Technical Report
先進AI技術を発掘
社会実装に向けて協業を推進
ChatGPTの登場以降、目覚ましい技術進化を遂げるAI。様々な分野で新しい効果をもたらせてくれるのではないかと期待が寄せられています。ここでは北米でのR&D活動を通したAIの技術動向の解説と、CTCとMIT発のスタートアップ、米Liquid AI社とのAIソリューションの開発に向けた取り組みについて紹介します。
先進技術の聖地「シリコンバレー」
テクノロジー産業の中心地であるシリコンバレーは、現在も高い視座を持ち先端技術を探求する優秀な人材が世界中から集まり、お互いに切磋琢磨し合う環境となっています。優秀な人材を支援する著名なベンチャーキャピタル(以下、VC)から資金調達できるエコシステムも整っており、常に世界の最前線でデジタル革新を起こすというシリコンバレーの独自文化の形成につながっています。
シリコンバレーのスタートアップと日本市場をつなぐ
CTCは、1980年代から北米を中心に最新テクノロジーの市場調査や新製品・サービスの発掘、パートナー連携に努め、高度な技術とノウハウを蓄積してきました。長年培ってきた「目利き力」を活かし、最先端の技術をつなぎ組み合わせ、お客様の課題を解決する最適なソリューションの提供を強みとしています。
企業価値のさらなる向上を目指し、これまでの事業モデルに加え、知的資本の強化を目的とした新たなビジネス共創につなげる取り組み「NAPP(North America Partnership Program、以下:NAPP)」を、米国の事業会社ITOCHU Techno-Solutions America, Inc.や海外VCと協業して2023年4月から開始しました。テクノロジーを駆使した新規事業の開発に挑戦するスタートアップとアーリーステージから共創し、新しい事業領域の開拓に取り組んでいます。
「AI」がビジネス伸長の鍵
シリコンバレーのトレンドは目まぐるしく変化します。数年前は、SDGsが浸透した影響もあり、環境や社会に配慮した製品やソリューションへの取り組み、持続可能な社会への貢献を目指す企業姿勢のアピールが盛んでした。この流れを大きく変えたのが、2022年11月に米OpenAI社がChatGPTを公開したことです。以来、シリコンバレーでのトレンドはSDGsからAIに取って代わった印象です。大手IT企業は競争力向上のため、スタートアップは次のラウンドへの進出や資金調達のためにAIを主軸にビジネスを推進しています。特にここ1年程は、AIと直接関係のなかった企業がAI事業に取り組んだり、WebサイトにAIをキーワードとして利用したりするケースが急増しています。
一方、技術の観点でAIを見てみると、生成AIが私たちの生活へ徐々に浸透してきているのは、使いやすさや精度が向上しているからで、5~6年後にはさらに高性能で人間と同等の知能を持つAGI(Artificial General Intelligence:汎用人工知能)が登場するだろうと言われています。このAGIが普及した先には、人間の能力をはるかに超えるASI(Artificial Super Intelligence:人工超知能)の開発が進むことが予測されています。いずれは人間を介さずともAI同士がお互いを学ばせて、さらに技術を発展させていく可能性もあります。シリコンバレーではこうしたAI技術のトレンドが、少なくとも2030年まで続く見込みです。AIが私たちの生活になくてはならない、当たり前の存在になるでしょう。
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