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ゴルフダイジェスト編集心に勝つための実戦ゴルフ学

成功はポジティブな思考から生まれる

取材協力/チームセリザワゴルフアカデミー

ティグラウンドに立ちショットする時、「打ってはいけないところ」をイメージするより「あのポイントに打ちたい」と思うほうが、ナイスショットの確率は高くなると芹澤信雄プロは語る。
ネガティブな思考よりポジティブな思考が成功へ導いてくれるというのだ。その理由とは。

芹澤氏近影

芹澤 信雄

1959年生まれ 56歳 日本プロマッチプレー優勝(1996年)をはじめツアー通算5勝、シニア入りしてから1勝をマーク。現在、主宰として藤田寛之、宮本勝昌プロらとともに「チームセリザワ」を結成。大箱根CCにゴルフアカデミーを開校。わかりやすいレッスンで多くのファンを持つ。

「不安」が体を動かなくしナイスショットを妨げる

ゴルフが「上手い人」、あるいは「上手くなる人」の頭の中は、大抵の場合、ポジティブな思考で満たされているものです。アドレスに入った時、これから打つショットに対して、「よし、フェアウェイのど真ん中に打つぞ」と考える人と、「もしスライスして右の林に入ったらどうしよう」と考える人がいるとしたら、私の経験上、前者のポジティブな考え方の人のほうが、圧倒的に成功確率が高いことが多いです。

ミスショットに対する不安、つまり、ネガティブな思考というのは、体の動きを悪くして、結果的にミスショットを引き起こす原因となります。逆に、ショットの前に成功イメージを頭に思い描くと、体がスムーズに動き、ナイスショットが出やすくなるというわけです。これは、ビジネスにおける様々な場面でも、当てはまる法則ではないでしょうか。目の前の仕事に対して、自信より不安のほうが大きくなってしまうと、普段どおりの実力を発揮できなくなってしまうものです。

「ポジティブ思考」でビッグタイトル獲得

私自身、頭の中がネガティブ思考から、ポジティブ思考に切り替わったことで、いい結果が得られたという体験を何度もしています。
例えば、1996年の「日本プロマッチプレー」では、決勝の相手がアメリカのブラント・ジョーブ選手だったために、ギャラリーの多くが日本人である私のほうを応援してくれ、それで気持ちが前向きになって優勝できたということがありました。マッチプレーというのは、「運」の要素が強いですから、準決勝までは「負けてもしょうがない」と、どちらかというとネガティブ思考だったのですが、決勝戦だけは、声援のおかげで、「よし勝てる」と、終始ポジティブ思考だったのを覚えています。また、相手のブラント・ジョーブ選手はパワーヒッターで、飛距離を出せる選手だったのですが、決勝は雨になり、飛距離が出づらかったということも、私にとっては、有利に働きました。

コンプレックスを武器に変えた先輩プロの言葉

また、2000年の「東建コーポレーションカップ」では、先輩プロのひと言で気持ちが切り替わったということがありました。私は、プロの中では飛距離が出ないほうなので、コースが長くなるほど、2打目以降に使う番手が大きくなり、その分、不利になるのですが、そのことを私が嘆いていると、杉原さん(故・杉原輝雄プロ。飛距離は出ないが、正確なショットが持ち味で、レギュラーツアー通算28勝を挙げている)に、「お前はまだいいやないか、(ホールが)長くたって、スプーン持ったら届くやろ」と言われたのです。その瞬間に、ふっと気持ちが楽になって、「ああ、そうか、セカンドショットを何番で打とうが、グリーンに乗せてしまえば関係なくなる」と考えられるようになりました。そうすると、ティショットで50ヤード置いていかれたとしても、「勝負できる」と思えましたし、むしろ、「遠くから先に乗せられたら、相手にとってはイヤだろう」と、逆にこちらが攻めている気持ちになり、それが優勝という結果につながりました。気持ち次第で、プレー内容(パフォーマンス)が変わるという、いい例だと思います。

自信の裏づけにはリスク管理が不可欠

ただし、「ポジティブ思考」と、「無謀なチャレンジ」を混同するのはよくありません。プロの場合、試合では、少なくとも8割方成功する見込みがあるショットしか選択しないのが普通です。アマチュアの場合、練習でもやったことのないショットに、いきなり本番で挑戦するために、失敗して大トラブルに見舞われるというケースが多いです。どんなに練習を積んでいても、一発勝負の本番はプレッシャーがかかりますが、そこで「自分はできる」と、自分自身を鼓舞するのが「ポジティブ思考」であって、練習もしていないのに「できる」と思い込んで挑戦するのは、無謀でしかありません。また、プロは、練習ラウンドで、ホールの「打ってはいけない場所」、グリーン周りの「(アプローチで)絶対に寄らない場所」を徹底的に調べ、本番ではそこを確実に避けられる戦略で臨みます。つまり、最初にできる限りリスクを排除しておくからこそ、大胆なショット選択で、バーディを狙うゴルフができるというわけなのです。

困難なタスクも前向きなら楽しくこなせる

思い返してみると、私のプロゴルフ人生は、ずっと「何とかなるだろう」という前向きな気持ちで、現在まで続けてこられた気がします。研修生時代、「25歳までにプロになれなかったら就職しよう」と考えてはいましたが、「なれないかもしれない」という気持ちよりは、「多分なれるんじゃないか」という気持ちのほうが強かったと思います。結果的にプロテストに合格したのは、22歳の時。24歳になってすぐに結婚、26歳の時に後援競技(現在のチャレンジツアー)で優勝して、翌年のシード権を獲得、そして、27歳で初優勝(1987年、日経カップ中村寅吉メモリアル)と、プロ入り後も割と順調で、とにかくゴルフが楽しくてしょうがありませんでした。45歳の頃、肩の故障で思うようなゴルフができなくなり、そこから数年間はとてもつらい時期が続きましたが、シニア入りして、初優勝(2010年、富士フィルムシニア)した頃からまた、ゴルフが楽しい時期が続いています。「ゴルフが楽しい」と思える気持ちが続く限り、プロとして、生涯現役で頑張れるんじゃないかと、今は思っています。

出典:Best Engine Vol.2

記載内容は掲載当時の情報です。最新情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

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