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KDDIが取り組む次世代の街とオフィスの創造 |CTC DISCOVER 2025事例講演レポート

データ&アナリティクス

公開日:2026.01.07

KDDIが取り組む次世代の街とオフィスの創造 |CTC DISCOVER 2025事例講演レポート

    KDDIが取り組む次世代の街とオフィスの創造 |CTC DISCOVER 2025事例講演レポート

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    日本を代表する大手通信キャリアのKDDI株式会社(以下、KDDI)は2025年7月、東京・高輪の「TAKANAWA GATEWAY CITY」への本社移転を機に、この街をスマート化する取り組みを本格的にスタートさせ、翌8月には、最新のICTを駆使したオフィス空間づくりを支援する「KDDI Smart Space Design」のブランディングを立ち上げ、各種ソリューションの提供に乗り出しています。

    これらの取り組みのエッセンスを、2025年10月に催されたCTCの年次イベント「CTC DISCOVER 2025」におけるKDDIの講演「TAKANAWA GATEWAY CITY × 未来を拓くスマート空間の創造」をもとにご紹介します。

    “人中心”の新たな街づくりを目指してスマートシティの取り組みを本格スタート

    「あなたに気付く街、みんなで築く街」──。この街づくりのコンセプトのもと、KDDIでは2025年7月より、TAKANAWA GATEWAY CITY(内の「THE LINKPILLAR 1 NORTH」)に開設した新本社を「未来への実験場」としたスマートシティの試みを本格始動させています。

    この実験には、新本社で働くKDDIグループの社員・約1万3,000人が参加し、積極的にサービスを試しています。その成果を全国各所の街・ビル・オフィスに届けていくというのが、同社の構想です。

    この構想について、KDDI ビジネスイノベーション本部 ビジネスイノベーション推進2部 スマートシティグループの依田 和也氏は「我々が大きく目指しているのは、先端のICTをフルに活かした“人中心”の街づくりです。その目標を達成するうえでは、街で働く人、訪れる人が安心・安全・快適に過ごせる環境を築き、賑わいを生み続けることが重要であると見ています」と説明します。

    CTC DISCOVER 2025にて講演するKDDI 依田和也氏

    KDDI株式会社
    ビジネスイノベーション本部
    ビジネスイノベーション推進2部 スマートシティG
    グループリーダー 依田 和也 氏

    こうした街づくりの土台となるのが、TAKANAWA GATEWAY CITYのデジタルツインを形づくるデータ連携基盤「都市OS」です。

    都市OSは、TAKANAWA GATEWAY CITYから収集したさまざまなデータを一元管理し、安全、かつオープンに使えるようにする仕組みです。依田氏は、都市OSを提供する意義についてこう述べています。

    「例えば、TAKANAWA GATEWAY CITYに出店している店舗は、都市OSから人流データや気象データ、イベントデータが入手でき、それらのデータと自店舗の扱う商品の情報や在庫情報をかけ合わせて分析することで、売上予測などをファクトベースで立てられるようになります。こうしたデータの収集・分析を各店舗が独力でゼロから行おうとすると多大な手間とコストがかかります。都市OSを使うことで、そうした手間やコストを大幅に低減することが可能になります」

    複数のロボットを制御し都市OSと連動した最適運用を実現

    都市OSとデータ連携するサービス(あるいはシステム)として、KDDIでは「データダッシュボード」や「まちアプリ」「ロボットプラットフォーム」などを開発・提供しています。

    TAKANAWA GATEWAY CITYにおける都市OSを核としたデータ連携と各種サービス提供の仕組み図

    図1. TAKANAWA GATEWAY CITYをまるごとデジタルツイン
    資料:KDDI

    このうち、特に注目すべき仕組みといえるのが、ロボットプラットフォームです。これは、都市OSとのデータ連携を通じて「清掃」「警備/巡回」「デリバリ(回遊販売/配送)」「案内」「広告」といった業務を担う各種のロボットを一元管理して協調制御するためのシステムです。このプラットフォームは、エレベーターや自動ドアといったビル設備との連携も可能とし、その機能を使うことで、各種のロボットを目的地へとスムーズに誘導することができます。

    依田氏は「TAKANAWA GATEWAY CITYで働くロボットたちは、都市OSとの連携・連動により、効率的に稼働できます。例えば、清掃ロボットに人通りの少ないフロアから順番に清掃をさせたり、熱中症リスクが高いエリアにおける人の滞在状況を見ながらデリバリロボットにスポーツドリンクを配送させたりといった稼働を実現しようと考えています」と話します。

    まちアプリは、都市OSとのデータ連携を通じて「街と人とを最適なかたちでつなぐツール」として設計・開発されています。具体的には、TAKANAWA GATEWAY CITYを訪れた人のスマートフォンのデータなどをもとに、来訪者の位置情報や趣味嗜好、行動パターン、来訪の目的などを割り出し、その人が欲する施設情報やイベント情報をタイムリーに届ける(あるいは、レコメンドする)ことができます。また、まちアプリからデリバリロボットに連携して、飲食品などをデリバリさせることも可能です。「こうした、まちアプリの機能により、良質な来訪者体験を提供し、街へのエンゲージメントを高めることを目指しています」と、依田氏は付け加えます。

    一方、データダッシュボードは、都市OSに蓄積されている街のデータを活用し、データドリブンなエリアマネジメントを行うためのツールとして提供されています。このツールを使うことで、課題解決策のシミュレーションや各種の予測、人流データのリアルタイムな可視化などを実現し、都市OSが保持する多様なデータを、街における賑わいの創出やマーケティング施策の強化、さらには、防災・防犯などに役立てられるようにしています。

    さらにKDDIは、TAKANAWA GATEWAY CITYのスマート化にあたり、街・ビル・オフィス全体をカバーするSD-LAN(Software Defined-LAN)型の統合ネットワークと、ハイブリッド型のクラウド基盤を相互に連携させた次世代ICT基盤も構築しています。この基盤について、依田氏は「ソフトウェア定義ベースの統合ネットワークとクラウド基盤の導入により、街・ビル・オフィスに対して多彩なサービスを提供し、継続的に進化させられるICT基盤が実現されています」とし、次のように続けます。

    「この次世代ICT基盤は、セキュリティの強度も高く、街・ビル・オフィスを職場にする人や訪れる人の安全・安心をしっかりと確保できます。また、ビルにおけるICT環境の管理コストを低減させられるというメリットも生んでいます」

    TAKANAWA GATEWAY CITYのスマート化に向けて、KDDIでは多岐にわたるシステム、サービスをアセットとして開発・提供しています。

    TAKANAWA GATEWAY CITYのスマート化を支えるデジタルツインプラットフォームのアーキテクチャ図

    図2. TAKANAWA GATEWAY CITYのKDDI構築アセット
    資料:KDDI

    これらの開発には、CTCがパートナーとして協力しており、依田氏は「CTCによる支援のおかげで、大規模で多岐にわたるサービスを計画どおりに提供することができています」と明かしています。

    次世代オフィス空間の創出をトータルに支援するソリューションを始動

    KDDIでは、TAKANAWA GATEWAY CITYへの本社移転をきっかけに2025年8月から新本社構築の知見を活かしたKDDI Smart Space Designのブランディング提供を開始しています。

    これは、先端の通信技術やロボット、AIなどを駆使しながら、オフィスワーカーやオフィス来訪者に良質な体験を提供する空間づくりを支援するソリューションです。

    各種ソリューションの提供をリードするKDDI ビジネスイノベーション本部 ビジネスイノベーション推進1部 ファシリティビジネスグループの佐々木 秀氏は「我々は、通信のプロフェッショナルとして、つなぐ力とテクノロジーをベースにオフィス空間を最適なかたちでデザインすることができます。その能力をフルに活かしながら、誰もが集まりたくなるような空間のコンセプト策定から設計、施工、保守、運用までを一気通貫でサポートするのが、KDDI Smart Space Designです」と説明します。

    CTC DISCOVER 2025にて講演するKDDI 佐々木秀氏

    KDDI株式会社
    ビジネスイノベーション本部
    ビジネスイノベーション推進1部 ファシリティビジネスG
    グループリーダー 佐々木 秀 氏

    佐々木氏によれば、KDDIではTAKANAWA GATEWAY CITYへの本社移転に際して、働く空間に不可欠なICTデバイスとは何かを明確にするとともに「社内・社外・社会をつなぎ、新しい働き方を支え、アップデートし続ける」ためのICT基盤のコンセプトを決定したといいます。KDDI Smart Space Designでは、そうした新本社構築のノウハウを活かすことで「新たなオフィス空間のコンセプトを策定・計画する段階から、お客様を最適なかたちでご支援できると確信しています」と、佐々木氏は述べています。

    KDDI Smart Space Designの核となる「新しい働き方」を支えるベースICTインフラ整備のコンセプト

    図3 .「新しい働き方」を支えるベースICTインフラの整備
    資料:KDDI

    KDDIのスマート空間の有効性を体感できるオフィスツアーも

    KDDIの新本社では、同社がICTやソリューションをどのように活用し、最適なオフィス空間づくりを行っているか体感するためのオフィスツアーも法人顧客に向けて展開しています。

    例えば、顧客企業やパートナー企業との共創の場である新本社の「TSUNAGU BASE」では、さまざまな形式での対話・コラボレーションを実現すべく可動式のオフィス家具が導入されています。また、ソリューションの展示エリアの「Showroom」では、案内ロボットが展示を案内するほか、「リテールテック」の取り組みとして、商品棚への飲料水の補充を自律的に行う業務支援ロボットや、AIカメラが顧客の選んだ商品を認識し、関連商品をデジタルサイネージで案内するソリューションが体感できるようにしています。

    加えて、新本社内のコワーキングスペース「Knowledge Camp」は、キャンプ場をイメージした空間が構築され、社員のリラクゼーションとコラボレーションを両立させています。執務エリアは基本的にフリーアドレスを採用しており、各フロアには部門横断のコラボレーションを活性化するための「Discovery Village」と呼ばれるスペースが設けられています。集中して自身のタスクを処理したい場合には、テレワークブースや半個室のパーテーションエリアが活用でき、「ABW(Activity Based Working)」を実現する環境が整えられています。

    さらに新本社では、災害時や通信障害時の対応拠点として機能する「BCP室」が確保されています。このエリアでは、大型モニターを介して複数箇所の状況が一目で確認できるにしているほか、Web会議ツールや固定電話を含む複数の音声サービスを統合し、同時並行で通話できる音声ミキシングサービスも導入されています。通信の冗長化も図られており、通常のネットワーク回線以外に地上での災害に強い衛星通信の「Starlink(スターリンク)」や「Inmarsat(インマルサット)」などの環境も整備されています。

    このほか、業務の運用面では、TAKANAWA GATEWAY CITYへの本社移転に合わせて社員の業務をコア業務とノンコア業務の2つに分類し、ノンコア業務についてはアルティウスリンク社と協力して「オフィスBPOサービス」を立ち上げ、アウトソースしています。

    KDDIでは今後、こうしたオフィスや街、あるいは店舗に対して提供してきたスマート空間づくりのソリューションを、工場や倉庫、複合施設、スタジアムなどにも展開し、それぞれの現場で働く人、現場に訪れる人に対して、ロボットやAIなどのテクノロジーを駆使した最適な体験を提供していく構えです。

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    執筆者情報

    Key Technology(Keys)編集部

    Key Technology (Keys)編集部は、CTCが注力する「高度AI」「データ&アナリティクス」「クラウドネイティブ」「セキュリティ」を中心とした最先端テクノロジーの情報発信を担う編集チームです。技術動向や活用事例、サービス情報をわかりやすく届け、ビジネス変革に挑む企業の意思決定や実行をサポートします。

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