Invisible Story 人知れず、社会インフラを守る プロフェッショナルの物語
夜を徹した作業の先に
いつもと変わらぬ朝が来る
CTCグループの保守・運用を担う「CTCテクノロジー株式会社(CTCT)」。
ITシステムやデジタル環境といった、なくてはならない社会インフラを守り支えるのが、カスタマーエンジニアだ。
年間の対応件数は、約8万件。
これは当たり前の日常を支えるためチーム一丸となって乗り越えた、CTCTのある一夜の記録である。
システムが使えない
2025年6月26日17時。CTCTのコールセンターに1本の電話が入った。「施設の無線LANが使えない。落雷で複数箇所の機器がダウンしてしまったようだ。対応してもらえないか」。電話の内容からも、事態の切迫感が伺えた。
それもそのはずだ――。翌日の始業は朝9時。現状のままでは、業務そのものが止まってしまう。
保守には、大きく分けて2つの業務がある。1つは、保守点検を計画的に行う「計画作業」。お客様の業務を止めないように、時間帯を選んで定期的に実施し、異常をいち早く発見し対処する。
もう1つが、緊急時の対応である。CTCTでは、24時間365日、全国34の拠点にカスタマーエンジニアが待機。100機種以上のマルチベンダー機器をワンストップで保守できる技術力と基盤を武器に、いつ起きるかわからない障害にも、即座に対応できる体制を整えている。
この時、コールセンターから連絡を受けたのは、入社4年目の万(まん)健と、同期の近藤元気だった。万は、顧客からの修理や問い合わせの対応など、システム全般のサポートを担う、SMS(システムマネジメントサービス)を担当している。一方の近藤は入社以来、カスタマーエンジニアとして顧客の現場に直接出向いて故障や復旧にあたってきた。2人とも、落雷の対応は初めてだった。
落雷が残した、見えない障害
自然災害である落雷には、他の障害とは異なる難しさがある。機器そのものが起動しないためログを取得できず、故障した箇所も影響が及んだ範囲も把握しにくい。しかも1ヵ所ではなく、影響が複数箇所に及ぶことが多いという。通常、落雷による故障は契約上、交換対象外となる場合もある。しかし、お客様は万一に備えて予備機を保有しており、それらを活用して翌朝までに復旧して欲しいという要望だった。
とはいえ、復旧作業に許された時間は限られていた。お客様からの依頼は、「作業は業務時間外の22時以降に」「朝6時までに復旧を」というものだった。
万と近藤は、この時の心境をこう明かす。「お客様が困っていたら、対応するのが私たちの仕事です。ただ、普段対応している障害とは状況が大きく異なっていました。落雷による影響範囲が読めず、再起動で復旧する保証もない。状況を慎重に見極める必要があると感じていました」。
最終的に判断を下したのは当時の部長代行、藤川聖二だった。「お客様が困っているなら、まずは私たちが動く。それだけでした。現場には経験豊富なメンバーがいます。どんなトラブルにも真正面から向き合い、お客様のために最善を尽くす。それが私たちの文化であり、強みだと思っています」。
「想定外」を、想定する
通常は、まずリモートでシステムの状況を確認し、原因箇所を特定。機器の交換が必要だと判断した場合は、カスタマーエンジニアがお客様のもとに向かう。この夜、2人に求められたのは、まさにその現地対応だった。やるべきことは、機器の交換と再起動だ。
万も近藤も、この施設を訪れるのは初めてだった。聞けば、敷地面積は東京ドームおよそ4個分。広大な敷地の中に、いくつもの大小異なる建物が建ち、機器はその中に点在していた。
お客様から提供された地図をもとに、過去にその施設を担当したことのあるメンバーに機器の設置場所をヒアリングし、当該機器に詳しいエンジニアからもアドバイスをもらう。限られた情報をもとに状況を想定し、必要な知識や経験をチームで持ち寄る。こうした事前準備の積み重ねが、緊急時の迅速かつ確実な対応を支えている。
加えて、落雷による電源系統の異常も想定した機器とパーツを選定して車に積み込んだ。「想定外を想定する」準備力もまた、長年の経験が育てたものだ。
カスタマーエンジニアは、お客様のシステムを支える最前線に立つ。場所や作業内容に応じて機器やパーツを積み込み、日々様々な現場へ向かっている。
コラム 1FRONT LINE ― カスタマーエンジニアの仕事
ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、セキュリティ。カスタマーエンジニアは、あらゆるITの構築を担い、お客様に最も近い存在として、日々のシステムを守っている。それを支えるのが、長年にわたり蓄積してきた豊富なナレッジだ。主要製品では自己解決率(メーカーに頼らず自社内で解決)9割超を誇り、迅速な原因究明と復旧を可能にする。
さらに24時間365日の監視や運用支援を行うSMSを通じ、障害発生後の対応のみならず、日常運用の支援や障害を発生させないための予防保守を行い、障害を未然に防ぐ。お客様の近くにいるからこそ、お客様もまだ気づいていない課題を半歩先回りして捉えることもできる。日頃の備えと緊急時の確かな対応で、お客様の事業を止めない。それがカスタマーエンジニアの使命である。
コラム 2STANDBY ― 交換パーツのストックは12万点
障害箇所を特定し、機器の交換が必要となれば、カスタマーエンジニアは交換機器やパーツをすぐに準備しなくてはならない。お客様のシステムに対応できるよう、あらかじめ全国の拠点に保管されているパーツは12万点に上る。マルチベンダーであるCTCグループでは、多岐にわたる製品を扱うため、その種類も膨大になる。もちろん、間違いは許されない。同じ機器であっても、搭載されているOSによって、交換方法も作業手順も異なる。
カスタマーエンジニアには、的確に対応できる幅広い知識と技術が必要となる。迅速かつ確実な復旧につなげるため、日々学び、技術を磨き続けることが求められるのだ。
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