の仕事が最終的に何に結び付き、社会や地球とどう関係しているのかを、SDGsを知ることで意識し始めている人は多いでしょう。弊社も、「豊かな社会の実現に貢献する」ことを理念としていますが、実際の業務をSDGsの17の目標と結びつけることで、具体的にどのように貢献できているのかが明確になる。その意味は大きいと感じます。自分たちのビジネスの再認識や反省にもなりますね。

あなたの身近にある「未来に残したいもの」を30秒以内の動画にして、SNSを利用して投稿する映像コンペティション“JIMOT CM REPUBLIC”を2018年度より開催。未来に残したいと思う身近なものを次の世代へ受け渡していくことは、SDGsのゴールを目指すことにつながるはず、という思いを具現化。

あなたの身近にある「未来に残したいもの」を30秒以内の動画にして、SNSを利用して投稿する映像コンペティション“JIMOT CM REPUBLIC”を2018年度より開催。未来に残したいと思う身近なものを次の世代へ受け渡していくことは、SDGsのゴールを目指すことにつながるはず、という思いを具現化。

これからの10年でできること

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2030年まであと10年ほどです。SDGsの取り組みに関して今後の展望があれば教えてください。
生沼

これまではSDGsを知ってもらうという意識で動いてきましたが、そろそろ行動を起こしてもらう段階にきているのかなと感じています。自分もこんなことをやってみよう、と思ってもらえるようなイベントなどを今後更に打ち出して行きたいです。

永井

弊社は2011年から、「あなたの街に住みますプロジェクト」といって、芸人が47都道府県に移住して、その地域の課題に取り組むというプロジェクトをやっています。実際に各地域に暮らしながら、現地の課題に向き合い、イベントを一緒に盛り上げたりしてきました。お手伝いするのは小さなことですが、実際に行動に移すことで各地の生の声も聞こえてきます。そういった情報をもとに新しい何かができないかと考えています。最初からSDGsで何かを、と思うと難しい場合もありますが、現場の声をヒントに、小さなことでも協力し動いていく。それを継続していくことで、結果としてSDGsのゴール達成に近づけるのではないかなと。

永井 康雄

永井 康雄

吉本興業株式会社
コーポレート・コミュニケーション本部
プロデューサー

札幌市で行われる「みんわらウィーク」では「SDGsウォーク」を開催。芸人さんたちとウオーキングを楽しみながら、途中のチェックポイントでは17の目標が書かれた各バッジから関心のあるものを集め、事前に配られたトートバッグにつけてゴールを目指す。昨年の「みんわらウィーク」では500人以上が参加。

札幌市で行われる「みんわらウィーク」では「SDGsウォーク」を開催。芸人さんたちとウオーキングを楽しみながら、途中のチェックポイントでは17の目標が書かれた各バッジから関心のあるものを集め、事前に配られたトートバッグにつけてゴールを目指す。昨年の「みんわらウィーク」では500人以上が参加。

菊地

CTCでも、SDGsの17の目標の中から、自分たちの強みであるITによって達成できそうな目標を明確に絞り込んで浸透を図っています。

更に、私自身はITが持つ負の面も感じています。サイバー攻撃にしても人工知能にしても、その未来を考えた時、ITそのものが脅威になることも大いにあり得ます。だからこそ、ITで社会に貢献するのが私たちの使命だと考えています。SDGsを一つの指針としていくと、社員も、自分たちがやっていることが正しい方向に向かっていると信じられるし、一歩一歩、先へと進んでいくための道しるべにもなるはずです。

羽根田

このような場を設けていただき、意義あるお話ができるのもSDGsのおかげなのだなと思います。

菊地

SDGsは、私たちが何をすべきかを改めて教えてくれます。その理念をしっかりと心に刻んで、今できることを着実に進めていきたいですね。

元小学校の校舎を社屋とする吉本興業株式会社東京本部では、当時の設えをそのまま活かして使用。“SDGsチーム”の皆さんとCTC菊地社長。

元小学校の校舎を社屋とする吉本興業株式会社東京本部では、当時の設えをそのまま活かして使用。
“SDGsチーム”の皆さんとCTC菊地社長。左から、生沼 教行さん、志村 一隆さん、中島 毅さん、羽根田 みやびさん、菊地 哲社長、永井 康雄さん、山地 克明さん。

吉本興業株式会社 “SDGsチーム”
コーポレート・コミュニケーション本部のメンバーを中心として、社内外にSDGsを広めるために様々なイベントや活動を企画・実行。

出典:Best Engine Vol.7

記載内容は掲載当時の情報です。最新情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

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