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IT Terminology

IoB(Internet of Bodies)

“IoT(Internet of Things=モノのインターネット)”はすっかり定着した感がありますが、“IoB”は聞いたことのない方も多いかもしれません。
Internet of Bodies、文字通り、“IoT”の「モノ(Things)」を「体(Bodies)」に置き換えた言葉で、人間の体をインターネットに接続する技術を意味します。
何やらちょっと怖い響きでもありますが、具体的にはどういったことを指し、これから世界をどう変え得るのでしょうか。

文/近藤 雄生

「体外」「体内」「埋め込み」の3段階

筆者がインターネットを検索して調べた限りでは、“IoB(Internet of Bodies)”という言葉が最初に使われたのは2017年頃のようです。IoTが、様々なモノをインターネットに接続してデータを得たり動作させたりするのに対して、IoBは、モノの代わりに人体をインターネットにつないで、生体データを得るなど、様々に活用しようという概念です。

2017年にIoBについて開かれた講演会において、アメリカの法学者は、IoBには3つの段階があるとして、次のように話しています。

第1が、体外にデバイスを装着して心拍や運動量などのデータを取得する段階。次が、デバイスを体内に入れて利用する段階。そして最後が、脳にデバイスを埋め込んで利用する段階だと※1。2019年末にテクノロジーに詳しいイギリスの著名作家が書いた記事※2においても、おおむね同様の3段階(体外、体内、埋め込み)で考えられていたので、IoBはひとまずそのようにイメージしてよさそうです。

脳への埋め込みも始まる?

それぞれの段階を具体的に考えてみましょう。

第1の段階、すなわち体外に装着するウェアラブルの機器によって身体の情報を計測し、それを利用するというのは、例えば腕時計型のApple Watchがその典型です。それらは既に広く受け入れられていると言えるでしょう。スマートフォン自体も、多くの人が常に携帯していることを考えると、広い意味でこの中に含まれるのかもしれません。そしてその次の段階、デバイスを体内に入れるのは、代表例としては心臓の動きを助けるペースメーカーがあげられますが、これも今やそれほど珍しいものではないでしょう。

では、最後の段階、脳などに直接デバイスを埋め込むのはどうでしょうか。これについては、現状で利用している読者の方はいないでしょう。というだけでなく、現実味のない話に聞こえるかもしれません。しかし、実はそうでもありません。2020年の夏には、イーロン・マスク氏率いる「ニューラリンク」が、脳へ埋め込んで電気信号を読み取って病気の治療などに利用しようというデバイスが実験段階に入っていることを発表しています。さらに、2021年中には人間への埋め込みが始められるかもしれないとも述べています※3。いや、それだけではありません。体にチップを埋め込んで、各種通信に利用するということは、既に現実となっているのです。

参考
  1. 「IoT(Internet of Things)の次、IoB(Internet of Bodies)への警告」 ニューズウィーク日本版, 2017年09月28日
    https://www.newsweekjapan.jp/tsuchiya/2017/09/iotinternet-of-thingsiobinternet-of-bodies.php
  2. 「What Is The Internet Of Bodies? And How Is It Changing Our World?」 Forbes, 2019年12月6日
    https://www.forbes.com/sites/bernardmarr/2019/12/06/what-is-the-internet-of-bodies-and-how-is-it-changing-our-world/
  3. 「Thought-detection: AI has infiltrated our last bastion of privacy」 Venture Beat, 2021年2月13日
    https://venturebeat.com/2021/02/13/thought-detection-ai-has-infiltrated-our-last-bastion-of-privacy/

記載内容は掲載当時の情報です。最新情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

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