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IT Terminology

Web 4.0

Webの技術や利用のされ方について、Web 4.0という言葉が最近聞かれるようになっています。
しかし、その意味はまだはっきり定まっているとは言えないようです。
ただ、それにもかかわらず、この言葉が語られるようになっているという状況から見えてくることはありそうです。
Web 4.0という語を通じて、インターネットがたどってきた道と、これからについて考えます。

文/近藤 雄生

今が大きな変化の時期である証?

Web 3.0という言葉が広く知られるようになったのも、おそらくここ数年のこと。そしてこの言葉も、後述するような混乱もあって、今なおその意味するところが十分に知られているとは言えません。そうした中で、早くもWeb 4.0という言葉が聞かれるようになっています。それは、Webの世界が今、とても大きな変化の時期にあるということなのかもしれません。

Webやインターネットの状況は、Web 1.0、Web 2.0、Web 3.0という語が出てきた段階からどう変わろうとしているのか。また、Web 4.0とは何を指すのか。インターネットが経てきた歴史を振り返りながら、その点を探ってみようと思います。

黎明期から双方向性が生まれるまで

インターネットの黎明期とされるのは、1990年代から2000年代前半までの時代。その頃に主流だったWebの在り方を指す言葉がWeb 1.0です。

当時のインターネット利用者がアクセスすることができたのは、基本的に皆、シンプルな作りのホームページ上の文字情報ばかり。そして利用者のほとんどは、情報の発信者が発信したものをただ受け取ることしかできませんでした。また、通信速度やコンピュータの処理速度が遅かったため、データ量の大きな画像や動画をインターネット上で利用することは困難でした。

しかし2000年代中頃になると、そうした状況が徐々に変化していきます。SNSやブログといったサービスが登場し、インターネット利用者の誰もが自ら情報を発信することができるようになる。その結果、インターネット上の情報量が爆発的に増加すると共に、検索エンジンなども発達、加えて通信速度やコンピュータの処理速度も上がったことで、動画など大容量のデータもネット上で扱えるようになりました。そうして、誰もが多様な情報の受け手であると同時に、送り手にもなれる時代が始まっていきました。

つまりこの時代に、インターネットに双方向性が生まれました。そしてインターネットが社会に与えるインパクトは格段に大きくなりました。それがWeb 2.0と呼ばれる段階にあたります。

Web 2.0時代の到来は、インターネットの可能性を、それまでとは違うレベルで拡張することになりました。しかし、誰もが発信者になれるようになったことで、ネットがより民主的なものになったかといえば、必ずしもそうではありません。というのは、この時代に、GAFAM※1などと呼ばれる少数の超巨大IT企業が多くのサービスを一手に提供するようになり、結果、世界中の個人情報が彼らのもとに一極的に蓄積されるようになったからです。

彼らは、その情報を利用して、さらに利便性の高いサービスや技術を開発し、ますます情報、資本の集中を強めていきました。そうしてこれらの企業の影響力があまりに大きくなるにつれて、人々の間に新たな懸念を生み出すことになったのでした。

  1. アメリカの超巨大IT企業5社、Google、Amazon、Facebook(現Meta)、Apple、Microsoftの頭文字を取った呼び名。今後は、「MATANA」(Microsoft、Amazon、Tesla、Alphabet、NVIDIA、Apple)が支配的になるという声も。
出典:Best Engine Vol.14

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