Invisible Story 人知れず、社会インフラを守る プロフェッショナルの物語
夜を徹した作業の先に
いつもと変わらぬ朝が来る
鍵の先にある復旧現場
20時30分、出動。万と近藤は、社用車を1時間半走らせ、現場に到着した。既に雷は止み、雨も上がっていたが、空気は湿り、辺りにはうっすらと霧がかかっていた。外灯はあるものの、ほの暗く、敷地の全体像はわからない。
夜間対応のため、現地にはお客様の担当社員は不在。守衛所には事前に「作業員に鍵を貸し出すように」との手配がなされていたが、そこに用意されていたのは、大量に束ねられた、いくつもの鍵の山であった。
「どの鍵が、どの建物のどの扉の鍵なのか」――守衛も把握するのは難しく、守衛室を離れて現場へ同行することはできない。2人は地図と建物を照らし合わせながら、人影のない夜の施設の中、鍵束を抱えては現場に向かい、扉が開かなければ守衛室まで引き返す。その往復を繰り返し、建物の入り口を探した。作業場所にたどり着くまでに、いくつもの扉を越えなければならない。2人は一つひとつ開錠を重ねながら着実に進み続けた。
現場対応とは、機器に向かう瞬間だけを指すのではない。安全に、確実に、対象へ到達する「現場力」もまた、CTCTのエンジニアが得意とするところだ。
最優先で指定されていた機器を探し当て、交換が完了したのは午前1時前。交換機器の復旧を確認できたことで「この調子で残りもいける」という手応えを得たという。そこから、施設内に散らばる残りの台数を1台ずつ探し当てては再起動していく作業が続いた。近藤はこの時の心境をこう振り返る。
「とにかく、お客様に納得してもらえるところまでやり切って帰ろう、それだけでした」。
広大な敷地を歩き回ること、およそ5時間。全ての機器の再起動を終えると、2人は最初に交換した1台へ引き返し、正常に作動していることを確かめた。お客様への最終確認と、オフィスで待機するメンバーへの報告を済ませた頃には、時計は午前3時を指していた。出動準備から現地対応、復旧確認まで駆け抜けた一夜。近藤の万歩計は80,000歩を示していた。全てを終えて現場を後にする。帰り道、フロントガラスの向こうの空が、少しずつ白んでいくのが見えた。
技術の先にあるホスピタリティ
振り返って2人は言う。「落雷対応は初めてでしたが、着実に復旧できたことは幸いでした」。案件によっては障害箇所の特定が難しく、オフィスに待機するメンバーと密に連携しながら慎重に進めなくてはならない場合もある。
万は、カスタマーエンジニアの仕事をこう語る。「今や無線LANがつながりパソコンが使えるということは、水道や電気と同じくらい日常に不可欠なものです。私たちが何とかしなければ、お客様の業務は回りません。感謝の言葉をいただく度に、自分たちは確かに社会のインフラを支えているんだと、使命感が湧いてきます。毎回緊張感はありますが、解決した時はとても達成感があります」。インフラは、あって当たり前のもの。だからこそ、感謝の言葉が返ってくる機会は決して多くはない。それでも、ふとかけられる「ありがとう」のひと言は、彼らの胸に深く残るという。
そんなカスタマーエンジニアには、「技術力」もさることながら「心構え」が重要だ、と万が言えば、近藤も同意して続ける。「柔軟な『対応力』と、お客様が何をどんな意図で希望されているのかをしっかり汲み取る『コミュニケーション力』も必要です。そして、どれだけお客様の要望に応えられるかが大事だと思います。お客様が困っていたら、何とかしてあげたい……。それが私たちの企業文化にもなっている『ホスピタリティ』の精神です。これからもお客様のためにスキルを磨き、期待を超える対応をしていきたいと思っています」。
いつもと変わらぬ朝のために
カスタマーエンジニアである彼らを支えているのは、チームの力だ。
「CTCTの保守は、やはり“チームで”が基本です。1人でできることは限られています。様々な経験やノウハウを持つメンバーが1つになって対応していることが強みです。現地で向き合う一人ひとりの力と、見えないところで支える仲間たちの力。その両方が結集することで、24時間365日、お客様の安心を守り続けています。この時も、現地に向かう前に社内で様々なサポートを受けたことが力になりました」と近藤。「現場に行ったのは私と近藤の2人でしたが、最初の受付から準備も含めて、1つのチームとして対応している心強さがありました」と万も言う。
翌朝9時。施設ではいつもと変わらず無線LANがつながり、1日が始まった。前の晩、2人のエンジニアが人影のない敷地を歩き、復旧作業を続けていたことを、その場にいる誰も知らない。
私たちが日々当たり前に享受している便利さは、決して自然に保たれているわけではない。ネットワークがつながること、システムが滞りなく動くこと、その一つひとつを、24時間365日、誰かが見えないところで支えている。人知れず社会を支える、その仕事の価値は、「当たり前の日常」の中にこそ、確かに宿っている。
カスタマーエンジニアの持ち物は多岐にわたる。共通しているのは、その全てが「安全に、正確に、確実に」作業するための備えであることだ。
コラム 3LAST LINE ― プロダクトサポートエンジニアの仕事
CTCTには、現場の保守・構築部署やアカウントサービスチームでは解決が困難な、高度で複雑なシステム障害を解決へ導くスペシャリスト集団がいる。プロダクトサポートエンジニアだ。自社内に実機環境を揃え、複雑な機能検証や障害の再現検証を徹底して実施。
その解析精度は高く、時にはプロダクトの開発元である海外ベンダーすら把握していなかった潜在バグや解決策を発見し、ベンダー側にフィードバックすることもある。難障害に対しても、ベンダーとの緻密な連携と自社での深い検証を掛け合わせ、お客様のシステム停止時間を最小限に抑え、迅速な復旧へと導く。誰よりも深く技術を掘り下げ、誰も解けなかった謎を解き明かす「最後の砦」だ。
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