Technical Report
データ分析及びシミュレーション活用による空港計画支援
空港の運用をシミュレーションする
過去、空港計画は主に机上で検討されてきました。しかし、空港の運用が複雑化するに伴い、空港の運用をコンピュータ上でモデル化し、需要の変化に伴う影響を数値シミュレーションで評価するようになってきました。
CTCは日本で空港運用のシミュレーションが一般的になってきた約20年前から空港の各種データの分析やシミュレーションを行ってきました。データ分析では空港に関する様々な実績データを分析し、施設の運用状況を可視化します。定期的に分析を行うことで、過去から現在、将来予測データがあれば、未来に至るまでの施設運用状況の推移を確認することが可能です。これらを確認することで、将来の旅客需要に対して施設や運用条件のボトルネックを明らかにし、将来の施設改修に優先度を付けることができます。
一方、シミュレーションではコンピュータ上に航空機、旅客、車両などの動きを考慮した空港モデルを作成し、想定される施設運用を組み込みます。シミュレーション結果は、各種統計値や動画によって可視化します。現在の運用状況を確認するだけでなく、施設や設備、人員の数やその運用の変更時にどのような影響があるかを確認することで、将来の運用方法を検討することも可能です。現在から将来までを可視化するシミュレーションは、立場の異なる関係者間の共通認識を促すコミュニケーションツールであり、これを用いることで、より広い視野での最適な空港計画につながります。
現在CTCでは、これらのデータ分析技術やシミュレーション技術をより多くの空港にご活用いただくために、内容を整理し「空港運用に関する定量評価サービス」を行っています。これは滑走路や誘導路、エプロンなどの飛行場をはじめ、保安検査場や入国審査場を含むターミナル施設の利用状況を調査診断し、シミュレーションなどに基づく定量評価を用いて課題対策や収支計画の改善提案を行うものです。
規模の小さい空港でも、チェックインホールは十分な規模があるもののピーク時期の保安検査場に不安がある、といった部分的かつ漠然とした課題を抱えています。このサービスは、これまで定量評価が行われてこなかった規模の課題に対しても、説得力のある定量的な評価を比較的短期間かつコストを抑えた形でご提供します。
空港チェックインホールのシミュレーションイメージ

シミュレーションを用いて、待ち時間や待ち人数などの指標により混雑度を求め、スムーズな受付が可能な施設数や運用方法を比較評価します。
空港の将来に向けて
世界の航空需要の高まりから、今後も旅行客は増加していくことが予想されています。東京オリンピックをはじめ、その後も様々な国際的イベントが日本で開催されることになっていきます。そのような時代に、空の玄関である空港の持つ役割は、今以上に重要なものとなるでしょう。
また、近年のデジタル化の影響を受けて、空港でも有人業務の機械化・自動化への取り組みが進んでいます。人手不足を含む様々な社会課題への対応も検討する必要があります。
CTCでは、今後もデータ分析やシミュレーション、各種IT技術を含めたデータサイエンスを活用して、より魅力的な空港作りに貢献していきます。
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